今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

アイスランド島の噴火の注視点

2010-04-21 19:53:46 | 環境
 アイスランド島のヘラク山の噴火で大混乱をきたしている。
注目すべきは、飛行機の運航なども大問題ではあるが、根本問
題はそんなレベルのことではない。大きく分けて三点ある。第
一点は噴火の期間であり、第二点は寒冷化への影響、第三点は
温暖化を加速する可能性である。何よりも、アイスランドはグ
リ-ンランドの南側に近接しているのが問題点でもある。
 第一点の噴火の期間であるが、1612年の噴火では3日間
で終わったが、1821年の噴火では噴火と休止を繰り返し、
1年間もかかって終息した。今回はどのくらいで終息するのか
推測さえできない状況であると報じられている。噴火期間の長
短が注目される。短期間であれば、大した悪影響はないかも知
れない。長期間噴火が続けば大変な問題になる可能性がある。
 第二点は寒冷化への影響である。大量の火山灰が大気中に飛
散すれば、太陽光線の地球への照射量が少なくなり、野菜など
に深刻な影響を与えることになる。それと同時に寒冷化に向か
う可能性が考えられる。
 第三点は温暖化を加速する可能性がある。近接するグリ-ン
ランドに火山灰が降り積もれば、床氷の融解を促進することに
なる。すなわち、火山灰は融雪剤の効果をもたらすからである。
普通の灰でも、雪の上に撒けば太陽光線を集中させて融雪は早
まるものである。すでにヨ-ロッパばかりでなく、カナダまで
火山灰は達している。ましてや近接するグリ-ンランドには大
量の灰が堆積されることになる。現在でもすでにその状態であ
ろう。これは重大なことである。200年前の噴火の時と違い
現在は温暖化の時期である。さらなる温暖化を加速すれば大変
なことになる。グリ-ンランドの床氷が全部溶ければ、海面は
7m上昇するといわれている。さらに、アイスランドの氷河に
マグマが接触すれば氷河の水分を瞬時に蒸発させ、「マグマ水
蒸気爆発」を起こし、大量の細かい火山灰を作る特徴がある。
アイスランドの氷河が融解すれば、さらなる温暖化は進むこと
になる。
 一方、ヨ-ロッパ北部を凍結から防いでいる熱のベルトコン
ベアをストップさせることを早めることになる。まさにアイス
ランドの近くで海底に沈み込み深層海流として駆け巡るベルト
コンベアがストップすれば、寒冷化どころか、地球の摂理は滅
茶苦茶になってしまう。塩分濃度の関係で、海底に沈み込むこ
とができなくなるからである。人体に例えれば、全血液が止ま
ってしまうようなものである。片や海面が上昇するという矛盾
した現象も起こる。温暖化と寒冷化が同時進行しているといわ
れる所以である。
 アイスランドの噴火の状況から目が離せない。
              (読売新聞、北海道新聞参照)

核軍縮、核管理に期待できるか?

2010-04-15 20:55:50 | 戦争と平和
 4月8日、新核軍縮条約(新スタート)に米・ロの大統領が
署名した。世界の平和という観点からすれば、小さな一歩であ
ることに疑いはない。しかし、現在の世界には約2万の核爆弾
があるといわれている。その中、米、ロは90%以上を保有し
ている。はたして核戦争の危険性は薄くなったのであろうか。
 核弾頭の配備数を2200を1500に制限、ミサイル(I
CBM)などの配備数を700にする、などのむなしい数値だ
けが踊る内容である。検証システムも不十分である。
 全世界の人類を全滅させようと思えば、100発以下の核爆
弾で十分だと云われている。単純計算すれば、人類を200回
以上も殺せる数の核爆弾を持ちながら、この程度の核制限では
焼け石に水の感は免れない。その中で、核戦力の均衡等を論ず
るのは異様な光景である。その異様さに気がつかない米、ロを
はじめとする世界の世論も異様である。人類の精神構造そのも
のが異様になっている証拠である。
 その中で、人類を100回も殺せる核爆弾を持ちながら、「
核のない世界」を説くオバマ大統領も異様である。なぜなら、
核のない世界を説くのであれば、無条件で米国は核爆弾を放棄
し、ロシアや英国、フランス、中国などにも核放棄を説得すべ
きである。それをせずに、諸事情で核爆弾を全面放棄できない
というのであれば、世界から核はなくなるはずがない。同大統
領自身、核を放棄する意志がない証明といえよう。
 そもそもオバマ氏が米大統領選で勝利したとき、世界のオピ
ニオン・リーダーとして、何か世界に理想論を発しなければな
らないという一種の責務を感じて発したのが、昨年の4月5日
のプラハ城での「核なき世界」の演説である。それが「瓢箪か
ら駒がでる」ように、ノーベル平和賞へと繋がったのである。
もともと核なき世界は実現不可能ということを考えた上での発
言を見破る読心力に世界の人々は欠けているようである。
 次に、核サミットにおける核管理徹底の47ケ国の合意であ
るが、一応一定の成果を得たといえよう。この会議で署名した
国々は心配ないだろう。問題は、この会議に参加していない国
々である。「核テロを起こすかもしれないと思われる国」が共
同歩調をとるとは断言できないからである。第一、「時すでに
遅し」の感を免れない。ソビエトの連邦崩壊の際、多少の核物
質が行方不明になっているからである。正確な核爆弾でなくと
も、「汚れた核」という一種の核兵器でも大都市を壊滅できる
と報じられている。その製造は大して難しくないとも云われて
いる。イラン、北朝鮮、その他、反米国等による核テロは断じ
て阻止しなければならない。しかし、その実効性は不透明であ
る。 
 来月の5月3~28日にニューヨークの国連本部で「核拡散
防止条約」の再検討会議が開催される。しかし、これまでに核
を製造、保有してきた国々が核不拡散と主張する論理自体が矛
盾している。これから核兵器を保有しようとしているイランや
北朝鮮を説得できかどうか疑問である。
 いずれにしても、国家権益という貨幣経済の世界、国境とい
う自国利益の追及という現在の世界システムは、矛盾と不条理
という南北問題等を生んでいる。そればかりか人類の存在まで
も危うくしている。賢明な人類とは云い難い。
 ブッダの理想世界論を思い出すべきである。

イチロ-進化の曲がり角

2010-04-06 10:23:31 | 野球
 メジャ-リ-グが始まった。わくわくする時期である。
日本のプロ野球もおもしろいが、どうしてもイチロ-選手
が気にかかる。9年連続200本安打は世界記録である。
すごいことである。その間、大怪我や大病をしなかったか
ら達成できたのは云うまでもない。それだけ心身ともに野
球一筋に打ち込んできた証拠でもある。野球の実践哲学者
の風格が一段と出てきた。
 そのイチロ-が、今年も200本安打を打つのは当然と
思われるだけ大選手となったということである。今年も2
00本安打を打つだろう。当然、イチロ-はさらなる進化
を考えているはずである。その内容は、シ-ズンが終わる
まで我々には分からないだろう。4割打者を目指すのか、
ワ-ルドシリ-ズを目指すのか、空振り三振あるいは見逃
し三振をゼロとすることを目指すのか、あるいは我々の想
像すらできない何かを目指すのか興味は尽きない。いずれ
にしても、静かにイチロ-を見守りたい。
 また、エンジェルスの松井選手の活躍も楽しみである。
昨年のワ-ルドシリ-ズでMVPを取ったのは、快挙だっ
た。松井にとって、MLBにきた記念を残せたことを喜ん
でいるだろう。われわれ日本人としても誇りである。ただ、
松井は怪我が多いのが気にかかる。暖かいアナハイムは松
井の本拠地として最適であろう。
 イチロ-、松井、他の日本人選手の活躍を楽しみにして
いる。