福島第一原発の汚染水はなぜ増えるのか、というテレビ報道が五月にあっ
た。その原因として地下水が建屋内に流入しているのが原因だ、と東電は
主張している。しかし、その説明には大いなる疑問がある。その理由は、建
屋外から地下水が流入しているとすれば、汚染されていない地下水だけを
海に放出することができるはずである。極めて簡単な作業ですむはずであ
る。それができないとすれば、理由は2つ考えられる。
一つは、地震と水素爆発の影響で、核燃料棒とメルトダウンした塊を冷
却することが有効にできない状態だからではなかろうか。圧力容器は勿論
のこと、格納容器に接続されている配管部分などが破壊されている可能性
があるのではなか、ということである。したがって、毎日注水しなければ
ならないからではないか、という疑問である。その冷却装置も破壊されて
いるため、建屋全体で冷却せざるを得ない状態にあるのではなかろうか。
すなわち、ザルに水の状態が現在も続いている、ということを意味してい
るのではないか、という疑問である。
二つ目の疑問は、メルトダウンした核燃料の塊が格納容器も貫通してい
るのではないか、という疑問である。さらには、建屋の底も貫通している
のではないかと心配している。この場合も、毎日注水する必要がある。も
しも、これが事実であるとすれば、海にも多少はシミ出ることになる。そ
うすれば、海への影響も無視できなくなる。
いずれにしても、東電の説明には説得力はない。信用できるのかどうか
も疑問である。
また、ストロンチュームが検出されたことを1年3ヶ月東電は隠し続け
ていたと報じられている。一方、ストロンチュームを抽出する方法が開発
されたと報じられているが、しかし、それで何ら解決されたことにはなら
ない。最終的にそれをどう、どこに、どんな方法で処分すれば安全なのか、
という点にかんして何ら解決されていないからである。
一度、原発事故が発生すれば、国土と人間に与える悪影響は極めて大き
い。国民として、もっと真剣に観察する努力が必要ではなかろうか。原発
は、30年といわず、即刻廃止すべきである。