2020年のオリンピックが東京で開催されることが決定した。2020
年7月24日(金)~8月9日(日)までの17日間、夏季に開催されるこ
とから、「夏季東京オリンピック」ともよばれるようである。日本で開催
されることは喜ばしいことである。しかし、冷静に考えれば、メリットと
デメリットがある。その課題を考えてみよう。
( メ リ ッ ト )
① デフレ脱却の起爆剤となる。競技場の建設、選手村の建設、諸
設備などに約3855億円、運営費に3013億円の計7340億円かか
る。しかし、経済効果は6兆円ともいわれる。景気浮揚の起爆剤にな
るのは確実といえよう。
② 来日する外国人との交流、日本文化の啓蒙等々に役立つ。全般
的に、日本の食べ物は美味しいといわれている。レストランや一般食
堂などのコックさんや板前さんの腕の見せ所となるだろう。
( デ メ リ ッ ト )
① 開催時期に問題。
夏場の開催は危険である。まず高温による熱中症で多数のアスリスト
に高温障害が出る恐れがある。56年前の東京オリンピックは10月に
開催された。現在の「体育の日」が10月なのは、そのためである。20
年のオリンピックは5月中に開かれるのが理想的である。6月は梅雨
時であり、10月は台風に襲われる可能性が多いからである。
② 自然災害に襲われる可能性 ?
(1) 直下型大地震に襲われる可能性 ?
開催直前や、開催中に襲われた場合、最悪の結果となる可能性
が高い。この場合、首都高の橋脚が倒壊するだろう。首都高は50
年たっており、老朽化しているからである。特に、埋め立て地の
お台場に作る選手村の建物が液状化などで傾いたり、倒壊する可
能性があるのではなかろうか。
(2) 台風や竜巻に襲われる可能性 ?
台風や竜巻などに襲われた場合、選手村などの建物のガラスが吹
き飛ばされ多数の怪我人などが出る可能性がある。窓には、外付
けのステンレス製の雨戸を設置することをお勧めしたい。何百人も
入れる窓のない避難部屋を作るのは困難だと思うからである。
(3) 高潮や津波に襲われる可能性?
台風による高潮や、巨大地震による津波に襲われる場合の対策も
考えておく必要がある。特に、南海トラフなどの巨大地震で選手村
の建物が傾斜した後で、津波に襲われた場合、完全に倒壊する可
能性がある。また、台風津波といわれる高潮に対する方策も考えて
おくべきであろう。
(4) 放射能汚染による影響 ?
安倍首相は「汚染水は0.3平方キロ以内に完全にブロックしている
」と云っているが、汚染水はその外側の海に流れ出ており、東電も
首相発言に困惑している、と報じられている。第一、今月から始め
られる予定だった、福島県沖の試験操業は延期されているではな
いか。首相発言は現実と矛盾していると云わざるを得ない。
福島第一原発による海洋汚染は、世界中の広範囲の海に強い
悪影響を与える、と主張している世界の科学者もいる。自国に帰
ってから、体調をくずす人もいよう。その場合、汚染水が原因では
ないか、と日本に対する疑念が出された場合、一般的な風評被害
に発展する可能性がある。その場合、日本に対する悪影響はあら
ゆる方面にいたるだろう。
今、考えられる可能性を列記したが、この他にもいろいろなメリットとデ
メリットが考えられる。オリンピック招致に成功したのは喜ばしいが、冷静
的、総合的に考える必要があると思われる。猪瀬東京都知事は、直前に
奥さんの死という悲しみを乗り越えて、よく頑張ったと思う。敬意を表した
い。