日本共産党は19日、緊急中央委員会総会を開き、来夏の参院選や
次期衆院選で民主党などの野党との選挙協力を進める方針を見直す方
針を決めた。その根拠は安保関連法に反対する世論の高まりを受けた
ためだろう、と報じられている。
これに対し20日、民主党の岡田克也代表は「思い切った提案で、か
なり注目している」と述べ、前向きな姿勢を示した。その根拠は、民主
党が政権を獲得した2009年の衆院選で、共産党は小選挙区候補を全体
の約半数となる152人に絞ったため、「わが党にとっては大きなプラスが
あった」と同代表は指摘したと報じられている。(上記のいずれも、毎日
新聞参照)
いずれにしても歓迎すべき傾向である。誰もが指摘している違憲の安保
法案を、自民党と与党は数の力だけで強行可決してしまった。法治国家、
民主主義の大危機である。平和の党といっていた公明党は自民党と同じ好
戦党になってしまった。残念なことである。
今回の安保法案の一番の問題点は、米国がする戦争や紛争があれば、地
球の裏側にまで自衛隊を派遣して行って支援する、という一点にある。違
憲の有事法制である。違憲の法案に対する代案は必要ない。今回の安保法
案前の状態のままでいい、というのが対案そのものだからである。
一方、同法案に対する賛成意見は、中国の軍事パレードや北朝鮮の核開
発の脅威をあげるものである。しかし、力に対する力を以て対抗するとい
うパワーポリティクスという武力主義は東西冷戦の末期から時代遅れの考
え方として否定され続けてきたことである。その後の世界の潮流は「自由
と民主主義」という「世界のレジーム」になったのである。平和的な手段
で紛争を解決しようとする動きである。その根拠は、人類を何度も皆殺し
できるだけの核兵器を持ちながら、まだ兵力の優劣を論ずる世界の指導者
の姿は狂気に見えたからである。際限のない話でもある。
その「世界のレジーム」からの脱出、すなわち武力第一主義を唱えてい
るのが安倍首相流といえよう。先の第二次世界大戦では、世界は地獄を見
たといわれている。その地獄の世界を再現しようとしているのが安保法と
いえよう。そんなことを許してはならない。自分の子や孫を狂気から守ら
なければならないからである
野党は、小異を捨てて大道につくべきである。「安保法の廃案」という一
点で野党は大同団結してほしい。そのためには、選挙協力は必須である。
さもなくば、日本はふたたび地獄を見ることになるであろう。