「宮本武蔵」(稲垣浩監督)いらい54年ぶりの外国語部門で
の受賞である。独立した部門となってからは初の受賞でもある。
監督・滝田洋二郎氏、主演・本木雅弘氏、出演の広末涼子、余貴
美子の両氏も喜び一杯であろう。日本人が受賞したのは久しぶり
であり、明るいニュースだった。
映画「おくりびと」を見ていないので具体的な内容は不明であ
る。しかし、今では納棺の際には僧侶は立ち会わないが、何をす
るか大体のことは分かる。人の死に際し、遺体を棺に納める仕事
をするのが納棺士である。遺体を拭いたり、死に化粧などをする。
一昔前までは、僧侶が指導し、お経を唱えながら納棺したもの
である。野僧にも経験がある。今でも納棺士ではなく、僧侶の指
導のもとで納棺する地方があると思われる。特に、離れ小島や田
舎などではその可能性が大きいと思われる。
そもそも人の死という厳粛な儀式に際し、納棺の儀式は厳粛な
ものだった。まず、人が死ぬと親戚中が集まって、経帷子(きょ
うかたびら)を縫い合わせて死者に着せたものである。背中、そ
で、襟などに分割された衣類(ほとんどは白いサラシである)を
一つの着物に仕立てあげるのである。その他に顔にかける頭巾
(ずきん)、着物の上に捲く上帯(うわおび)、手の甲をおおう
手甲(てっこう)、足のすねに捲く脚絆(きゃはん)、足袋(た
び)、「ふんどし」や「腰巻」の下帯(したおび)、個人の愛用
の品物を入れる頭陀袋(ずだぶくろ)などがある。これらの細部
にまで細かく経文を書いたものである。たとえば、下帯(したお
び)には「淫欲皆已断、純一変化生(いんよくかいいだん、じゅ
んいちへんげしょう)と法華宗では書く。淫欲は皆すでに断じ、
純一の心で生まれ変わります、という意味である。この経帷子(
きょうかたびら)は、生前に自分の寺の住職から書いてもらって
おくのが通例だった。また、霊場めぐりの時に白いサラシの上衣
を着て回り、行く先々の寺の印を捺してもらったものなどで経帷
子(きょうかたびら)に代える場合もある。
それが今では最初から仕立てあげられた白い着物が使用される
ようになった。中には、背中に「南無妙法連華経」と印刷された
ものもある。しかし、今でも正式の経帷子(きょうかたびら)を
着せる地域もあるはずである。
いずれにしても、今では死者の納棺はほとんど納棺士によって
行われている。映画はユーモアをまじえたものといわれる。今回
のアカデミー賞を受賞したことで、納棺士は公認されたようなも
のである。
最後に、葬儀関係者が一番困るのは、飛び降り自殺の遺体処理
だといわれている。
の受賞である。独立した部門となってからは初の受賞でもある。
監督・滝田洋二郎氏、主演・本木雅弘氏、出演の広末涼子、余貴
美子の両氏も喜び一杯であろう。日本人が受賞したのは久しぶり
であり、明るいニュースだった。
映画「おくりびと」を見ていないので具体的な内容は不明であ
る。しかし、今では納棺の際には僧侶は立ち会わないが、何をす
るか大体のことは分かる。人の死に際し、遺体を棺に納める仕事
をするのが納棺士である。遺体を拭いたり、死に化粧などをする。
一昔前までは、僧侶が指導し、お経を唱えながら納棺したもの
である。野僧にも経験がある。今でも納棺士ではなく、僧侶の指
導のもとで納棺する地方があると思われる。特に、離れ小島や田
舎などではその可能性が大きいと思われる。
そもそも人の死という厳粛な儀式に際し、納棺の儀式は厳粛な
ものだった。まず、人が死ぬと親戚中が集まって、経帷子(きょ
うかたびら)を縫い合わせて死者に着せたものである。背中、そ
で、襟などに分割された衣類(ほとんどは白いサラシである)を
一つの着物に仕立てあげるのである。その他に顔にかける頭巾
(ずきん)、着物の上に捲く上帯(うわおび)、手の甲をおおう
手甲(てっこう)、足のすねに捲く脚絆(きゃはん)、足袋(た
び)、「ふんどし」や「腰巻」の下帯(したおび)、個人の愛用
の品物を入れる頭陀袋(ずだぶくろ)などがある。これらの細部
にまで細かく経文を書いたものである。たとえば、下帯(したお
び)には「淫欲皆已断、純一変化生(いんよくかいいだん、じゅ
んいちへんげしょう)と法華宗では書く。淫欲は皆すでに断じ、
純一の心で生まれ変わります、という意味である。この経帷子(
きょうかたびら)は、生前に自分の寺の住職から書いてもらって
おくのが通例だった。また、霊場めぐりの時に白いサラシの上衣
を着て回り、行く先々の寺の印を捺してもらったものなどで経帷
子(きょうかたびら)に代える場合もある。
それが今では最初から仕立てあげられた白い着物が使用される
ようになった。中には、背中に「南無妙法連華経」と印刷された
ものもある。しかし、今でも正式の経帷子(きょうかたびら)を
着せる地域もあるはずである。
いずれにしても、今では死者の納棺はほとんど納棺士によって
行われている。映画はユーモアをまじえたものといわれる。今回
のアカデミー賞を受賞したことで、納棺士は公認されたようなも
のである。
最後に、葬儀関係者が一番困るのは、飛び降り自殺の遺体処理
だといわれている。