今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

日本地下都市構想概論 ⑤

2021-03-19 16:33:33 | 幸福の追求

金は諸悪の根源!

 現在の日本の犯罪の中でも金にまつわる事犯はどのくらいかご存じだろうか。

刑法犯の総認知軒数のうち交通違反軒数まで含まれているが、悪意のある交通違

反軒数は約10%として累計すると、金にまつわる事犯は90.3%である。刑

法犯のほとんどは金がらみとなっている。逆説的には貨幣制度でなくなれば、ほ

とんどの刑法犯はなくなることになるだろう。

      (『犯罪白書』法務省法務総合研究所編・平成13年度飯)参照。

詳細については私の粗書『貨幣経済は崩壊するー大反転後の世界はこうなるー』

(三想社・2003年発行)をご覧いただきたい。

 また、世界中で戦争のない日はない、と云われている。毎日、世界のどこかで戦

争という殺し合いによって、多くの人々が殺され、傷ついているのが現実である。

それは偶然であろうか、作為的であるかという疑問が生ずる。この点については

『闇の世界権力構造と人類の針路』中村薫著(文芸社)を見ればその答えはすぐに

わかる。それは偶然に起こっているのではなく、意図的に戦争は計画され、実行さ

れている結果だという。常識では考えられない血も凍るような話しだという。著者

の中村薫女史は明治天皇のお孫さまではあるが、日本での一市民という身分では不

可能と思われる外国首脳等にインタビューし、考えられないような世界の政治的な

裏話を書いており珍しい貴重な本といえよう。

同書の肝心を紹介しよう。同書はすでに1997年に発行されているので、その

内容を知っている人も多いと思われる。1番わかりやすい例としてイラクのクエー

ト侵攻を、同書をもとに書こう。直接的な紛争原因としてイラクとクエートの国境を

またぐルメイラ油田が地下にあった。米国元国務長官のK氏がイラクに現れ、『クエ

ートのあのような石油採掘は許されるのか』とけしかけた。以前からクエートは盗掘

しているとイラクは避難していた。米国は予算から「農業援助資金」という名目でイ

ラクに50億ドルを送った。その金でイラクはK氏を介して武器を購入した。その際、

K氏は800万ドルの顧問料をもらっている。イラクのフセイン大統領がクエートに

侵攻する一週間前に註イラク大使G氏は「たとえイラクが侵攻しても米国は干与しな

い」とフセイン大統領に伝えている。それと同じことを侵攻二日前も米国の外務次官

が繰り返したと報道された。また、米大使G氏はフセイン大統領との会見中に、イラ

クの軍事行動を容認する発言を容認したという。

 こうしてイラク軍は国境突破してクエートに侵攻した。その途端に、世界のマスコミ

を総動員してフセイン大統領を悪者に仕立て上げ、多国籍軍を編成し、わずか45日間

で広島原爆の50倍に匹敵する番弾が投下された。結局、米国は在庫兵器、爆弾をきれ

いに一一掃してしまった。日本も1兆3000億円もの大金を拠出されるされるはめに

なった。しかし舞台裏の実体は、国際金融財閥の支配下以外の銀行に預金を移動使用と

したクエートを、イラクによる侵攻という形で罰し、それをもって他の湾岸諸国への見

せしめにすることだったと云う。その陰謀は見事に達成されたのである。

 また、1980~1988年までのイラン・イラク戦争の例を示そう。イ

ラン・イラク戦争をそそのかして始めさせたのは、実はK氏だったと中丸女

史は明記している。砂漠の真ん中で戦ったこの戦争は水不足のために、自分

の尿を飲みながら戦ったという壮絶なものだった。短期間でイラクは勝利す

るとそそのかしたが、戦争は8年間続いた。さらに、両国が疲労こんぱいし、

和平の動きが出るたびに米国とイスラエルの諜報機関が両国を訪れ、和平の

動きを阻止し、戦闘が続くようにと工作したという。さら、イラン・イラク

双方ともに、同じ国で作られたまったく同一の武器で戦っているのを知った

という。この時ほど「死の商人」という言葉の恐怖を実感したことはないと

女史は記している。

また、日米の太平洋戦争では、日本による宣戦布告なき卑怯な開戦は絶対的に

必要だったと薫女史は云う。日本軍による卑怯な真珠湾攻撃をかたずを飲んで米

国大統領室で待っていたのはルーズベルト大統領とその側近、さらにはニューヨ

ークの金融財閥だったと云っている。20年も前から計画されていた世界大戦に

参戦するには日本側に先制攻撃させることが絶対に必要だった。すなわち日本は

米国の罠にみすみすはまったことになる。戦後、テレビ、新聞などのマスコミは

この事実を報道しているので、間違いのないことだと断言できるだろう。

 さらに軍需産業としては世界各地で絶えず戦争がなければ困ることになる。し

たがって、世界各国の小さな紛争を見つけ出し、双方に資金と武器を持たせ紛争

をわざわざ大きくすることもあると云う。あるいは、何の紛争もない地区に、紛

争が発生するように両勢力に金と武器をわたし策略をめぐらすこともあると云う。

このような陰謀を巡らすのはCIAだと云われている。まさに血も凍る世界だと云

う。

 本欄の最初に書いた通り、犯罪の90%は金がらみである。男も女も、理由はい

ろいろであるが、金のためには何でもする。すなわち、貨幣経済である限りは金が

らみの犯罪はなくならないのではなかろうか。逆説的には貨幣経済をなくすれば金

がらみの犯罪はなくなるであろう。「貨幣制度が世界中から消えれば、円満な社会、

円満な世界にしてやって行ける」という発言をした日本人の有力な経済人をテレビ

で見たことがある。うっかりしてその人の名前をメモできなかったのが残念である。

もしもその人物を知っている方は、その方の姓名を教えていただきたいと願ってい

る。 

 次回は、一国の王子、妻子のいる家庭、貨幣経済制度などの世俗のすべてを捨てて

求道者となったブッダの貨幣制度への苦言を呈したブッダの発言をご紹介したいと思

う。

 


日本地下都市構想概論 ④

2021-03-12 19:26:37 | 幸福の追求

貨幣経済はなぜ駄目なのか?

 現在のような人類になったのは約10万年前だと云われる。さらにさかのぼれ

ば猿だった。地球の氷河期にはネズミのような小動物だったと云われている。も

っとさかのぼれば地球上にボウフラのような生物が初めて海中に発生した時まで

さかのぼることができる。根元的に考えると、宇宙ができた時から我々の生命は

どこかにあったはずである。そうでなければ我々人類の今日はなかったことにな

る。このように分析してみると我々の生命をブッダは、始めなく終わりなき無始

無終の永遠なものと云っている。

 ところで日本で初めて貨幣が鋳造されたのは708年で和銅開珎(わどうかい

ちん)だった。それ以前に富本銭(ふほんせん)が作られていたことが分かって

いる。そもそも貨幣経済は貨幣によっていろんな商品との交換を媒介する経済の

一形態である。これを見ればわかるように、紙の紙幣や銀貨や銅貨などを溶かし

て品物を作るわけではない。当たり前のことである。すなわち貨幣経済でなくと

も材料さえあれば品物などを生産できるのである。まず、そのことを正しく認識

しておく必要がある。

 貨幣経済が崩壊すると思える気候変動のプロセスを予想してみよう。日本は海

洋国家であるので降水量の増加がより一層激しくなるものと思われる。具体的に

は洪水の激化が心配される。洪水は年々激しくなるだろう。恐らく想像以上の被

害が恒常化するものと思われる。さらに台風による風害も大規模化するだろう。

その被害は予想をはるかに超えるはずである。また海面の上昇も大問題となるだ

ろう。

2019年9月、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の温暖化対策サ

ミットがニューヨークで開かれた。この中で、地球の平均気温が4°C上昇すると

東京湾の水位は8m以上上昇するとの予測が発表された。ニューヨーク、上海な

ど世界の22ヶ国が該当するとのことである。特に東京はゼロメートルどころか、

日比谷公園まで水没するとの予測である。常時8メートル海面が上昇すると、台

風の際どこまで高潮が到達するのか想像しただけで恐ろしくなる。

 恐らく、被害額などの算出すら意味のないものとなるだろう。貨幣経済の未来

を論じたくても論じる空虚さしか残らないようになるであろう。

 


日本地下都市構想概論 ③

2021-03-05 13:39:24 | 幸福の追求

父系制か母系制社会にするか?

 男性の生涯未婚率は24.2%、女性は14.9%(2015年調査)となっ

ている。日本の50歳男性の約4人に一人は一度も結婚経験がないという状況で

ある。これまで一夫一婦制の結婚観が支配的ではあったが、近年さらに男女とも

結婚を望まない人たちが増えてきているような傾向にあるのではなかろうか。

また離婚率は平成30年の調査では1000人あたり1.68%、令和元年で

は1.69%である。世界中の他国の離婚率に比べてもそれほど高くはない。一

方再婚率は夫19.7%、妻16.9である。男女を問わず一人が何度も結婚と

離婚を繰り返す傾向にある。特に都市部では地方に比べて離婚率が高いのも特長

である。都市部の方が異性と知り合う機会が多いからと推測される。これが日本

における婚姻制の概略である。

 ところで結婚しているから「幸福」、未婚だから「不幸」と単純には云えない。

たとえば未婚の男女にとって心配事は自分一人だけの問題である。一方、結婚し

ている相手の夫や妻それぞれについての心配も絶えない。さらに子供がいれば

さらなる心配事が増えることになる。とくに浮気などがからんでくると離婚騒動

に発展する場合もある。そればかりか、たがいに殺し合うことすらある。これを

仏教では「壊苦」(えく)という。幸福だと思っていても破壊すると苦に変わる

ことを云う。男女の「愛」なるものは一生変わらず愛し合う場合もある。一方、

男女のいずれかが心変わりすることがある。その時、「愛」が「憎しみ」に変わ

る場合もありうる。これに対し「仏」の慈悲(博愛)は「すべての人間は仏の子」

という「絶対的な愛」だと云われる。この裏切られることもなく、壊れることがな

い「愛」を「慈悲」という。また一般的な「愛」が壊れると「怨憎会苦」(おんぞ

うえく)とも云われる。顔を合わせるたびに互いに憎しみあうことを云う。愛とか

恋と云ったって極めてはかない裏面があることを認識しておくことも必要であろう。

しかし、夫婦愛を一生貫き通す夫婦もいる。これも幸せな一生だったということも

も疑いのないことであろう。その一方で50代の女性に聞くと、「夫に不満を持た

ない女性はいないよ」と云うのを聞いたことがある。人生とは難しいものである。

 以上のことも頭に入れて理想世界の結婚観や幸福論を体制化できないものであろ

うか。まだ荒削りの論理ではあるが概略を記そう。

 

(1)イスラム世界では一夫多妻制度がある。

(2)アジアでは母系社会もある。毎夜のようにいろんな男性が女性の家を訪れるよ

   うである。

(3)子供を1ヶ所に集めて全員で愛育する。ただし実母は自分の子に授乳できるし、

   いつでも会うことができる。実夫の名前などを子や他人に教えてはならない。

(4)夫、妻、子という家庭制度は認めない。

(5)男女の結婚は認めない。

(6)夫、妻、子という一単位は、自我の元であり、社会全体の和を壊す可能性がある。

   (この項は、人間牧場の一部を参考にしている)

(7)一妻多夫制も検討すべきである。

(8)実質的には母系制社会となる。

 

 以上、あくまでも基本的な概略であるが、これを参考にして女性が中心となって

新たな理想社会構想をまとめてもらいと思っている。

 新地下都市では、これまでのような父系制とするのか、まったく新たな母系制に

するのか、という新社会構造を深化させるのも一考ではなかろうか。これまでの父

系社会では女性が隷属されつづけてきたという印象は免れられない。その優位性と

劣勢の根本は力関係にあったと思われる。夫婦げんかしても、男には力尽くで女を

ねじふせる自身があった。それもかなわなければ女を殺してでも男の我をつらぬい

てきたという過去の悪例もあった。しかし今や過去の悪物語は通じない社会構造に

変革する理想社会の実現可能な新たな状況が生じつつあるような気がしてならない。

父系制と母系制に関する善悪の論争は過去にも喧々がくがくと展開されたことは知

っている。しかし、現在のような父系制が最良だとは思えない。