今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

阿部首相の環境認識を問う

2007-05-20 10:35:26 | 環境
 阿部首相は19日、北海道新聞の新田編集長のインタビュー
に答え、来年のサミットで、「ポスト京都議定書の枠組みをど
うつくるのかが大変重要」と答えている。また、「2013年
以降の国際的枠組みの骨格づくりを目指し、温暖化対策の新た
な取り組みを北海道から世界に発信する意向を表明した」と、
道新は報じている。(5月20日朝刊)
 この阿部首相の認識は間違ってはいない。しかし、環境破壊
の現状に対する認識の甘さは依然として変わっていない。
 その問題点は二つある。第一の問題点は、人類がこの200
年間に出し続けてきた温暖化効果ガスだけでも人類は滅亡を迎
えざるを得ない、という認識に欠けていることである。そのガ
スは、すぐに消えてなくなるものではない、ということでもあ
る。物質によって異なるが、一般的には数千年消えない、とい
われている。事実、今日の異常気象等は、この200年間に出
された温暖化効果ガスが蓄積された結果であることが理解され
ていない。この点に関しては、阿部首相だけを責めるわけには
いかない。大多数の科学者でさえ、この事実を無視しているか
らである。
 京都議定書を見ればわかるように、大気中の温暖化効果ガス
を消去しなければならない、という記述は一切出てこない。素
人でさえ解るのに、科学者は解らないのであろうか。それなら
ば、へボ科学者といわれても仕方ないのではなかろうか。馬鹿
げている。そんなへボ科学者が何百人で議論しても温暖化を食
い止めることも、人類を延命させることも出来るわけがない。
ポスト京都議定書でこの問題が真剣に討議され、消去する解決
策が提示されない限り、人類に残された時間は少ないと知るべ
きである。
 第二の問題点としては、今後、可能な限り、温暖化効果ガス
を人類は出さない、ということである。しかし、これも不可能
な現状にある。なぜなら、中国の温暖化効果ガスの排出量は米
国並みになっている。今年の末には、米国を抜いて中国が一位
になるだろうという予測まで飛び出している。さらに、このま
ま中国が、温暖化効果ガスを出し続けると25年後には、日米
欧の三極の出す温暖化効果ガスの二倍を中国一国で出すだろう、
と予測されている。5%や10%を削減するだけでも米国など
が反発しているのに、中国をはじめインドやロシアなども反発
するだろう。ポスト京都議定書では、お茶を濁す程度になるだ
ろう。人類の危機を訴えても、無視されるであろう。
 人類が延命するためには、上記の二つの問題を解決しなけれ
ばならない。まさに、車の両輪のように。
 このように人類の未来は明るくも、美しくもない。サミット
でも大同小異の結論になるだろう。人類が滅亡の瀬戸際まで追
いつめられなければ、目覚めないだろう。2050年前後から
人類が滅亡する小の三災が本格化するだろう。2100年を迎
えられる人類は5%ぐらいなものであろう。

北海道産サケ、2099年に壊滅

2007-05-03 09:46:54 | 環境
 温暖化による海水温の上昇が進めば、北海道生まれの
サケが2099年にほぼ壊滅状態になる恐れがあると、
北大大学院水産科学研究所(函館)の帰山雅秀教授(魚
類生態学)の推計で分かった。(北海道新聞、5、2)
 北海道生まれのサケは、ふ化後1年目の7~10月に
かけて知床半島とサハリン、カムチャッカ半島にはさま
れたオホーツク海の三角形の海域で過ごし、ここでの「
生存率」が、その後の回帰率を左右するという。生き残
りには、生育に適した8~12度が重要という。教授は
米海洋大気局の人工衛星の観測データと、政府間パネル
の予想シナリオに基づき推計した。
 その結果、三角形の海域の海域が50年時点で18%、
99年では74%も減ってしまう。すなわち、適水温域
が遠のいてしまうからだという。
 ただ、ここで問題となるのは、教授が参考とした政府
間パネルの数値は各国の政治的な思惑が加味されたもの
であり、信頼できないものである。
 中国の温室効果ガスが米国を抜くといわれる2007
年末の一事を見れば分かるように、海水温の上昇はもっ
と早くなることが予想される。やはりヨーロッパの海洋
学者が予測したように、48年漁業破壊というほうが説
得力があるのではなかろうか。