今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

無抵抗の仏僧を殺さないで

2007-09-28 07:36:45 | 仏教
 9月27日(日本時間)、反政府デモの鎮圧を
図るミャンマーの軍政は、自動小銃などで発砲し、
日本人ジャーナリスト1人(長井健司さん)を含
む10人を殺し、数百人が負傷したと報じられた。
仏僧がその中にいるのかどうかは不明である。
 また、前日の26日には僧侶を含む5人が殺さ
れた、と報じられている。さらにスーレ・パコタ
(仏塔)からの退去を拒否した30人の仏僧と市
民が激しく殴打され20人が拘束されたと報じら
れた。さらに仏僧650人が拘束されたとも報じ
られている。
 これらの一連の軍政の強行手段は、武力で抑制
しようとする単純な考え方である。いかにも軍人
らしい解決方法である。今回の軍政の国民抑圧行
動は、政権という権力を絶対に手放したくない、
という思いから出たものであろう。大戦後の軍政
で長く権力を掌握した国はない。
 一方、ミャンマー人の中には、「自国民に銃を
向ける軍隊が、他国の侵略から自国を守れるのか
」、と批判する人もいると報じられている。
 そもそも1988年に軍のクーデターで権力を
掌握し、90年の総選挙の結果に従うと公約して
いた軍政だったが、勝ったのはアウン・サウン・
ス-・チ-さんの率いる国民民主連盟だった。そ
の公約を無視して現在まで政権に執着する軍政は、
アン・フェア-といわれても仕方ないであろう。
国家権力の座は、そんなに甘味があるのであろう
か。
 非暴力で、無抵抗の仏僧を殺さないでほしい。
「殺すな、殺させるな」というブッダの言葉を忠
実に守るミャンマーの仏僧達は武器を手にするこ
とはない。
 仏僧と民衆に発砲したり暴力的な手段で軍政を
守ろうとすると、逆に軍政は崩壊させられるであ
ろう。明治初期の廃仏毀釈が終わってから、ある
県の元家老は、「仏教徒に殺される」と思いこん
で発狂した事例がある。

猫からエキノコックスーペットに注意

2007-09-05 00:33:52 | 環境
 「(人間以外の動物など)が毒を吐くから
病気が流行する。それにあえば、たちまち命を落
とす。治療して救うことは困難である」と仏典に
説かれている。人類が絶滅する際の、顕著な現象
の一つである、と説かれている。野僧の粗書の中
で何度も引用している。これまでは野生の動物か
らエイズなどの難病が派生していたが、やがて人
間の身近にいるペットからの感染に拡大するので
はないかと危惧していた。
 現在のところ北大の研究チームがペットの猫、
約600匹をしらべた結果、一匹のふん便からエ
キノコックスの卵が見つかった。猫は野ねずみを
捕食するからである。これが拡大傾向にあるのか
どうか即断できないが、注意が必要であろう。寄
生虫エキノコックスはキツネやネズミに寄生し、
人に感染すると肝機能障害を起し、死に至ること
もある。
 野僧にとってエキノコックスに対して忘れられ
ない思い出がある。小学生から中学生にかけて母
は野いちご採りに山へ私をよく連れて行った。採
ってきたイチゴをカメに入れて砂糖付けにし、保
存食品にしてイチゴを食べた記憶が忘れられない
からである。あるいは、イチゴから出るジュース
も好きだった。何よりも野いちご採りが楽しみだ
ったのである。ところが、高校卒業後、東京へ出
て帰ると、「もうイチゴ採りはできないんだって
」、と母は悲しそうにして話していたのも忘れら
れない。「何でなの」と聞くと、「野いちごを食
べるとおっかない病気になるんだって」と母はい
った。それ以上聞いても母には分からないようだ
った。その後わかったことだが、キツネのふん便
が野いちごに吸収されるとエキノコックスに感染
するからである。
 一方、現在でも心配されているのは、カラスな
どの野鳥が病院などの医療廃棄物をつつき、とん
でもない病原菌を持っていることがある、という
話を以前から聞いている。その真偽はわからない
が、注意すべきではなかろうか。