今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

これまでの常識や経験外の出来事、それが環境破壊だ!

2010-07-27 20:42:38 | 環境
 猛暑、熱中症、ゲリラ豪雨、洪水などの諸現象は、これまで人類が
経験したことを超えているものばかりである。今回の長雨による洪水
被害は、徐々に水かさが増えるのではなく、あっというまに大洪水に
なるといった現象が目立った。80才を過ぎた老人は「こんなことは
生まれて初めてだ」と云っている。2004年、徳島県の小林村では、
3日間で2000ミリという1年分の降雨量を記録したことがある。
たとえ1週間で1年分の降雨量が降ったとしても、大変な洪水や土砂
災害が発生することになる。また、最近の猛暑を見れば、2030年
には東京の夏の気温は40度(常温)になるというある科学者の予測
を否定する人はいるのであろうか。今はまだ2010年にすぎない。
さらにロシアでは記録的な猛暑が続き、今月12~18日に1180
件の森林火災が自然発生し、3万ヘクタール以上が消失したと報じら
れている。
 これらの異常気象の原因はきわめて単純である。大気中の炭酸ガス
の増加で世界中の気温は徐々に上がる。気温の上昇で海水温度も上が
り、海面からの上昇気流が強くなる。それが多雨の原因である。また
世界中の気温が上がれば、南極の氷や各地の氷河が溶けることにな
る。海面も高くなる。海水温度が高くなれば、海水自体が膨張し前記
と重なるように、さらに海面は高くなる。そうなれば台風などの時に
高波が発生すれば、相当な奥地にまで海水が押し寄せることになる。
その被害は予想を超えたものとなるだろう。これを信じられない人が
いるとすれば、ためしに品川埠頭に行って海面と埠頭の高さを見比べ
れば納得できるはずである。これらは環境破壊のほんの一例に過ぎな
い。
 いずれにしても、上記の原因を作っているのは人類である。炭酸ガ
スばかりでなく、人的原因物質が自然の摂理を破壊しているのである。
したがって、自然界はこれまでの摂理を、すでにできない事態になっ
ている。したがって、われわれ人類がこれまで経験したことがないこ
とや、これまでの常識外のことが起こっているのである。この傾向は
さらなる予測不可能な状況になるだろう。第一、自然界自体が地球で
は、これまでのような自然の法則が通じないことに困惑しているはず
である。すでにチグハグな現象も目につく。北半球では熱波に襲われ
ている反面、南半球では寒波に襲われている。かって長崎水害の時は、
水不足で給水制限しているさなかに、大水害に襲われたことがある。
このようなトンチンカンな現象に人類は今後、より一層悩まされるこ
とになるだろう。21世紀はパニックの世紀といわれる所以である。

有能な政治家はいないのか?

2010-07-14 12:30:34 | 政治
 参議院選挙は終わった。民主党は惨敗した。昨年の衆議院選挙のマニフェスト
を実行しなかったからである。当然と云えば当然である。今回の選挙戦の直前に
テレビで放映された女子大生の発言が忘れられない。「云ったもの勝ち」みたい
だと。平気で約束を破る政治家は、資質を疑われても仕方ないであろう。
 菅首相は今回の選挙で訴えた。「民主党に元気を下さい」と。それは逆ではな
かろうか。学校を卒業しても就職できない、と困窮している人は大勢いる。当寺
の檀家さんの中には、高校を卒業しても就職できないので専門学校にいかせた、
という例がある。そのような困窮した現況下の中で、夢と希望を説かないで、自
党だけ売り込んでも説得力はない。民主党ばかりでなく、夢と希望を説く政党は
一つもなかった。何のための選挙だったのであろうか。社民党にしても普天間基
地を辺野古に移設することに反対するばかりで、こうすれば外国の基地そのもの
がなくなる、という提案は何もなかった。具体的な解決策を示さない反対論は空
論に過ぎない。
 菅内閣は、普天間基地を辺野古に移設することに米国と合意している。朝鮮半
島の緊張問題を考えれば仕方のない一面は否定できない。しかし、その決定前に、
民主党の主要議員や大臣がアメリカ詣でをしたのが気にかかる。米国隷属の感が
したからである。いつまでも米国頼りでは心もとない。もっと理想的な理想世界
像を説けなかったのであろうか。その理想像は近くにあった、のにである。かっ
て小沢一郎氏は、自衛隊の海外派遣は国連決議のもとに行うべきだ、と主張して
いた。この小沢構想をいま一歩進めると、国連軍の創設へと繋がる。勿論、すぐ
に国連軍が創設されるとは思えない。しかし、時間がかかっても国連軍ができる
のは確実なことだと思われる。そうなれば、沖縄の基地問題も自然解消される。
今や、一国だけでは戦争できない世界情勢である。国際世論が許さないからであ
る。北朝鮮が強気な言動をしていても、中国の支持なしには何もできないのと同
じである。中国と韓国は経済的な交流が活発で戦争どころの話ではないからであ
る。そういった将来像を示す政党は0だった。小沢氏が良いとか、悪いとかとい
うものではない。誰が云おうが、正しいものは正しいのである。
 また、経済の活性化に対する具体論も皆無だった。原発の海外進出などにして
も、活性化にほど遠いものである。この景気浮揚については、本欄で何度も主張
しているように、首都機能移転構想を実行すれば実現できるものである。どうし
てどの政党も移転を云わないのであろうか。国会議事堂、行政、司法などの官庁
舎の建設、それらの人々の住宅建設、パソコン、電話、テレビ、コンビニなどの
商店、娯楽施設、技術開発などの内需拡大は全業種にわたる莫大なものとなる。
当然、人手不足ともなる。また、地域としては那須以北ならどこでも可能である。
北海道なら理想的であろう。これに対してゼネコンや大手企業が支持の声をあげ
ないのは、足し算や掛け算もわからないような無能な人しかいないのかと思わざ
るを得ない。ゼネコンは、100年に一度の災害で驚くことはない、といってい
るようである。水害一つとっても、毎年大きな災害が世界中で発生している。あ
げくのはてに、環境評論家なる人物をテレビなどのマスコミに登場させて環境破
壊はない、と嘘ぶかせている。それは自慰行為に似ている。
 その理由は、環境破壊による影響を信じていないからであろう。しかし、あと
20年もすれば、誰もが環境破壊の恐怖を実感することになるだろう。2030
年頃になれば、東京の夏の昼の気温は40度になるだろう。さらにヒ-トアイラ
ンド現象で42・3度になるはずである。恐らくそれが常温になると思われる。
口蹄疫はパニックを引き起こしたが、気温上昇による疫病は世界全体に及ぶだろ
う。口蹄疫を上回るものとなるはずである。それからでは遅すぎる。このような
未来像を説く政治家も0に等しい。これは人類の断末魔の変形なのかも知れない。
 いずれにしても、われわれ人間が存在している間は、幸福を追求する政治家に
期待せざるを得ない。