今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

沖縄問題の解決策は国連軍の創設以外にない

2010-05-24 08:32:59 | 戦争と平和
 昨日(23日)、鳩山首相は沖縄を訪問し、知事や名護市長と会談
した。しかし、首相は名護市の辺野古案に逆戻りした経緯とお願いを
したに過ぎない。これでは沖縄県民の反発をまねくだけで、「県外・
国外へ」という鳩山発言に対する沖縄県民の期待を裏切るものといえ
よう。
 しかしながら、沖縄県民の負担を少しでも減らそうとした鳩山首相
の考えそのものは間違っていない。これらの現状変更には相手がある
ことで、米国の同意なくして解決はありえない。それを百も承知して
いながらの鳩山発言は「軽い」、という批判は避けられない。
 何によらず、批判は自由である。「文句と膏薬はどこにでもつけら
れる」という諺の通りである。批判するのであれば、どうしたら沖縄
の基地問題を解決できるのか、という各自、各社の案を提示すべきで
ある。それなくして批判一辺倒では批判の価値は〇といわれても仕方
ないであろう。 
 そもそも、抑止力と一言でいっても、イラクがクエートに侵攻した
のは米国の謀略だったと云われている。正義とは何か、という根本問
題を提起した一件でもある。その後、アフガン問題に発展し、沖縄の
基地の重要性が再確認されているのが現状である。
 結局、世界中から国境をなくし、(軍需産業に代表される)貨幣経
済をなくさないかぎり、理想世界は望めない、というブッダの発言は
間違っていない。しかし、一気にそれを実現するのは困難である。し
たがって、段階的に理想世界に近づける提案が重要であると思われる。
 まず、国連軍の創設を日本から世界に発信、提案すべきだと考える。
具体的には、他国に勝手に軍事進攻する国があれば、国連の決議のも
とに、国連軍がそれを止めさせる。あるいは世界中の核兵器を国連軍
が完全管理する。地域紛争の解決に国連と国連軍が関与する、等々の
役割を担う国連軍は必要である。すでにその条件は整いつつあるので
はなかろうか。すでにオバマ大統領は「核なき世界」を提唱している。
それが単なるリップサービスでなければ、米国も賛成するのではなか
ろうか。
 また、国連軍の創設は世界中の各国から一挙に全面的に受け入れら
れるとは思えない。したがって、国連決議のもとに賛同する国々だけ
ででも、国連軍を創設すべきだと考える。そのうち、参加国は増える
だろう。最終的には、世界中が国連軍一つになることになるだろう。
 そうなれば、現在の各国の軍事施設や軍事費は10%位になるだろ
う。その不必要になった軍事費を世界市民の生活向上に回せばいい。
 沖縄に限らず、世界各国にある不条理などを解決するのは、矛盾点
を解決するのも重要であるが、思考の根本的な変革が重要であると思
われる。鳩山首相に限らず、今後の日本の宰相は国連軍の創設をしつ
こいぐらいに訴えるべきである。理想を説くのは理想的な宰相(転輪
聖王・てんりんじょうおう。ブッダの説く理想的な王のこと)の努め
の一つだからである。

イラン制裁案の意味するもの?

2010-05-19 09:28:09 | 戦争と平和
 米は中露の同意を得て、国連の安全保障理事会にイラン制裁案を
提出すると報道された。英国、フランス、イタリア、EU諸国も同
意するのはいうまでもないことであろう。昨日の米外交委員会でク
リントン国務長官は証言したからである。いよいよ序章が終わり、
第一章に進む準備が整ったということであろう。
 イランの核武装化に対し、オバマ政権はそれを許さず、国際的に
合法的な制裁を与えよう、という狙いがあることは明白である。こ
れ以上の国が核武装するのは許さない、とする安全保障常任理事国
の思惑が一致しているのも明らかである。国際世論も同じであろう。
 しかし、非核武装国が核武装するのが悪で、既に核武装している
国が善である、という論理も筋が通らない。核武装が悪であるなら
ば、すべての国は核武装を止めるべきである。イラン大統領が云う
ように、イスラエルの核武装を認め、イランなどの核武装を認めな
い、というのも世界の欺瞞体質を表現したものといえよう。このよ
うな議論は際限がないのでこのくらいにしよう。
 また、非常任理事国のブラジルとトルコは、イランと低濃縮ウラ
ンの一部国外搬出で合意したと17日に発表している。。したがっ
て国連の制裁は必要ない、というのがブラジルとトルコの立場であ
る。その翌日のクリントン証言だけに、米は慌てているのではない
かと推測される。
 問題は、米の意図するものは何か、という疑念である。国際的に
イランに制裁する体裁を整えて、イスラエルがイランを攻撃しやす
いようにお膳立てするのが目的ではないのか、という疑念である。
「錦の御旗」が必要だからではないのか、という意味である。今後
の国連の安全保障委員会の論議を見守る必要がある。
 いずれにしても「殺すな、殺させるな」というブッダの理想は
至難の業である。
           (読売新聞、5月19日朝刊、参照) 

米公表の核弾頭数は真実か?

2010-05-06 07:29:34 | 戦争と平和
 米国防省は3日、核兵器の保有数と解体数を公表した。
それによると、核弾頭数は5113発。解体数は、196
7年にあった31255発から、2009年までに261
42発が解体されたことになる。さらに解体に向け保管中
の核弾頭は数千発あると公表している。このようなあいま
いな公表は、完全明白な公表とはいえない。信じられない
数値であるといえよう。
 また、核拡散防止条約(NPT)再検討会議が現在国
連本部で開催中である。イランの大統領は「イスラエルの
核を黙認しながらイランを問題視するのは二重基準だ」、
と米国を批判している。イスラエルか゜核弾頭を保有して
いるのは前から云われていることで公然の秘密であろう。
オバマ大統領になってからも、米国の姿勢は何ら変わって
いない。だから、オバマ大統領は歴代の大統領と同じであ
るといわれるのである。だからこそ、「核なき世界」とい
うオバマ大統領の発言は厚顔無恥といわれても仕方ないこ
とではなかろうか。その発言は、ノ-ベル平和賞に該当し
ないものである。過大評価するほうも無知といえるのでは
なかろうか。瓢箪から駒ではすまない問題といえよう。
 今後の一番の関心事は、イスラエルによるイランの核関
連施設への攻撃である。その結果を考えただけで恐怖であ
る。通常爆弾による攻撃であっても、核攻撃とおなじ結果
をもたらすからである。おそらく米国は表面からイランを
直接攻撃することはないだろう。政治家には「白い尻尾」
がついている、と云われる所以でもある。
 その予測が杞憂に終わることを願っている。
             (読売新聞、北海道新聞参照)

沖縄基地移設の鳩山提案に理解を

2010-05-01 06:26:49 | 戦争と平和
 普天間基地の移転問題で百花繚乱の論議が日本中で展開
されている。その中でも、「先の見通しもなく現行計画を
破棄し、迷走したつけだ」、という声も一理ある。しかし、
日本の安全保障のためとはいうものの、いつまでも沖縄県
民にその負担を押しつけていいのか、という忸怩(じくじ)
たる思いをいだいている日本国民も多いのではなかろうか。
 普天間基地を名護市辺野古に移設することを決めたのは
自民党政権である。しかし、10年もたっているのに杭一
本打てないで今日にきている。それだけ沖縄の人達にとっ
ては反基地感情が強いということであろう。米軍関係の事
故や事件にさらされてきた沖縄県民感情は、他県の我々に
は想像以上のものがあると思われる。
 その中にあって、沖縄にいつまでも負担をかけられない。
なんとか他県、または他国に基地を移設できないかと真剣
に提案した鳩山首相を一方的に、批判、攻撃するのは筋違
いである。
 特にマスコミは、鳩山批判を展開しているのはおかしい。
しかし、一部の朝日系テレビのモーニングショーのコメン
ティターは、冷静で正確なコメントを出しているのもある。
批判するだけなら誰でもできる。日本の安全をどうするのか、
沖縄の人達に基地のない安心できる生活を保障するにはどう
すればいいのか、という提案をすべての日本人は出すべきで
ある。
 日本中から米軍基地をなくす、というのも一つの選択肢で
あろう。しかし、現在のアジア情勢を勘案すれば、それも暴
論に近いものではなかろうか。各国の軍隊を廃止して国連軍
一つにしては、とい考え方もあろう。いずれにしても、それ
らを実現するのは至難の業である。
 結局、ブッダが云うように、世界中から国境をなくし、貨
幣経済でないシステムの世界体制が実現しない限り不可能な
ことである。
 鳩山首相の提案が実現されないとしても、政権交代論議に
直結してはならないのではなかろうか。もっと冷静に見守る
べきだと考える。
 現実世界は各国、各人の業の連鎖に振り回されているとい
っても過言ではないといえよう。