今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

こう見る両党の党首選

2012-09-27 15:21:26 | 政治

  民主党と自民党党首選が終わった。その間、本欄を書かなかっ

たのは個人攻撃になってはならない、と思ったからである。

   先ず、民主党の党首選であるが、野田首相は消費税値上げの特

別委員会での発言が本心だと思われる。「民主党、自民党、公明党

」の三党は、次の衆議院選で少なくとも過半数以下にはならない、と

発言している。これが自党員の脱党にも動じない根拠と思われる。

しかし、国民の脱原発の動きは無視できず、2030年以降は原発を

廃止する、という方向に行かざるを得なかったと思われる。しかし、

野田氏の他の赤松広隆、原口一博、鹿野道彦氏の中でも、「少しで

も早く原発を廃止する方向にもっていきたい」、と強く発言したのは

原口氏だったと思われる。しかし、民主党は、30年にはと云ってい

ること自体、原発事故の怖さを知らないでいる証拠である。福島第

一原発事故によって、炉心の圧力容器を破ってメルトダウンしてい

る。また、格納容器の底がどうなっているか分らないと東電は説明

している。しかし、格納容器の底も破り、さらには建屋の底も破って

メルトダウンしている可能性がある。その塊は地中に達してさらに

地下に浸透している可能性がある。もしも、それが地下水脈に達

した場合、その水脈を伝わって、広範囲に放射能汚染が拡大され

ることになるだろう。地下水は冬場の道路の雪を溶かすための消

雪パイプの水として使われている。また、工業用水としても汲み上

げられて使われている。さらには、水道水として地下水を使ってい

る自治体もある。また、自家用水として汲み上げている家庭もある

だろう。汚染水は臭いも味もないのでなおさら怖い。それらの可能

性を否定できない現状である。今回の原発事故は終息していない。

それなのに30年のことを云って円満解決するみたいな見方しかで

きないのであれば、民主党の政策は不完全なものである。即刻、

原発は廃止すべきである。少なくとも2020年までに廃止すると宣

言しなければ、国民の支持は得られないであろう。そうしなければ、

日本民族の滅亡を早めることになるであろう。

  さらに、30年以降ゼロという原発政策に、経済三大体のトップ

がそろって首相に抗議している。その結果、腰砕けになっている。

こんなことでは政権担当能力を疑われても仕方ないであろう。

 また、本欄で、尖閣諸島の買取は、石原東京都知事にまかせる

べきだと書いた。説明不足だったようである。その真意は、ワンクッ

ションおいて、その後に政府が受け取るべきだ、と云いたかったの

である。いきなり、政府が買い取ると中国の猛反発が、直接政府に

ふりかかることを懸念したからである。それが外交的配慮だからで

ある。また、土地の所有者が寄付金で買い取ってもらうことを嫌った、

とも報道されたが、それは政府が説得すべきだったはずである。こ

のように民主党が政権を取って間もないことからの未熟さだったと

云わざるを得ない。さらに、東北大震災の復興資金の19兆円のう

ち、震災と関係のない全国の事業に使われている。4分の1が使

われているという。NHKスペシャルの中で明確になっている。政

府と官庁は、本当に被災者を救済する気があるのであろうか。こ

れでは、被災者を棄民化するものである。

  このような現状をみれば、次の衆議院選で民主党は第一党の

座をあけわたさなれればならないだろう。

  一方、自民党の党首選であるが、安倍晋三、石破茂、石原伸

晃、町村信孝、林芳正氏は、ベテランばかりであり、立派な政治家

である。しかし、候補者5人ともに原発推進派あることが気にかか

る。すなわち、自民党は利権追求型の政党であることが変わって

いない、と思わざるを得ない。さらに、全員が右派であることも懸念

される。

 第一回の投票で石破氏が地方票を集めて1位になったのは、中

国や韓国との防衛に期待したからであろう。しかし、すぐに武力制

圧や戦争に直結する方向にいくことだけは避けるべきである。

 最終的に、安倍氏が党首になったのは、国会議員の意向を反映

したものである。その意向とは何なのであろうか。推論である。

1、安倍氏は維新の会の大阪市長と意思が通じているようだ。次の

  選挙で自民党と維新の会と公明党で連合政権を組もう。大臣の

  椅子が多く取れるだろう。

2、最悪でも、自民党と公明党と民主党、維新の会のどれかの組み

  合わせで連合政権を取れるだろう、という打算がうかがえる。

 

  いずれにしても次の衆議院選で、民主党も自民党も単独で過半

数を得ることは不可能であろう。薄っぺらいポピュリズムではなく、

日本国と日本民族の繁栄する方策をを誠実に訴えるべきではなか

ろうか。


「維新八策」は支持できない!

2012-09-06 02:39:10 | 政治

  「大阪維新の会」(橋本徹大阪市長)は、最近「維新八策」なるものを発表した。

次期衆議院選のマニフェスト(政権公約)の基本理念のようである。しかし、その

内容は実現不可能に近いものと、矛盾性にとんだ内容である。具体的に分析し

てみよう。

 

①統治機構の作り直し。首相公選制(人気投票になる危険性があり、反対である)。

  参議院の廃止(二院制だから堅実なのである。反対である)。地方交付税の廃

  止(大都市部を抱える都道府県と地方との格差が生ずることになるので反対で

  ある)。消費税の地方税化(前項と同じ結果になるので反対である)。大阪都構

  想(具体的な内容が明確でなく、説得力に欠ける)。

 

②財政・行政改革。衆議院の定数を240人に削減。半減しようとの提案であるが、

  その必要性はない。議員は多いほうが良い。むしろ、歳費を半減すべきである。

  金のかからない選挙制度に改正すべきである。

 

③公務員制度改革。次官・局長級幹部の政治任用(身分が不安定になるので反対)。

  管理職の内外公募制(日本の官僚は優秀なので公募する必要性はない。反対で

  ある)。

 

④教育改革。首長に権限と責任を持たせ、第三者機関で監視(政治の教育への関与

  に繫がるので反対である)。

 

⑤社会保障制度。特記すべきものなし。

 

⑥経済・雇用・税制。脱原発依存体制の構築(橋本大阪市長は大飯原発の再稼動に賛成

  しており、脱原発を語る資格はない。二枚舌といわれても仕方ないであろう。昔から「国

  敗れて山河あり」と云われてきたが、今や「原発事故で山河なし」の状態である。真剣に

  原発の危険性を直視すべきである)。TPPへの参加(主食の米などの自給体制を進める

  べきである。米国の大干ばつを見てもわかるように、将来的には外国からの食料輸入は

  不可能になる状況になるであろう)。

 

⑦外交防衛。日本の主権と領土を自力で守る防衛力と政策の整備(趣旨は分らないわけで

  はないが、隣国と全面戦争になれば両国ともに全滅することになるであろう。隣国どうし

  の戦争を許さない世界体制になりつつある。現在のように、国連中心の平和外交に徹す

  るべきである。仏教徒として、自衛隊員が一人でも戦死させてはならないと考える。)また、

  「日米同盟を基軸」、「中露との戦略的互恵関係強化」とうたっている(いわゆる八方美人

   的な発想で、何を云わんとしているのか意味不明である)。沖縄の負担軽減を図るロード

  マップ作成(具体策が何も示されていない。それなら誰でも云える。鳩山元首相も同じこと

  を云っていたが、解決できなかった。選挙目当ての単なる沖縄の人々に対するリップサー

  ビスに過ぎない)。

 

⑧憲法改正。憲法9条を変えるか否かの国民投票(⑦にも関連してくるが、そこまで必要性が

  があるのであろうか。一昔前の考え方である)。

 

  「維新八策」のいくつかは、憲法改正が必要であり、実現性に欠けている。また、妥当性や

必要性があるのかどうか疑問な点も多い。とりたてて感心するような政策は見当たらない。

  滋賀県知事は「維新八策」に対して、次のようにコメントしている。「ほとんどすべての項目が

どう実現するのか見えにくい。政治家として疑問がある」。「自分の立場なら、見通しの立たな

いマニフェストは出せない」。冷静なコメントである。八策は、全般的に単なる選挙目当ての政

策といわれても仕方ないのではなかろうか。このような八策を必要以上にマスコミは煽ってい

る。マスコミによる情報操作である。慎むべきではなかろうか。