衆議院選が事実上始まっている。自民党は「アベノミクス解散」、野党は「大義なき解散」
・「アベノミクス失敗隠し解散」などと名付けている。それだけアベノミクスの評価が違
うからであろう。それでは問題点を逐一見てみよう。
① アベノミクス
(1)アベノミクスの原資は、税収などの増加によるものではなく、剰余金でもない。
輪転機を回した紙幣であり、すべて借金である。
(2)国の借金は1000兆円を超えてしまった。
(3)第一の矢の金融緩和と、第二の矢の財政出動は、株高や円安効果をあげた。それ
は当然のことであり、誰でもできることである。しかし、その両方とも諸刃の剣
と同じで効果と失敗の両方の意味を包含している。
(4) 株高は景気回復の起爆材になるかと思ったが、昨年5月に株価は暴落を招き、個人
投資家が大損してしまった。一説では何十兆円もの差益が海外に持ち出されたと報じら
れた。ヘッジファンドによるマネーゲームの結果である。一旦身を引いたジョージ・ソロ
ス氏を再登場させて取り組んできたヘッジ・ファンドの本格的な
マネーゲームだった。ちなみにその原因を野僧なりに推測すれば、安倍首相が
「世界のレジーム(自由と民主主義)からの脱却」を主張したからではないかと
思っている。すなわちヘッジファンドの背後にある世界を実質的に支配している
と云われる巨大組織の怒りをかったからではなかろうか。現在、株価は17000円
以上となっている。その株を持っている人々は喜んでいるだろう。しかし、再び、
ヘッジファンドによる株の投げ売りがあった場合、それらの人々の資産は激減す
る可能性がある。株高だけを見て喜んでばかりいられないのが現状である。
(5) 円安も両刃の剣である。自動車などの輸出企業にとっては大きなメリットとなる。
反面、石油などの原材料の輸入に頼る企業や国民には大変な負担増となる。それでは日本
全体にとって、円安はプラスなのか、マイナスなのであろうか。いま一つの見方として、
どちらの方が日本は困るだろうか、という見方もできるであろう。先の世界的巨大組織の
立場から見れば、後者を選ぶ可能性もある。いずれにしても為替相場もいろんな思惑を込
めたマネーゲームの一つなのである。その組織にとっては円の相場も意のままであろう。
(6)アベノミクスの中の「国土強靱化」は、社会インフラの老朽化や地震対策が主となっ
ている。防災、減災を目的としているが、現状では小中高の校舎の地震対策などが主であ
る。結果的には、スーパーゼネコンと一部の傘下企業、大企業だけが潤おっただけに過ぎ
ない。他の企業にとってアベノミクスは何のメリットも及んでいないのが現状である。
(7)第三の矢である「成長戦略」であるが、具体的な政策が見えてこないままである。
具体的には、「地方再生」と「女性活躍」となっているが、具体的な提案にはほど
遠いと云わざるを得ない。単なるスローガンに過ぎないものといえよう。
(8)「GDP二期連続マイナス」で景気低迷が鮮明となった。安倍首相は一番悪い時に解
散したといえよう。
② 集団的自衛権行使を一内閣で決定してしまった。憲法改正なしでの決定は、憲法無視の
暴挙で到底認めることができないものである。自民党は公約の中にこれを掲げないのは姑息
な手段である。自民党は大道を歩むべきである。今回の選挙で自民党が過半数をとったとし
ても、集団的自衛権が認められたことにはならない。白紙撤回すべきである。
③ 特定秘密保護法も、自民党は選挙公約なしで議決・制定してしまった。これも、自民党
が勝ったとしても、国民から承認されたことにはならない。世界のレジームに
逆行することである。
④ 原発の再稼働
自民党は原発を国策としているようであるが、先の福島原発のような大爆発があった場合、ど
のように責任をとるのであろうか。もう一つの原発が爆発すれば、日本列島全体が汚染列島に
なるであろう。誰も責任など取れるはずがない。第一、福島原発の溶融した核の塊が、今どう
なっているのかの説明は何もない。水を半永久的にかけ続けなければならないのである。すな
わち、汚染水がかけた分だけ出続けるということである。それ一つ解決できないではないか。
地熱発電に積極的に取り組むべきであると考える。
(衆議院選の注目点)
① 基本的には、現在の自分の生活に満足している人は、現政権に投票するものである。
反対に、満足していない人は野党に投票するものである。その比率がどうでるのか
注目される。
② これから選挙が終わるまでの間に、株価がどうなるのか注目される。すなわち、世界
の巨大組織が株の投げ売りをするのか、どうか注目される。もしも投げ売りがされなけれ
ば、安倍内閣はその組織から認められたことになると解釈出来るのではなかろうか。反対に
投げ売りされて差益を海外にもっていかれて、株価が下落すれば
安倍内閣は拒否されたと解釈できると思われる。ヘッジファンドの動きが注目である。
③ 今回の選挙で自民党が勝利し、アベノミクスが失敗した場合、それは自民党の責任
逃れの根拠とはならない。あくまでも自民党と与党の責任である。国民に責任を押しつ
けるための選挙ではないからである。