今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

防災意識は普段から

2009-07-24 12:56:41 | 環境
 中国地方を襲った豪雨は、大被害を出している。
山口、鳥取両県で死者9人、行方不明9人を出した。
 特に山口県の防府市の特別養護老人ホ-ム「ライ
フケア高砂」は悲惨だった。しかし、本来の剣川の
砂防ダムが土石流で堰きとめられたか、それを土石
流が乗り越えて発生したものと報じられている。い
ずれにしても、予想の限界を超えた災害といえよう。
 今後、このような予想外の災害が発生するのは残
念ながら確実といえるだろう。今回の災害によって、
今後の温暖化による大災害予測は不可能の一面性が
あることを教訓とすべきであろう。
 いずれにしても、災害による被害を最小限にする
だけの研究を自分自身でするべきであろう。本来な
らば、建築関係業者などが研究、啓蒙しなければな
らないのである。しかし、その業者自体、環境破壊
の本質を理解していない。そんな大災害など起こる
はずがない、という認識である。しかし、我々は最
終的には自分自身で家族の命を守る以外に方法はな
い。業者は何の責任も取ってはくれないからである。
 それでは具体的に、どうすればいいのであろうか。
たとえば、新たに土地を買って一戸建ての家を新築
する場合、大雨や台風や冬などの最悪の天候の時に
、現地を見て水の流れや量がどうなっているか確認
する必要がある。その上で、玄関を道路から、どの
位の高さにすればいいのか、決めるべきであろう。
各市町村が出している「ハザ-ドマップ」を参考に
してもいいが、その五割増しの数字で設定すれば確
実ではなかろうか。一昨年に当寺の客殿を建て替え
た時は、約五割増しの80センチの玄関高(床高)
に設定した。マップでは50cmだったからである。
また、玄関の向きも決めればいい。天気のいい日に
現地を見ても、何の参考にもならない。
 一方、風の向きなども重要である。台風は普通、
西風である。したがって西と南、西と北の両面に
窓を取れる場合、西窓は避けるべきであろう。特に
夏の西日は避けるべきだと考える。
 また、建物は鉄筋コンクリ-トに作れば温暖化の
災害から守られる最良の方法であろう。木造では耐
えられないだろう。しかし、鉄筋コンクリ-トであ
れ、木造建築であれ、窓のガラスやサッシのフレ-
ム自体が風速60mしか耐えられないものとなって
いる。それ以上の風速の場合、フレ-ムごと内側に
吹き飛ばされることになる。それを防ぐ方法もある。
それは雪国の雪囲いにヒントがある。落雪被害を防
ぐために、厚さ3cmほどの板を窓の外側に何枚かは
め込む仕掛けになっている。窓の両側に、その板を
鉄の金具で受け止める。普段は板をしまっておけば
いい。台風や竜巻などの時に、その板をはめ込めば
いいのである。台風や竜巻の被害は、風速もさるこ
とながら、飛散物によるのが最大の原因である。鉄
筋コンクリ-トのマンションでもその条件は同じで
ある。億ションだからといって条件が違うわけでは
ない。
 ただし、鉄筋コンクリ-トの場合、人体に対する
悪影響が心配される。しかし、現代建築ではそれを
克服するだけの技術開発がすでにされているので心
配はないものと思われる。
 いずれにしても、自分自身の普段の研究心で、自
分と家族を守る努力をすべきである。極楽トンボの
建築業者まかせは危険である。

選挙の勝敗決する生活保障政策

2009-07-15 08:51:21 | 政治
 衆議院選挙は21日解散、8月30日投票
にほぼ決定した。与野党逆転か否かが最大の
関心事である。
 一般大衆は、高邁な政治思想の判断で投票
するわけではない。その根拠は、極めてシン
プルである。現在の生活に満足している人は
政権担当政党に投票する。いわゆる保守派で
ある。これに対し、満足していない人は野党
に投票する。いわゆる改革派である。
 生活苦にあえいでいる人は、現在の状況を
打開するために、政権担当政党には投票しな
い。何とかして打開策を探らざるを得ないか
らである。100年に一度という経済危機、
大リストラ、会社の倒産、年金の先細り等の
社会不安が、政権与党の責任だと思っている
国民が多い、ということである。
 これに対し、現在の生活に満足している人
は勿論いる。しかし、日本全体から見れば少
数派であろう。自民党支持者が減ったのは、
それが原因である。それだけ現在ばかりでな
く、将来に不安を感じている人が多いという
ことである。
 特に、年金基金の浪費のつけが回り回って
自民党を苦しめている最大の原因である。
 野僧自身、生活が苦しかった時は野党に投
票していた。生活に満足できる現在は保守派
になってしまった。他の人も大なり小なり同
じであろう。
 今回の選挙の勝敗のポイントは、国民の抱
く不安に答えるマニフェストを、どの政党が
出せるのか、ということである。今や、口先
だけの政策を見抜く眼力を国民は持っている。
諸政党は真剣に検討して選挙に臨むべきだと
考える。
 ブッダは、理想世界を表現しているが、生
活が満足した状態を説いている。極楽には貧
者は一人もいない。

サミット、2度で人類を救えるか?

2009-07-08 20:37:18 | 政治
 明日からイタリアのラクイラでサミットが開かれる。
産業革命以降の地球の気温上昇を2度以内に抑える目
標で合意を目指す考えであると、EUのバロ-ゾ委員
長は考えているようである。(読売新聞7月8日朝刊)
 地球温暖化防止の数値で2度以内という数値は、国
際政治の中ではこれまでで一番低い。しかし、今まで
云われてきたのは人類が生き延びられるのは1.5度
までだといわれている。まだ認識が甘いような気がす
る。だが、真実に一歩近づきつつあるような気もする。
産業革命以来、現在までで約9.4度上昇しているの
で、残された上昇許容温度は5.6度しかない。
 一方、政府間パネルは人間存在の許容温度は2度だ
と云っている。1.5度であれ、2度であれ、その範
囲内に気温の上昇を抑えるのは不可能である。インド
政府は「これまでの気温上昇による温暖化の責任は先
進国にあり、排出削減義務は専ら先進国が負うべきだ」
と主張している。この主張の前半は正論である。しか
し後半は、人類延命という未来を度外視した間違った
考え方である。米国以上に炭酸ガスを排出する中国も
同じ考え方であろう。このような政治意識優先の思想
がなくならない限り人類の未来はない。人類存在の危
機をまったく理解していない。もしも「分かっちゃい
るけど止められない」、というのであれば、無責任の
謗りを免れないであろう。
 中国やインドが人類の危機を心底理解しない限り、
サミットを何度しても意味がないと云われても仕方な
いであろう。焼け石に水の論議に意義はない。 

虚偽記載と政治家

2009-07-01 14:19:50 | 貨幣経済
 政治には金がかかる。年賀状出すのにも何枚万も
いる。支持者の結婚祝や香典にも金が必要である。
政治家本人の名前で出せない場合は、奥さんなどの
名前で出す。まさに、涙ぐましい努力が課せられて
いるのが政治家の宿命のようになっている。公設秘
書だけではたりないから、個人秘書も必要になって
くる。高級自家用車は、東京と地元に一台づつ置い
ている政治家もいよう。すべて金がからむ。これは
与野党あげて同じ状況である。
 今回の鳩山代表の献金問題は、手法の違いこそあ
れ、与野党のどの政治家にもありうる可能性のある
金の問題であろう。叩いて埃の出ない政治家は共産
党ぐらいではなかろうか。
 また、民主党といっても、元々は自民党にいた政
治家が多い。鳩山代表、小沢氏、管氏などが代表的
な人である。金集めの手法は、恐らく自民党の政治
家と大差ないはずである。
 いずれにしても、権力を握るのにも金がかかる、
という日本の現実政治状況は与野党をとわず共通の
宿命である。ポスターの印象や、お笑い、マンガ文
化によって選挙などが左右されるのは国民の政治感
覚がまだ未成熟だからと思われる。
 いずれにしても、今回の鳩山代表の献金問題は民
主党に失速の原因の一つになるのではなかろうか。
本当の理想的な政治を実現させるためには、貨幣経
済でない世界が実現してからであろう。貨幣経済の
間は、理想政治などありえない。