今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

チベット は歴史的に独立国だった

2008-06-24 23:11:53 | 政治
 「中共がチベット国民、道徳、人種、宗教、
それら社会集団を丸ごと抹殺することによって
絶滅しようとしたことが、1948年の国連ジ
ェノサイド協定に触れるのは明白である」、と
いう報告書を1959年6月、国際法曹委員会
が出した。その報告書の中で、「チベットは歴
史的に独立国であり、中国の一部でないことは
明白である」、と結論づけているのは非常に意
義深い。(「中国はいかにチベットを侵略した
か」参照)。
 今年3月に発生したチベット暴動の際、数種
のマスコミがチベットは中国の国内問題として
報道したのは間違っている。確かに、チベット
自治区として中国の一部であるのは事実である。
しかし、チベットが中国に侵略され、併合され
る過程で、中国側の強引な手法と欺瞞の協定に
よってなされた事実は消しがたい。
 8世紀頃にはチベット、中国国境はまったく
定まっていなかった。1949年、チベットと
中国との国境線は、中国側が河の東側の領有権
を主張するリチュ上流域を挟んで争われていた。
当時、毛沢東の中共軍の勝利につぐ勝利で蒋介
石は敗走の一途をたどっていた。1949年1
0月、毛沢東は新生中国を名乗った。それと同
時に、チベットを「帝国主義者」から解放する
ために人民軍をチベットに侵攻させる用意があ
る、と発表した。
 しかし、その当時チベットにいた外国人は8
人だけだった。毛沢東の詭弁であることが分か
るであろう。中共軍がチベット侵攻を開始した
のは翌年の1950年3月のことである。その
年の6月25日、北朝鮮が38度線を突破した。
歴史的な見方を変えれば、毛沢東が北朝鮮を故
意に38度線を突破させた、という見方も一理
あるのかも知れない。それは、中共軍のチベッ
ト侵略を国際監視とマスコミの目から反らすた
めだったと考えられる。世界の目を朝鮮戦争に
釘付けにさせようとしたかったからではなかろ
うか。毛沢東の狡猾さを感じざるを得ない。こ
のようにして、国際的な目を気にしないでチベ
ット侵略を毛沢東は実現したのである。
 翌、1951年5月、全権を委任されてもい
ないチベット代表団は、北京にいた。その時、
「17箇条協定書」が代表団に突きつけられた。
「わが代表団は協定のどんないい換えも、示唆
も許されなかった。侮辱され、罵られ。暴力を
振るわれ、チベットを軍隊で占領してやると脅
迫され続けた」、その結果、その代表団のアポ
達は、その脅迫に負けて署名させられた。その
際、チベットの代表団は国璽をもってこなかっ
た。当然である。全権を委任されていなかった
からである。しかし、中国側は、偽の国璽と判
を直ちに作って署名させたのである。
 その「17箇条協定書」の内容は、仏教、信
仰、チベット人の風俗慣習は尊重する。僧院は
保護される。僧院の収入に干渉しない。チベッ
ト軍は再編成され、人民解放軍に吸収される、
というものであった。しかし、最後の2項目以
外はすべて嘘であった。これまで紹介した中共
軍の残虐行為を見れば、一目瞭然であろう。人
間ここまで嘘をつけるのであろうか。
 いずれにしても、チベットは、チベット人に
まかせるべきである。

チベットにおける中共軍の大虐殺

2008-06-18 10:19:25 | 戦争と平和
 「1958年初め、中共は東チベットだけで
15万の兵力を展開させていた。1956年に
開始された改革〟は遊牧民の間にも波及し、
抵抗を拡大させていた。アムドの遊牧民地帯
では、男のほとんどは逃亡するか捕らわれるか
殺されるかで姿を消してしまった。モンゴル族
たちはほとんど皆殺しにされた〟(「チベット
ネーション紙」)
 ココノル湖に近いある地区では、1000人以
上の僧侶が僧院の庭で一斉射撃によって虐殺さ
れた。僧院の大半は財宝を略奪され、破壊され、
残った材木、石材は、中国本土からの移民の住
居に充てられた。アムド族は強制労働に送り込
まれ、その三分の二は死んでしまった。最も悲
劇的だったのは、祖国奉仕という名の強制労働
に両親が集中できるよう、何千人という子供た
ちが、トラックに積み込まれて連れ去られ、そ
れを阻止しようとした母親たちが、近くの河に
投げ込まれていったことだ。50ヶ国でなるジ
ュネーブ人権委員会は、約15000人の児童
がこうして拉致され、行方不明になったと報告
している。」

 「カムにおける中共の暴虐を止めるものはも
はやいなかった。罪人にされたチベット人の妻
や娘はつるし上げの場に引きずり出された。ゴ
ンボ・タシは書いている。
 『女性たちは公衆の面前で素っ裸にされ、夫
が罪を認めないと彼女たちはその目の前で強姦
された。長い間、男やもめで過ごしていた中共
兵に不服はなく、彼らは喜きとして強姦の命に
従った。また、夫たちは人びとの前で妻と性交
するよう強制される場合もあり、その後たいて
い処刑された。そして妻や娘は中共兵に投げ与
えられた。
 尼僧もこの暴力から逃れることはできなかっ
た。裸にされた僧侶は、これも素っ裸にされた
尼僧と性交するよう強制され、中共軍はこれみ
よがしに“これがチベット仏教とその純潔さだ”
と嘲笑った。その後僧侶たちの多くは処刑され、
尼僧は中共兵の餌食にされた。年に関係なく、
いたるところで強姦され、それも何度も犯され、
揚句、殺されていった。1957年のチベット
には、もはやボドガヤにあった静穏さは見る影
もなかった。』

 「ミッシェル・ペイセル(『カムの騎兵隊』
の著者)によれば、大量処刑、残酷な拷問の数
々が国際法曹委員会に記録されている。子供た
ちは自分の親を銃で射殺するよう強制され、僧
たちは毛布で巻かれた体にケロシンをかけられ
て焼き殺された。生き松明(たいまつ)と化し
た彼らを、中共兵は『仏陀に助けてもらえ』と
嘲笑した。東チベット人は、最後の希望の星、
ダライ・ラマのいるラサへ陸続として逃亡して
いった。

 以上、「中国はいかにチベットを侵略したか」
    マイケル・ダナム著。山際素男訳。
    (講談社インターナショナル)参照。

 このように中国政府と中共軍の非道さを言語で
表現し、紹介する事自体、苦痛である。
 だからこそブッタ゜は云っている。「殺すな、
殺させるな」と。
 中国政府は、チベット人を真っ当な人間として
扱うべきである。それができないというのであれ
ば、国際社会からいつまでも認められないであろ
う。それは中国自身の自助努力以外の何物でもな
い。
 旧ソ連のスターリン時代の残虐性、カンボジア
での旧ポルポト派の非道さ、北朝鮮の非人道主義
など、いずれも共産主義思想の根本的な矛盾性は
悲しいことである。
 日曜日朝のあるワイドショウの中で、あるコメ
ンテーターが、「スリランカのゲリラ組織は仏教
徒である」と発言したのを聞いて驚いた。その反
政府武装勢力は「タミル・イーラム解放の虎(L
TTE)」という「ヒンズー教徒」の組織である
ことを正しく認識すべきである。
 ブッダの教えを持ち出すまでもなく、宮沢賢治
は云っている。「世界中が幸福にならなければ、
個人の幸福はありえない」と。
 仏教は、支配する人と、支配される人の区別の
ない政治システムを理想としている。支配者は他
の人間が絶対服従することを要求する。しかし、
被支配者は自由と平等を求めて対峙する。支配者
と被支配者のいない世界の創造こそ、政治システ
ムの根本問題の解決策である。いわゆる極楽世界
をこの世に実現することである。

チベット人の大震災被害の実態と救済策は?

2008-06-04 13:44:46 | 幸福の追求
 中国の大震災の被害状況と救援活動等について
日本と世界のマスコミは毎日のように報道してい
る。しかし、よく見ると原住民であるチベット人
の状況等はほとんど報道されていない。
 前回記述したように、四川省、甘粛省、青海省、
チベット自治区は、もともとチベット領だったの
である。そのチベットを四分割した中国政府は、
それらの四地区に漢族などを大量に移住させ実質
的な中国政府支配地域にしてしまった。
 ただ最大の問題は、チベット人を正当な中国国
民として扱っていないことである。たとえば、病
気になっても病院に行くことすらできない。お金
がないからである。また、それらの地域のチベッ
ト人の子供達は、お金がないため、学校教育を受
けられないでいる。このため、中国での将来に絶
望したチベット人の親たちは、自分の子供をダラ
イ・ラマ法王のいるインドのダラムサラに亡命さ
せている。そこでは学校教育が受けられるからで
ある。その行程は過酷で、6000m級のヒマ
ラヤ山脈を徒歩で越えて行かなければならない。
命がけである。そのため、子供達は凍傷にかかり、
手や足の指を切断する子供も多い。さらに、国境
の警備は厳しくネパールの監視所で母親は捕縛さ
れ、子供達だけが亡命せざるを得ない状況下にあ
る。「お母さんは後で行くから、先に行っていな
さい」という言葉を背に受けて、子供達はインド
にいかざるを得ない。その後、母と子が再会する
ことはまずないという。インドに着いた子供達は、
「お母さんに会いたい」と、子供達だけで毎夜、
一カ所に身を寄せ合って泣いているという。
 話を戻すと、今回の大地震で校舎の下敷きに
なって死亡したり、行方不明になった子供達は
悲惨である。ご冥福を祈るのみである。子を失
った親は諦めきれないであろう。ただ、その中
に、チベット人の子供はほとんどいないはずで
ある。
 一方、チベット人の被害状況や救済策等は報
道されていない。皆無である。恐らく、チベッ
ト人に対する救済策は、中国政府の脳裏に一切
ないのではなかろうか。
 また、日本の医療救援チームが四川省の成都
の大病院内の治療に限定されたのは、チベット
人の実態を知られたくない、という中国政府の
思惑ではなかろうか。地方にいけばチベット人
の悲惨な状況が世界中に報道されることを恐れ
たためと推測される。
 民主主義に背を向ける非人道的なチベット人
への扱いを世界中のマスコミは毅然として報道
すべきである。
 さらには、大地震に対する中国への援助は、
間接的に中国政府への支援と受け止められかね
ず、チベット人弾圧に手を貸すようなことだけ
は避けるべきである。支援する以上、全ての被
災者を対象にすべきである。日本政府はじめ、
世界各国は毅然とした態度で支援すべきである。 

四川省、甘粛省、青海省も、元チベットだった!

2008-06-01 18:58:21 | 宗教と戦争
 「中国大地震の震源地の四川省にはチベット人が多く
住んでいる」というテレビなどのマスコミ報道は間違っ
ている。
 その報道を一見すると、漢族などの生活している四川
省にチベット人が移住してきたかのような意味にとられ
やすい。逆である。四川省はチベットだったからである。
 実は、もともとのチベットは四分割されたのである。
「チベット自治区」、「四川省」、「甘粛省」、「青海
省」の四つである。しかし、「チベット自治区」とは名
ばかりで、完全な中国政府の管轄下にある。他の三省も
同じである。そればかりか、チベット人は完全に人権侵
害されている。チベット人の話では、チベット人は「虫
けら」同然にあつかわれているという。
 「中国軍にチベット女性が入隊すれば、医学と看護婦
の勉強ができ、その親には報償が与えられる」、という
情報を中国軍は流した。真に受けたチベット女性が進ん
で入隊した。しかし、ある日、「上官の希望を満たすの
が君らの任務だ」といわれた夜、三人の将校が一人のチ
ベット人女性兵士を一室に入れ、その三人で強姦した。
その後、毎夜、三・四人の将校の相手をさせられたとい
う。そのチベット人女性兵士は多数に上るという。「慈
悲を生きる ダライ・ラマ14世とチベット」(ビデオ
)参照。
 また、軍医がチベット人の村々を回り、若いチベット
女性に避妊手術し、チベット人の根絶やしをしていると
いう。「中国はいかにチベットを侵略したか」参照。そ
の結果、術後の結果が悪く、死んだり体調不良に苦しん
でいる女性が多いといわれている。
 ダライ・ラマが主張しているのは、これらのチベッ自
治区と四川省、甘粛省、青海省の三省を元のようにチベ
ットに返して、チベット人自身の統治に戻してもらいた
い、と云っているのである。四川省にはミサイル基地が
あるといわれているので、その要望を聞くわけにはいか
ないだろうが大人、中国ならできるはずである。
 中国は、ダライ・ラマ師とチベット人の要望を聞き入
れるべきだと考える。