TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の是非も問われる
衆議院選である。TPPの一番の問題点は、日本人の主食であ
る米をこれまでのように確保できるか、失うかということである。
これまでは三ちゃん農業(じいちゃん、ばあちゃん、かあちゃん)
といわれながらも米の自給率を100%保ってきた。いわゆる三
ちゃん農業とは、兼業農家のことである。ご主人は、会社など
に勤めている。したがって普段は三ちゃんによってタンボの手入
れをしている。田植えや稲刈りなどの農繁期だけご主人もタンボ
に入る。日本全国、この形態が普通である。タンボだけの収入だ
けでは家計が保てないからである。専業農家は日本の総人口の
数%だといわれている。このような状況下であっても、米の自給率
を100%保ってきたのである。しかし、日本人の食の内容がが違っ
てきてパンなどを食べるようになってから久しい。したがって、米の
消費量が減り、その結果供給過剰となり、米を減反せざるを得なく
なって数十年もたっている。ところが、パンや麺の原材料である小
麦の自給率はきわめて少なく、ほとんど輸入されている。いつまでも
輸入に頼ることはできない状況である。たとえば、今年、米国の中西
部を干ばつが襲い、立ち枯れした結果、小麦が不作となってしまった。
当然、小麦粉の値段が高騰し、エジプトでは倍以上になってしまった。
この高温による不作ばかりでなく、世界の人口増によって、小麦の絶対
量が少ないのが実情である。世界全体が高温化しており、今後はさらなる
不足現象と値段の高騰が加速されるのは確実な状況にある。現在、日本
は経済的に豊かな国の一つなので、金の力で輸入できるが、2050年頃に
なると輸出してくれる国はなくなるであろう。自国だけでも足りなくなるからで
ある。そうなった場合、米の休耕田をフル稼働しても、主食が不足状態にな
るのは目に見えている。
ところで、TPPに加入すると、非関税の安いカリフォルニア米などが輸入
されることになる。そうなれば、日本の米農家は全滅状態に近くなるのは間
違いないであろう。そうなった場合、農機具を売ったり、放りっぱなしにして
おくことになるだろう。すなわち廃棄処分になってしまう。問題は、将来外国
から米や小麦、大豆などを輸入できなくなった場合、来年から日本でも米づ
くりを再開しようと云っても、使い物になる農機具がない状態になることであ
る。そればかりか、翌年からすぐに再開できるタンボがない状態になるので
ある。ものごとは簡単なものではない。そうなった場合、日本人は主食を完
全に失うことになる。そうなってから気づいても、後の祭りである。そこまで
TPPを考えないと大変なことになるのである。工業製品を輸出して儲けた
金で、食料を輸入するから大丈夫だという官僚がいるとすれば、先を見通
すことができない人といえよう。TPPは、日本人の食を確保できるかどうか、
という命にかかわる案件であることを真剣に考えるべきである。
また、日本の公共事業にも米国などが堂々と参加してくることになる。日
本の企業とジョイントを組んで参入してくることになるだろう。しかし、頭をはね
て10%などの金を米国などに持っていかれるのは目に見えている。馬鹿げ
た話しである。
TPPに反対する政党を支持すべきだと考える。