今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

震災復興計画と首都機能移転

2011-04-25 17:11:17 | 環境劣化と人類延命の智慧
 今回の東日本大震災の犠牲者のご冥福を祈ると同時に、罹災された方々の
一日も早い復興意欲が旺盛になることを祈念いたします。
 さて、今回の大震災は、明日の日本の姿を想像以上に見えるような気がす
る。特に、大都市は海岸に面している。東京、横浜、名古屋、大阪、福岡し
かりである。すなわち、今後とも大地震が起これば津波が起こるのは理の当
然である。仮定のことで恐縮だが、もしも今回のような大地震と津波が東京
を襲えばどうなるのであろうか。国会も官庁も、都庁も水没することになる
だろう。当然、国家の統制は完全に麻痺することになる。そのようなことは
あり得ない、という考えは希望的なものにすぎない。何の根拠もない自論で
ある。むしろ、いつ現実化してもおかしくない現況といえよう。そのことを
本欄で何度となく警告している。大地震による津波、巨大台風による高潮な
どの可能性は否定しきれない段階に入っている。
 今回は巨大地震、津波、原発という三大災害に見舞われた。そのため、復
興構想会議等が首相の私的諮問機関として数多く設置された。しかし、大災
害からの復興という一点しか見ていない。地球の劣化による人類の危機感は
まったくないように見える。東京都知事は今回の災害を「天罰」と云ったが、
それは違う。宇宙に意志などない。人類主体の利己的な文明行為は、自然の
法則に反する部分がある。たとえば、温暖化の原因物質の宇宙への放出とい
う人類行為は、宇宙の法則に反するものである。当然ながら自然の法則が凌
駕する結果となっている。その結果が人類に不利な面となって現れているい
るだけである。ブッダは、あくまでも因(原因)と縁(条件)によって果
(結果)があるのである。その結果によって人類が受ける幸・不幸などの感
じかたを報(報い)という。偶然や、神的な意志などを完全否定した考え方
である。
 いずれにしても、今回の大災害で終わりではないということである。続き
があるはずである。その観点を諸機関は見逃すべきではない。何度でも云お
う。東京が水没してから、すなわち国家統制機能が不全状態になってから、
首都機能移転を主張しても何の意味もない、ということである。その前に首
都機能移転をして万全を期せ、と主張しているのである。
 現在は開店休業の状態であるが、これまでの国会論議で首都機能移転候補
地として、三重・畿央、岐阜県東濃・愛知県西三河北部、栃木県那須・福島
県阿武隈の三地点が候補だった。しかし、東京より以西は温暖化を考慮する
と適地とはいえない。東京より北東の那須が最有力候補と目されていた。し
かし、今回の福島の原発事故で、那須は隣県であるため候補地からはずれた
といっても過言ではないだろう。茨城、宮城両県も隣県なるが故に候補地と
はなりえない。また、青森県は三方から海に囲まれており、候補地とはなり
えないのではなかろうか。
 こう考えると、岩手県が適任地として残る。県都の盛岡市は内陸に位置し、
海からも約80km離れている。また、福島原発から200~300km離
れている。一方、新幹線、高速道、飛行場(花巻空港・盛岡まで車で約30分)
ともに完備されている。したがって、交通アクセスなどの経済的な負担が少
なくてすむ。盛岡市近辺に首都機能移転するのが合理的であると思われる。
さらに、災害復旧事業と一緒にプロジェクト化すれば、就労救済事業ともな
り、日本全体に安心感を与えられるものと推察される。ところで野僧は岩手
県には一人の知人もいない。あくまでも日本全体の将来を心配してのことだ
とご理解いただきたい。
 為政者は明日の日本も考えて智慧を出し切ってもらいたい。首都機能移転
は必要不可欠なものである。復興構想会議等は、日本全体の将来観によって
判断すべきだと考える。 

福島原発、これからが大問題!

2011-04-17 23:32:03 | 環境
 「今回の福島原発事故は、チェルノブイリ事故と違い、一人の犠牲者
も出していない」と、保安院の一人が報道陣の前で大見えを切った。こ
れは国民に心配をかけない、という意図から出たものであろう。しかし、
福島原発の事故は終わったわけではない。これから、最重大な事故に繋
がる可能性があるからである。

 ①汚染水は増える一方である。中心部の炉心などを格納している原子
炉格納容器内にも冷却水は使われている。しかし、建屋内の水蒸気爆発
や余震によって、その容器に接続されている配管などが損壊している可
能性が高い。すなわち水漏れしていると思われる。また、使用済み核燃
料棒の一時貯蔵プ-ルも水漏れしている可能性が高い。さらに、それら
に一度水を注入すればそれでよし、というわけにはいかない。燃料棒の
余熱で、だんだん熱くなるので、たえず冷却水を入れる必要がある。い
わば、ザルに水をかけているようなものである。したがって放射性物質
を含んだ汚染水は増える一方と思われる。

 ②使用済み核燃料一時貯蔵プ-ルの冷却水の沸騰による影響が心配で
ある。最近テレビ放映されたそのプ-ルを見ると、冷却水が高温となっ
ているため白煙、すなわち水蒸気が立ち上っていた。また、水蒸気爆発
などの影響で約4000本あるといわれる燃料棒そのものが一部損壊してい
ると東電も認めている。また、水漏れのはげしいプ-ルでは、水の上に
出ている燃料棒が溶ける心配もある。水蒸気爆発以上の事故が起こる可
能性があるかもしれない。

 ③原子炉格納容器内の炉心溶融が心配である。いわゆるメルトダウン
になる可能性は否定しきれないのではないか。炉心内の燃料棒が溶ける
ことである。最悪の場合は、大量の放射性物質が放出されることになる。
このような最悪の事故を想定したくないが、もしも現実となった場合は、
どこにも逃げ場所がない状態となるであろう。

 ④臨界事故の可能性も否定できないのではなかろうか。臨界事故とは、
不始末が原因で偶発的に起こる人為的な事故のことである。臨界事故が
起こると、発生場所から数十メ-トル内にいる作業員は重傷または死亡
にいたる危険性にさらされ、さらに放射性物質が放出される。ただし、
核爆発にいたることはない。たとえば、プルトニュ-ムの球体の上に、
タングステン・カ-バイトの煉瓦を落としただけで臨界事故が発生する。
また、ドライバ-を滑り落としプルトニュ-ム・コアの上に突き刺さっ
て臨界事故を発生したことがある。いずれもアメリカの出来事である。

 ⑤福島原発4基が連鎖的に事故などを起こした場合、史上最大の事故
になる可能性も否定できない。今回の福島原発の事故は、どの国でも経
験したことがない規模である。それだけに、何が起きても不思議でない
状況下にあることを認識しておく必要がある。チェルノブイリどころで
はない、と主張するブログもあるくらいである。

 ⑥余震による偶発性の大事故の可能性もあるのではないか。上記のよ
うに、一つ一つ考えただけでも恐怖である。さらに余震はいまだ止んで
いない。大事故が起こるとすれば、余震が引き金になるのではないかと
心配である。たとえば、建屋全体が崩壊する場合があるかも知れない。
何が起こるか誰もわからない、という状態であろう。

 現在、政府の官房副長官が福島県の飯館町と川俣町の住民に計画避難
をうながす背景には、政府、東電等は上記のような心配をしているから
ではなかろうか。「命あっての物種」という諺がある。とくと考えるべ
きだと思われる。

「フリ-百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』」参照。

夏場の電力対策を急げ!

2011-04-11 16:52:23 | 経済
 関東地方の夏場の電力対策を急ぐべきである。具体策を列挙してみよう。
石油危機の時にも実施済みである。

①電力融通は60hzのままで、関東に送り、東電の変電所の敷地内に50
 hz用の変電機器を設置すべきだと、同志社大学の山口栄一教授は提言し
 ている。(4月2日、読売新聞朝刊4面、参照)
 同教授は、東電の鉄塔をかりて西日本から送電線を伸ばすべきだと主張し
 ている。しかし、東電の変電所までは、新幹線や高速道路の下に配線する
 のが手っ取り早いのではないだろうか。そこから先は、東電の鉄塔を使用
 すれば早急的、実用的ではなかろうか。
  また、パソコンなどの電子機器はどちらの周波数でも使えるということ
 である。検討すべきである。
尚、東電は関西電力などから買う形式を取れば問題はないと思われる。

②全国のテレビは午前0時~午前6時までは放送禁止とすべきである。

③全国のコンビニエンス、ストア-は午前0時~午前6時までは営業禁止と
 すべきである。

④全国の商店等のネオンサインは、日没から午後10時30分までに規制す
 べきである。

⑤飲食店等の営業は、午前0時~午前6時までは営業禁止とすべきである。

⑥その他については、仕分け検討して必要あれば、規制を拡大すべきである。

⑦東電でも火力発電等の方策を考えているようであり、総合的な英知で今回
 の電力不足という危機を乗り越えなければならないと考える。

⑧現在でも北海道電力の余剰電力は東北電力へ、東北電力は東電に融通する
 玉突き状態にあるので、今後もそれを続ければいい。

 いずれにしても、市民生活、企業活動にできねだけ負担のかからないよう
にして、電力不足を克服すべきであると考える。また、宴会等の自粛は解消
すべきだと考える。時間停電は極力さけて日本の現状打開策を講ずるべきで
ある。

無能内閣は退陣せよ!

2011-04-08 08:19:52 | 人間の資質
 夏の電力削減目標を政府骨格案として発表した。相も変わらず
総量規制である。これでは企業は成り立たない。大地震と津波で
家は壊れ、会社は倒壊した。すなわち、多くの住環境と企業の社
屋を失ったのである。生きていく生活基盤が喪失したのである。
これは国家の一大事である。その中にあって、日本をどう復活さ
せるかというのが今一番の課題である。今こそ企業が元気を出し
てもらわなければならない現状である。その企業の電力を規制す
るとは不見識である。また,日本全体で取り組まなければならな
い時期でもある。さらに福島原発の崩壊で、日本以外の世界各国
の人々の心痛が止まない状態である。逆である。
 大口 25%、小口 20%、家庭 15~20%という総量
規制は間違っている。今こそ企業の電力規制をするべきではない。
不要不急の電力を仕分けし、規制すべきである。政府は「仕分け」
の意味がわかっていない。テレビ、コンビニの時間規制から始め
るべきである。さらに規制を増やすべきである。また、日本各地
の電力を不足している地区に融通すべきである。それでも足りな
ければ、総量規制も止むを得ない場合があるかも知れない。
 夏の電力需要が増大するのは例年のことでわかるが、まず、不
要不急の規制を今から始めるべきである。政府の方針はあまりに
も寸尺定規的で無能政策といわれても仕方ないであろう。
 西岡参院議長は7日、「菅内閣が将来にわたって国政を担当す
ることは許されない」と発言したと報じられた。(読売新聞、7
日朝刊参照)。今や、決断力のある強力な人が首相となって日本
を引っ張って行く以外に方法はない。正確な即決力と応用力豊か
な西岡参院議長や小沢一郎氏などがいるではないか。 

世界に責任もつ廃炉処理を!

2011-04-05 09:32:12 | 環境
 放射性物質を含む汚染水を東電は海に放出し始めた。環境汚染に
繋がるのは確実である。世界各国は日本の処理方策を注視している。
近隣諸国から海洋汚染による魚介類の汚染が問題化されるのは時間
の問題と云えよう。さらに気化している放射性物質による土壌汚染
などの問題も諸外国から糾弾されることも避けられないだろう。そ
ればかりか、福島第一原発の処理を間違えれば、日本の科学技術に
対する評価が低下するのも避けられないだろう。これまで日本の製
品が高く評価されてきたが、当然日本製の自動車などすべての輸出
に悪影響を与えかねない心配が生じてきた。世界の目を無視するか
のような今回の海洋への処理方法は、日本全体の評価に繋がってい
ることを、政府、産業経済省の原子力保安院、東電、財界はどう考
えているのだろうか。このぐらいなら世界各国は許してくれるだろ
う、という甘えは、大いなる訓告となるだろう。一旦、そう評価さ
れると、元の評価を取り戻すには何倍もの労力を必要とする。
 本欄で再々指摘しているように、海を処分場と考えているとすれ
ば、簡単である。しかし、それは環境破壊による人類滅亡を早める
だけである。それも人類が選んだ結果であるならば、人類全体が受
け止めるざるを得ない。人類の終末現象の一つなのかも知れない。
 人類にできうる限り悪影響を与えない廃炉処理をしなければ、人
類滅亡のA級戦犯として世界史に刻まれるだろう。