今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

中国のチベット支配は新植民地主義だ!

2008-04-06 21:09:54 | Weblog
 今回のチベット騒動は、中国のチベット侵略の実態を
世界にアピールするためであろう。中国でのオリンピッ
ク開催で世界の耳目が集中する機会を利用したものと思
われる。
 これまで中国のチベット支配の実態を、世界の人々は
知らな過ぎたのである。中国のチベット支配は、中国の
不当なチベット侵攻からはじまった。当初の中国軍は、
チベット人のための道路建設などと銘打っていた。また、
診療所を設置して無料で病気の治療もしていた。いわゆ
る中国軍は巧妙な懐柔策で侵攻したのである。しかし、
毛沢東の中国政権は、最初からチベット侵略と植民地支
配を目的としていた。道路建設はチベット人のためでは
なく、軍用道路が目的だったのである。無料の診療所は、
チベット人の抵抗なく中国軍が侵攻するための手段に過
ぎなかった。実に巧妙なトリックだったのである。最初
は友好的に、次第に暴力的になる中国の偽善体質を忘れ
てはならない。
 しかし、その後の中国軍は悪魔的なものだったと云わ
れている。その植民地化のやり方は凄まじいものだった。
6000あった仏教寺院をことごとく破壊し、僧侶を公
衆の面前で裸にして惨殺した。また、少しでも反抗的な
信者は手足を切られ、子供の面前で虐殺された。その中
国の一部の国家指導者の思想は、現在にまて゜継承され
ている。毛沢東は、チベットを支配するには仏教指導者
を徹底的に滅ぼせといっている。次に故ト小平は、「我
々に逆らうものはたとえ1000万人だろうと殺す」と
豪語している。さらに、現在の国家主席はチベット自治
区の最高責任者だった人物である。おそらくチベット人
の植民地政策に深くかかわってきたものと推測される。
いずれにしても、欧米や日本の植民地主義を真似したの
かも知れない。
 これまでチベット支配の残酷な実態が世界に知らされ
なかった理由の一つに、朝鮮戦争で世界の耳目が注視し
ている時に、チベット侵略が展開されたからである。実
に巧妙なやり方である。いわば新植民地主義である。ま
た、中国はアフリカで経済的な侵略政策を展開している
ともいわれている。
 ところで、第二次世界大戦後に人類が得たのは民主主
義といわれている。事実、日本をはじね世界の大多数の
国で民主主義は定着している。しかし、中国、ミャンマ
ー、北朝鮮などは一昔前の国家体制である。特に、この
三国は中国と密接な関係にある。ミャンマーや北朝鮮で
人権無視の弾圧と恐怖政治を行っている。しかし、今の
中国は、それらの国に文句や注文できる立場ではない。
残虐な国同士、傷をなめ合いながらいたわり合っている
ようにさえ見える。
 一方、IOCは「チベットの問題は中国の内政問題で
ある」とコメントしている。実に政治音痴の言動である。
明らかに中国はチベットを侵略し、植民地化を推進して
いるのである。これまで世界中から中国の人権問題が指
弾されてきた。それにもかかわらずオリンピック開催を
決めたのである。何か問題が発生することは予測できた
はずである。IOCはトンチンカンな政治的な発想で中
国での開催を正当化すべきではない。オリンピックを開
催するすることで、それらの国が平和や善意に目覚める
というのであれば、なぜ今回のチベット人弾圧が起こっ
たのであろうか。このような観点からすれば、中国でオ
リンピックを開催する資格があるのだろうか。早すぎた
といわれても仕方ないであろう。今後、人権問題の多数
ある非民主主義の国でのオリンピックを開催は取りやめ
るべきである。それは世界中の選手のためでもある。

 ブッダは、「王は暴力を用いて地上を征服し、海辺に
いたるまで大地を併せ有し、海の此方では満足せず、海
の彼方をも得ようとする」といっている。
 
 中国は広大な土地を有しているのに、なおも取るに足
りないチベットまで欲しがるのであろうか。人間の業の
深さを感じざるを得ない。
 中国は、チベットを速やかにチベット人に返すべきで
ある。これ以上、自分の手で、自分の手を血で汚す愚を
中国政府はすべきでないことを悟っていただきたい。中
国人は大器なはずである。

(参考文献)
「中国はいかにチベットを侵略したか」(マイケル・ダ
   ナム著、山際素男訳)講談社インターナショナル