今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

来年の洞爺湖サミットは、日本の未来を暗示するものだ

2007-06-21 15:40:56 | 環境
 今年のドイツ・サミットも終わった。案の定、環境
認識は茶を濁す程度で終わった。その一番の原因は、
環境破壊の現実が「この程度であれば」、という現状
認識によるからであろう。だから、美しい国・日本と
いうのであろう。大雨が降るたびに大洪水に世界各国
が襲われている現実をテレビで見ても、各国の首都は
大洪水に襲われていない。だからまだまだ大丈夫と思
っているようである。しかし、昔から「一を聞いて十
を知る」、「一と言ったら二を悟れ」、という諺があ
る。現代人はその逆で、「一を知りて二を知らず」の
ようである。恐らく、先進諸国の首都の5ヶ所ぐらが
大洪水に見舞われて大打撃を受けるまで目覚めないで
あろう。賢い人たちとは言い難い。
 来年の洞爺湖サミットで、「2050年には温室効
果ガスの排出量を50%カットする」ように検討する、
という漠然とした課題を提起するに止まった今回のサ
ミットは、何ら実現可能な確証のないものである。事
実、具体的な数値には難色をしめすアメリカ、中国、
ロシア、インドなどがあり、実現不可能な状態である。
マスメディアの報ずるように、50%削減目標を提起し
た阿部首相の自画自賛に過ぎないものである。
 このような世界主要国の首脳の認識は、世界の世論
を代表するのもので、多数意見、多数認識が正しいと
はいえない。日蓮は、「愚人に褒められたるは第一の
恥なり」、といっている。

 (北海道流民が出る日はいつか?)

 環境破壊がさらに進めば、確実に北海道に環境流民
や企業(製造業など)が丸ごと押し寄せるだろう。恐
らく東北以西の人々が少しでも安全な場所を求めて北
海道に移住する日は、そんなに遠くないものと思われ
る。現在の北海道の現実は、札幌市に約180万人が
生活している。北海道の全人口の3分1である。さら
に札幌市周辺の都市人口を入れると、約半分の人々が
札幌周辺に暮らしている。
 逆説的には、過疎化した地方だらけである。それは
環境流民の一番の適地ということを意味している。ま
た、北海道の食料自給率は、現在、200%である。
これ以上の適地はない。
 緑に囲まれた洞爺湖を、ウインザーホテルから見下
ろす景観は天下一品である。このホテルは、拓殖銀行
などが力を入れて建設したものである。今になって見
直されても、時すでに遅しの観は免れない。皮肉なも
のである。しかし、来年のサミットは、北海道の素晴
らしさをピーアールする結果になるだろう。サミット
会場としては最適地といえよう。その反面、世界の環
境破壊を対比するのにいいチャンスなのかも知れない。
 プレスセンターの置かれるルスツ(留寿都)へは、
洞爺湖から車で約20分ぐらいなので、これまた最適
地といえよう。
 いずれにしても、現在の環境破壊の最大原因である
既に大気中にある温室効果ガスの除去を討議しない世
界会議は、サミットであれ、科学者会議であれ、無意
味なものといわざるを得ない。いずれにしても、人類
絶滅の恐怖から逃れることはできない。このままでは。