今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

民主、強力内閣を

2009-09-05 14:29:02 | 政治
 民主党は308議席を得て圧勝した。しかし、
鳩山代表がいうように、これからが政策実現の
「スタ-ト」である。
 今回の衆議員選の論評で一番的を射て、おも
しろかったのは、野口武彦氏(文芸評論家)の
「民主党は改革者になれるか」である。(読売
新聞9月3日・朝刊)。ただし、野僧の知る範
囲内の話ではあるが。その中で野口氏は、「世
直し、空約束は命取り」、「幕末の江戸も格差
社会」、「天保の改革と酷似」、「チルドレン
たどる道は?」のタイトル内容である。今回は明
治維新の時の「革命」ではなく、統治体制を同じ
くする中での改革であり、「天保の改革」に酷
似している、として幕末と現代を比較論評した
内容である。中でも、明治維新の時の主役は若
年層だった。奇兵隊を創設した高杉晋作29才、
西郷隆盛は41才、大久保利通は35才、木戸孝允
は35才、伊藤博文は27才だった。これに比べ、
鳩山代表は62才、菅直人代表代行は62才、小沢
一郎は67才である。これらの対比からしても、
民主党は思い切った若年層を登用すべきではな
かろうか。
 鳩山由紀夫総理、小沢一郎幹事長、平野博文
官房長官、岡田克也外相、国家戦略相には菅直
人氏が内定したようである。予想以上に民主党
には有能な人材がそろっているようである。
 ただ、戦前、戦後の政治体制を見ると、軍国
化、右傾化の根源は(旧)文部省が先導していた
事実を否定できない。その傾向は戦後も継続し
ている。たとえば、靖国神社問題にしても自民
党以上に文科省が主導していた。したがって、
自民党の中に、宗教に無関係の追悼施設を設置
しようと提案する議員や総理がいても、自民党
のタカ派と文科省の官僚がタックを組んで潰し
てきた経緯を見逃すわけにはいかない。したが
って民主党のマニフェストに掲げられた宗教抜
きの追悼施設を設置しようとしても、官僚の強
い抵抗が予想される。つまり、相当ベテランの
人が文科大臣にならなければ、実現できないこ
とになるだろう。たとえば、田中真紀子氏のよ
うな人が適任ではなかろうか。
 次に、「民間人閣僚に寺島氏浮上」(北海道
新聞、8月31日夕刊)とも報じられている。寺島
実郎氏(62)は日本総合研究所会長であるが、テ
レビ等のコメンタ-タ-として引っ張りだこで
ある。氏のコメントは的確で評論家としても第
一級の人物というよう。さすがに民主党は読み
が深い、といえよう。寺島氏の閣僚も期待でき
るが、アメリカ大統領のシンクタンク的なトッ
プとして全体をコントロ-ルする立場の方が適
任ではないかと思っている。
 いずれにしても、民主党は英断をもってマニ
フェストの実現に取り組んでもらいたい。本当
の改革、チェンジできるかどうかが、次の衆議
院選挙に直結する。名は体をあらわす、という
が、党名どおりの民主国家にしてもらうことを
期待している。