安倍首相の最近の発言は、長年培ってきた自民党の成果を否定す
るかのようである。かっての自民党には右派から中間派、左派までの人
材がそろっていた。しかし、中間派といわれた平和主義者的な政治家が
主流であった。その中でも、太平洋戦争に対する開き直り的な発言や、
靖国参拝などの動きはあった。しかし、中国や韓国などの反発を受けて
慎重に弁明し、参拝を自粛してきた。また、先の大戦を肯定するような、
外国からすれば過激発言と思われる発言をした大臣は更迭されることも
あった。いずれにしても、近隣諸国を挑発することを避けてきたのである。
戦後60数年といっても、中国や韓国や北朝鮮の人々にすれば、肉親を
虐殺された事実をしっている人々もいるはずである。それらの人々の心の
傷を抉るような発言は不穏当といえよう。これらの歴史を直視し、言動は慎
重にすべきである。
また、皇室外交は絶大な効果を日本にもたらした。平和外交だったか
らである。しかし、4月28日に開催された「主権回復・国際社会復帰を
記念する式典」に対して、沖縄では大抗議集会が開かれた。このような国
民の間で対立する案件に天皇を巻き込むべきではない。このような天皇の
政治利用はこれを最後にしてもらいたい。
また、憲法の改正問題も焦点になりつつある。しかし、96条の手続き問
題は、9条の「戦争放棄」を目的とするものといえよう。今や外国と戦争すれ
ば両国ともに絶滅する危険性がある。勝敗の問題を通り越しているのである。
この点に関する報道では、毎日新聞が頑張っている。5月3日の社説「96
条の改正に反対する」、4日「憲法と国会」、5日「武力行使偏重は危うい」
と3日続けて反対論を展開している。正論といえよう。読み応えのある社説
だった。
いずれにしても、日本は平和憲法にしたがった平和外交で世界の信頼を
得てきたのである。自民党の成果といえよう。しかし、今や戦争大好きみたい
な右派の言動だけが目立っている。これは非常に危険な兆候である。一端、
平和主義が壊れると、戦前みたいな反対勢力のいない大政翼賛会のような
政治体制に逆戻りする可能性が出てきた。もしもそうなれば、平和を取り戻
すことは不可能となるだろう。大変心配である。
われわれ国民は、これらの流れを注視し、確固たる平和主義を守るべき
である。日本の技術力は世界でも突出している。これらの平和的な手段で世
界各国と協調し、日本の経済的な発展につなげるべきだと考える。
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過去を考えて、未来の姿を制作する。
これは、非現実の内容を扱う学問である。英米流の高等教育である。
過去の内容があやふやでは、未来の世界の内容もあやふやになる。
哲学を合わせなければ、共同作業に力を発揮することは難しい。
頼るは、信にしくはなし。
耐え難きを耐え、忍び難きを忍んで、もって万世のために太平を開かんと欲す。