今日の産経のWeb版に「新自由主義からの転向」で有名になった三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長の中谷巌さんの「なぜ民主「政治主導」は底浅いか」 と言う文章が載っていました。
選挙によって選ばれた政治家が官僚の言いなりにならず、自らの掲げる政策を「政治主導」によって実行することは、民主主義の大前提だ。それなのに、日本の政治家はなぜ「政治主導」を声高に主張しなければならないのか。
それは、戦後政治体制における官僚制度の強靱とそれに比べた場合の圧倒的な「政治力の貧困」という現実があるからだろう。政治家に官僚をうまく使いこなす実力と自信がないから、「政治主導」という「かけ声」を発することで官僚を排除しようとするのであろう。
しかし、実力のない政治家が「政治主導」かけ声の下、官僚の持つ情報や経験を無視して政策決定を推進すればどうなるか。それは現実を無視した子供じみた政策、長期展望を欠く政策が続出する結果になる。
(外務省や防衛省、専門家とのすりあわせが不十分のための普天間飛行場の迷走、子ども手当や農家戸別所得補償、高速道路無料化、高校授業料無償化などの「ばらまき型」政策を財源のめどもないまま実行しそれが財政危機を加速させた) (以上中谷さんの上げた例の略記)
求められているのは、官僚の利益誘導を排除しながら、彼らが持つ経験や知識をしたたかに活用するという、本当の意味での「政治主導」だ。ところが、政治が弱すぎることと、官僚組織が強力すぎるために、政治家は官僚の能力をうまく活用することができず、知らないうちに彼らの言いなりになってしまう。民主党政権はあえて官僚に依存しない「政治主導」によって独自の政策作りを進めようとした。しかし、その多くが失敗し、国民の失望を買った。 (現実は後記のように世論は失望しながら未だ菅内閣の政治主導を支持しています。)
(「政策こんてすト」には)仰天した。有権者は政治家に予算の優先順位を決めてもらおうと思って投票したのではなかったか。それを「政策コンテスト」によって多くの民間の意見を聞いて決めたいという発想は全く理解に苦しむ。
政治に官僚と十分に渡り合える十分な力を持たせるには何が必要なのか。これは複雑な問題であり、すぐに答えは出ないが、たとえば、官僚組織の一部を政党傘下のシンクタンク機構に移すという考え方はどうか。これによって、政権党は官僚の言いなりになることなく、独自のビジョンに基づいた政策を策定し、実行する力を持てるようになる。
民主党政権は、十分な政策構想能力と政策策定に必要な情報を持たないまま、「政治主導」を推進しようとした。結果的には「政治主導」の能力不足を露呈した。民主党政権はひょっとしたら、予算編成における官僚への「丸投げ」に戻ってしまうのではないか。
しかし、これでは日本の政治は永久によくならない。政治が官僚組織を十分に使いこなせる実力を持つような政治体制をつくりあげること。これこそ、日本が長期の閉塞状態から脱却するための前提条件なのではないだろうか。
[私の意見]
・私は麻生さんの時代に、出先官庁の統合へのゼロ回答(最近の報道では無条件の統合の回答は全体の1割で少し進歩しています。)公務員制度改革に対する人事院総裁の反乱への弱腰姿勢に対して、もし衆院選に負けたらその弱腰姿勢が敗因の最大原因の一つであることを知るだろうと書きました。
事実は国民は今でも民主党の「政治主導の行政改革」を支持し、世論調査では他の政策は変えても良いと良い、菅内閣の存続を支持しています。
これから見ても国民は民主であれ、自民であれ中谷さんの言う「政治主導」を支持しているようです。
・中谷さんが民主党の失政の例として上げた民主党の金ばかり食って経済効果のない四つの目玉政策、私が何度も言う中小企業対策ばかりの経済政策のどれを取っても、それなりの意味はあるかも知れないが、民主党の政策は全体の調整が取れず、整合性のない野党の政策であると思います。
・昨日の読売の解説記事を見ても経済政策としては、
菅さんは雇用改善、消費税論議、省エネ住宅へのエコポイント(その他に法人税減税なども言っています。)
小沢さんは景気を良くする、一括交付金による地方の活性化、無利子国債の発行、地方での高速道路建設、予備費2兆円を直ぐ投入して住宅ローンの供給円滑化(この他に円高に対する為替介入も言っています。)
を挙げていますが、これを今の厳しい経済環境からみれば素人の私が考えても焼け石に水にもなりそうにありません。 (但し公平な立場から言えばこれと言った特効薬がないの現在ではある程度仕方がないこともありますが。)
・中谷さんの言うシンクタンク設置は大賛成で私も何度か書いてきました。
そのシンクタンクは政府、官僚、与野党を問わない政党、学者、評論家などの誰でも参加し利用出来るものであって欲しいと思います。 (中谷さんの言うように「官僚組織の一部(だけを)をのシンクタンク機構に移」 せば彼の心配する官僚の利益誘導に終わる可能性が出てきます。)
私が提案してきたシンクタンクのテーマは、経済問題に限っても、地球資源の枯渇、地球の温暖化、少子化、米国型市場経済の見直し、少子化などなど多くの基本的に考えねばならず、そして政治家にも役立つテーマは幾らでもあると思います。
その情報に立った上で政党は官僚とある程度互角の意見交換が出来ると思います。
参照:カテゴリー→その場限りの政治シリーズ
・そうは言ってもその政治家と官庁職員の圧倒的な違い、専門の分野の経験年数の差からいっても、政治家と官僚の力の相違はハッキリしています。
それで中谷さんや麻生さんの言うように如何に巧く官僚を使うと言うことになります。
・そうするには官僚のやる気を如何に上げるかが問題ですが、今までの民主党のように、政治主導と言って頭から押さえ付けるのでなくて、民間型の自主管理活動にみるように、官僚のモラルを上げ、それから如何に前向きの提案を引き出す ことにあると思います。
しかし、もし小沢さんが首相になれば、やはり「政治主導」の名の元で、今まで以上に頭から押さえ付ける方向(国民の一部は拍手喝采、肝心の官僚は士気低下)に行きそうですが、果たしてどうなるのでしょう。
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