普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

貧困大国と日本

2008-11-28 16:19:56 | 経済・財政

 11月の半ば頃NHKの「視点・論点」覗いた時、 「貧困大国の未来」のタイトルを残して終わっていた。
 そのタイトルが気になっていたが、最近それがネット上に掲載されたのでその概要を纏めて見た。(黒字は私が記入)
 講師は「ルポ 貧困大国アメリカ」の著者でジャーナリストの堤 未果
さん

・先日アメリカで初の黒人大統領が誕生しました。草の根民主主義の象徴と言われた若いオバマ大統領に人々がたくしたのは「チェンジ」、アメリカという国の「方向転換」でした。
 「どうにかして変わりたい」と国民がそこまで切実に願ったその背景には一体何があったのでしょうか?
・泥沼化したイラク戦争と金融危機、拡大する貧困層、医療難民、失業者、ホームレスなど、先進国でいながらあたりまえの暮らしができない国民が急増し、社会の土台が崩壊しつつあるアメリカ。
・よく格差はグローバル化や技術革新といった、経済における自然現象のように言われますが、9・11以降のアメリカを見るとこの格差というものが実は政策によって作り出されたものである事がよくわかります。
・9・11直後、国がテロの恐怖で支配されていく中急激に進められた3つの政策がありました。社会保障費の削減、個人情報の一元化、そして民営化です。
社会保障費の削減政策では「自己責任」の言葉のもとで、失業保険やホームレス支援、公的医療保障や教育予算が削られ、セイフティネットが消滅していきました。
・災害対策機関や軍、公立の学校など、今まで国が責任を持っていた部分に、コスト削減と効率の名目で民営化
・こうして「市場原理」が国の隅々にまで導入された結果、一体何が起こったのか?例えば労働市場では、激しい競争の中で生き残るため企業が人件費を削減、その結果低学歴層だけでなく、大卒の社員もリストラされ貧困層に転落するようになりました。
  社会保障の削減によって失業保険や就労支援サービスが減らされ、一度放り出されると再び労働市場に戻るのは非常に厳しくなり、今アメリカでは年間100万人出る失業者の44%がホワイトカラーという状況になっています。
・(省略)アメリカの医療保険・医療格差の問題
・教育現場では「落ちこぼれゼロ法」という教育改革のもとで競争が導入され、「全国一斉学力テスト」が義務化されました。テストの結果によって予算に格差がつけられるというこのシステムの下で追いつめられた教師はやはり過労や鬱になり、そのしわ寄せを受けた生徒達は又、教育予算削減で縮小された奨学金枠や、値上がりした授業料による借金に苦しめられ、教育格差が広がっています。
・(省略)三大政策のうちの個人情報一元化→情報が派遣会社や軍に流れる→軍によるイラク派遣のための高給の兵士の調達への利用→実質的な「経済的徴兵制」
 彼女は政策で貧乏人を作りその人たちをイラクに送り出したと言っている。
・過度な新自由主義をすすめ、いのちや教育、くらしなど、国が責任をもつべき個所まで市場原理にさらし、戦争までも民営化してしまった国の姿、それが今のアメリカです。
民営化の問題点(彼女の中心の論点)
・人々が政治に不信感を持った時、民営化という言葉はサービスの質をあげ、効率よく無駄をなくし、誰もに機会の平等を与える夢のような言葉に聞こえます。
・絶対に民営化してはいけない場所がある、医療、子供達の未来に関わる教育、人々のくらしに関わる労働現場、生存権などを民間に委ねて責任の所在をわからなくしている。
・「ウォール街救済」と「テロとの戦い」を優先事項に掲げるオバマ大統領が、貧困大国アメリカを救うには、今の「戦争経済路線」を転換し、国民の生存権に関わる場所を民間ではなく国が責任を持って支える社会保障体制」これを構築できるかどうかにかかっています。
・貧困大国アメリカの未来。そのカギを握るのは大統領の肌の色ではなく「国とは何か」という問いに対し有権者が選ぶ答えではないでしょうか。
・どんな社会を望むのか、そのために国はどこまで市場にゆだね、どこまで責任をもって国民を守るのか?そしてそれは私たちにとっても決して他人事ではなく、今のアメリカの姿は、私達がそれを合わせ鏡にして「人間にとって本当に幸せなのは一体どんな社会なのか?」「私達は一体どちらの道を選ぶのか」それを考える大きなチャンス、ターニングポイントであるように思います。

[私の意見]
 私が最初にこの文章をざっと読んだとき、下記のように彼女は日本のことを書いているのではないかと何回か読み直したほど日本に共通することが多かった。
 戦後から米国の後を追っていたころ、米国で起こった事が鏡のように日本にも起こってきた。
 大量殺人事件、離婚や家庭内暴力の増加、小児虐待などなど、米国のドラッグの横行が今ころになって大麻事件の続発。
 然し、日本と米国の事情の違いはあるにしても、最近は堤さんの文章から拾っただけでも、拡大する貧困層、医療難民、失業者、ホームレス、社会の土台の崩壊、社会保障費の削減、個人情報の一元化、民営化、「自己責任」の言葉、公的医療保障や教育予算の削減、セイフティネットの消滅、企業の人件費の削減、低学歴層から大卒の社員も貧困層に転落、一度放り出されると再び労働市場に戻れないこと、教師の過労や鬱、教育予算削減、教育格差の発生など、事情は少し違うが米国と同時期に日本でも同じ現象が起こっている。
 日本の場合は過去の政策の誤りのつけによる膨大な国債の負担や、隣国の中国の台頭などのやむを得ない事情があるにせよ、今まで日本の政治家は何をやって来たのかと今更ながら首を捻りたくなる。

 何度も何度も書くだが、もうグローバル化の名の元で盲目的な米国の後追いを止めようではないか。(*注記)
 米国自身が変わろうとしているのだから。
 堤さんの言う様に、「人間(日本人)にとって本当に幸せなのは一体どんな社会なのか?」を考え、日本の国情や日本人の価値観に基づいた政策、教育制度、日本型市場中心経済システムや日本型の企業経営システム探し求め確立する必要があると思う。

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*注記:下記参照のこと
評価の高い日本型経営 
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