25日のNHKの「クローズアップ現代」で「狙われた“官僚”~検証 元次官宅襲撃事件~」のタイトルで元次官宅襲撃事件と官僚の関係を取り上げていた。
番組の案内
・元厚生事務次官やその家族が自宅で相次いで襲われた事件から1週間。
厚労省で金属探知器を使った警備体制がしかれるなど、霞ヶ関では警戒を強化。
厚労省の元幹部にも動揺が広がっている。
・官僚への“暴力”で、最近急増しているのが「匿名攻撃」である。
ある官庁には、日常的に「危害を加える」という声が寄せられ、別の官庁には事件直前、部署の役職員全員を殺害するという警告が届けられた。
・今回の事件は「匿名の暴力」という社会の闇の深さを浮き彫りにしている。
なぜ、元官僚たちは死傷されたのか。
番組では捜査の最新情報をもとに、犯行の動機や犯人像などを検証するとともに、事件の背後にある闇の深さを描く。
そこでゲストのノンフィクション作家の吉岡 忍さんが、
・官僚の天下り、収賄、年金問題での社保庁職員の怠業など諸問題の報道で官僚が悪者視されていること
・然し余程のことの無い限り彼らの責任も問われず身分も保証されていること
・しかも日本の政治の世界で隠然とした力を持っていること、
・そして政治家やそれを選ぶ国民の力ではどうにもならぬこと
・それに対する国民のフラストレーションやいらだちが溜まっている
ことが事件の背景にあることを「顔のない官僚」と言う表現で括り、NHKは番組の案内であるように、事件の背後にある闇の深さとして纏めている。
勿論キャスターの国谷裕子さんの吉岡さんも、理由はなんであれこう言う事は絶対に許されないと言う、前提で話を進めていた。
然し、考えようによればNHKが小泉容疑者の考えに一定の理解を示し、同種の犯罪を考えている人達を支持していると取られかねかねないことを放送して良いのかと思ったのが私の実感だった。
然し、私も吉岡さんの考え方にほぼ賛成だ。
翌朝のテレビ朝日の「スーパーモーニング」でも鳥越俊太郎さんが同じようにこのような事件は許されないと言う前提で、NHKと同じように官僚の問題を取り上げていた。
[政治家の責任]
麻生さんは首相就任のとき、官僚問題について「官僚は使いこなす」と言い官僚に対しては「省益ではなく国益に専念すること」と指示したが、数々の発言の振れやら失言(昨日も失言?したそうだ)で、国民の支持を失ったことを、官僚はいち早く覚り麻生さんの力の低下に伴う自分たちの身の安全を確信しただろう。
公明党から押しつけられた定額給付金への批判報道など、官僚たちは始めから判っていることだとせせら笑っているのだろう。
これで官僚の地位はますます安泰だ。
私は11日の頼り無い自民党と民主党で 麻生さんは今月の半ばに国の出先機関の統廃合の促進を各閣僚に指示 した件について、
私は麻生さんが官僚などの意見の良い意見は積極的に取り上げる一方、地方移譲案に対してゼロ回答するような省庁の幹部を更迭する位の決断をして見せれば、内閣の支持率が一気に上がると思うが、残念ながらそう言う事態が来るまで、麻生内閣がもつかどうか判らない。
と書いた。
今日の読売新聞の解説記事を見ると、統廃合の問題について党内の族議員と省庁の猛反発があるそうで後は(包囲網の中での)麻生さんの決断次第だと解説している。
一方の民主党も出先機関のとりまとめの構想が出ているが、官公労への配慮から慎重論も出ているそうだ。
これから考えると、小沢さんの言うように政権を取ったら100人の党員を省庁に送り込むと言うのはトライして見る価値があると思うが、民主党は大きな支持基盤である官公労を抱えているので、いくら大きなことを言っても官僚達に出来ることは知れたものになりそうな気配だ。
唯一怖いのは渡辺喜美さんが進めていた官僚制度見直し案に対する民主党の協力だが、渡辺さんの引退、自民党族議員の反対や、今のような政権目指しての泥試合でその実現はいつになるか判らないから、官僚達にとっては一安心だ。
そして吉岡さんの心配は今後とも続きそうな気がする。
[テロ行為発生の可能性]
テレ朝の「サンデープロゼクト」田母神論文に関連して第二の2.26事件やや5.15事件が起こるかもしれないと田原総一郎さんが言っていたが、私は今の自衛隊ではほぼ絶対にないと思っている。
然し上記の事件が起こったのは、日本の経済環境の悪化に加えて、政治・経済界の腐敗と言う、鬱積した環境が生み出したものだ。
それは軍も悪かったが、その上に立つ筈の政治家の責任も大きいのは間違い無い事だ。 そして現在は田原さんの言うようなクーデターは起こらないにしても、小泉容疑者のような個人または一部過激団体によるテロ行為が今後とも起こる可能性がある。
それはNHKの固谷さん、吉岡さん、鳥越さんのいうように理由は何であれ絶対に許されない行為だが、今回の事件は先ず政治家たちが今の状況と、自分たちの責任について考え直す良い機会だと思う。
[官僚達の責任]
それと官僚たち自身も今回の事件を期に、自分たちのやったこと、やろうとしていることに就いて考え直し、大臣を通じて前向きな進言をするべきときに来ていると思う。
そんなことは民間の企業ではどこでもやっていることだ。
官僚は企業と違って「親方日の丸」と言うやる気を落としかねない、マイナスのインセンティブを持つ不利な環境にあるが、企業の従業員と同じ日本人だから、そして日本を愛しているのなら、そして自分の職務に誇りを持っているのなら、やろうと思えば出来ないことはない筈だ。
そして今の政治家達の実力(企画力、実行力)から考えると官僚たちの前向きの提案はどの党が政権を取っても歓迎されることは間違いないような気がする。
官僚、特に若手の人達の奮起を期待したい。
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