米大統領選で、民主党のオバマさんが共和党マケインを大差で破って当選した。
白人優位社会の米国で、黒人候補を選んだことはさすが民主主義の総本山を自認する米国だけのことはあると評価したい。
オバマさんについては色々の方面からの評価があるが、米国内のことを言っても仕方がないので、彼の考え方とその日本に与える影響について考えて見たい。
[オバマさんの考え方] (読売新聞より)
・外交方針
ブッシュさんの一国主義を批判、対話と国連重視
日本は米国と対等に対話し得る識見と気構え持っているだろうか?
麻生さんは?小沢さんは?
・イラク・アフガン政策
就任後16カ月以内にイラク撤兵、アフガンに兵力を集中
米駐日大使はアフガニスタンでの対テロ戦争で、「より大きな貢献を期待する」と述べ、海上自衛隊による給油活動以上の支援を要請
日本では海上給油は完全に政局の道具にされ、民主党は田母神さんの参考人招致と海上給油の採決を引き換えにしたと思ったら、今度は参考人招致に麻生さんがでなければ、採決しないと言い出している。
日本の安全保障に関する大きな問題の処理についてこんなことで良いのだろうか?
日本民主党が政権を取ったら実行不可能な「対案」をどのように処理するのだろうか、それとも頬被りしてしまうのだろうか?
・アジア政策
日本、韓国の同盟を維持、東アジアの新たな対話の取り組みを構築
オバマさんは一度も選挙演説で日米同盟のことは一度も触れたことはない由、彼の周辺の人物から見て日本は無視され、中国との対話重視されるのではないかと言われているが、日本はこれにどう対応するのか?
・北朝鮮
直接外交重視、テロ指定国家解除を評価
拉致家族問題で日本が続けている経済制裁の効果激減、マスコミなどではこの問題も米国の北朝鮮との直接交渉のさいに拉致問題も議題に上げて貰えと言ってる人もいるが、独立国日本としてはそんなことで良いのか?
逆に言えば6ケ国協議で米国に遠慮していた日本が、小泉さん訪朝以来の独自外交を進めるチャンスだが日本はどうしようとしているのか?
・貿易
国内経済を不安定にする自由化反対
言い換えれば、貿易に政府が口を出すことだ。
特に膨大な赤字を出しているGMやフォードが政府に巨額の支援要請をしていること、米国民主党の支持母体が労働組合であることを考えれば、日本から自動車輸出に何らかの申し入れが来る可能性が高い。
米国民主党政権時代の所謂「ジャパン・バッシング」の再現だ。
・内政の基本方針
自由競争主義に懐疑的、政府規制の強化や富裕層への税負担増、中間層以下の減税
・経済、金融危機対策
500億ドルのインフラ整備と州財政の支援、低所得者層への減税、金融機関への監視強化
米国は膨大な貿易赤字を持っているが、国債は日本に比してはるかに少ないので、赤字国債を発行して処理できるが、既に巨額の赤字国債を抱えている日本はそれも出来ない。
麻生さんが3年後の消費税増税を示唆しただけで非難轟々。
世界で突出した赤字国債を産んだ政治について反省、検証すべきだ。
日本は銀行への資金注入や低金利で銀行を保護し、中小企業への貸し渋りなども手が打てないまま、その破産にも指を加えて見るしかなかった。
日本も金融機関のモラルや使命感だけで頼るだけでなくて何らかの手を打つ必要があるのではないか。
・医療保険
国民皆保険を目指す。低所得者には保険加入補助金支給
この面では日本が先行、但し高齢化進行に伴う問題を抱えている。
・環境・エネルギー問題
2050年までに1990年比80%削減、代替えエネルギー推進
この面でも日本が先行、ブッシュさん時代の環境問題への消極性がなくなるのは日本に取っては朗報だ。
但し代替えエネルギー推進で食料自給率39%と言われる日本にとっては大問題だ。
[日本のこれから]
今まで日本は米国型の市場経済中心、自由主義経済を目標に進んで数々の規制改革をやって来た。
そして米国と同じように、日本社会には馴染まない社会格差を産んできた。
米国の方向は実は共和党政権やブッシュさんの考えであり、日本はそのお手本の米国の「年次改革要望書」に従って改革を進めてきた。
米国ではそれが(一部か完全か判らないが)否定され、経済、金融にブレーキが掛けられそうだ。
日本の改革の推進者たちは「二階上がって梯子を外された」気持ちかもしれない。
防衛面でもマスコミではオバマさんになって、日米同盟もアフガン支援要請の処理によっては可笑しくなりそうだとの議論がされている。
オバマさんは日本より中国に向いて東アジア政策を進めそうだと言われている。
それでも麻生さんは日米同盟は揺るぎないと言っているが、良く批判される彼の軽薄な発言のようにも聞こえる。
拉致問題では米国で裏切られたが、オバマさんはその路線を継承して行きそうだし、貿易問題ではまた何らかの米国からの圧力がかかりそうな情勢だ。
しかし日本は独立国だから米国がどう変わろうと文句を言う訳にはいかない。
後は日本が全ての問題を独自に考えて処理して行くほかは無い。
私は何度も米国型の市場経済中心主義の見直しや、経済や防衛面での米国ベッタリの政策を見直すためシンクタンクの設置を書いてきた。(*注記)
今こそ日本は日本人の頭で世界の変化に適合し、しかも日本の国情や日本人の考え方を考慮した政策を考えるべき時だと思う。
米国の(軍事を除く)世界への指導的地位の低下、米国初の黒人大統領の出現、そのオバマさんの言う米国一国主義から対話への姿勢の変化、経済情勢の激変など、日本が日本としてどうあるべきを独自に考える時期である事を示唆していると思う。
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*注記:下記参照
その場凌ぎの政治から抜け出すために
石油問題と米国との関係の見直し
日本経済と社会問題の見直し