普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

田母神さんの参考人招致

2008-11-07 10:40:58 | 国際社会

 参院外交防衛委員会は6日、昭和戦争などに関して政府見解に反する論文を発表して更迭された田母神俊雄・前航空幕僚長を、11日の委員会で参考人招致し、質疑を行うことを全会一致で議決した。
 自民、民主両党は、田母神氏の参考人招致を、同委で審議中の新テロ対策特別措置法改正案の採決の前提とすることで一致しており、13日に委員会、14日に参院本会議の日程で採決することで大筋合意した。
 11日の参考人質疑は、田母神氏のほか、浜田防衛相、河村官房長官、中曽根外相の3閣僚が出席して行われる。野党側は、田母神氏に対し、歴史認識や、問題発覚後に自発的な退職に応じなかった経緯、退職金の自主返納の意思などをただす考えだ。政府に対しても、田母神氏を空幕長に任命した責任や、幹部自衛官の人事・教育システムなどの問題点を改めて追及する。
 与党は当初、田母神氏の参考人招致について、「新テロ法改正案の審議とは関係ない」として反対していた。しかし、6日に民主党側が参考人招致を条件に同改正案の採決に応じる考えを示したため、招致を容認した。
(読売新聞から)

[民主党のいい加減な海上給油反対]
 報道によると民主党は国会解散の促進のために、参議院での新テロ法改正案の採決を早める作戦だったが、麻生さんが解散しそうにも無い事が判ると、徹底的に審議引き延ばし作戦に出て、麻生さんを安倍さん、福田さんの二の舞に追い込もうとした。
 そして今回は田母神さんの参考人招致のバーターに採決に賛成した。
 私は昨日の麻生内閣の支持率低下 
の[民主党へ]でオバマさんからアフガン支援の要請が来る前に、政治的判断で海上給油の審議を早くして、自民党に3分の2条項を適用で通させた方が、仮に政権を取った後も楽で良いと思うのだが。と書いたが、この様な事情で採決を早くするとは民主党が海上給油について、如何に軽く考えているのかと思うと、ことによるとそんな民主党に政権を託さねばならぬのかと情けない気がする。

[田母神さんの参考人招致の問題点]
 ・田母神さん処分の根拠
 田母神さんが定年退職に
でも書いたが、当初は論文などを外部に出すときは、文書により上司への事前報告すべき所を口頭で済ませたのが更迭の理由だったのが、いつのまにか政府見解と違う内容の論文を発表したことが「異例の懲戒」の理由とされていた。
 田母神さんはそれに対して、退職前、防衛省に対して「懲戒処分の審理に応じる意向がある」と伝えていた。
 然し、懲戒処分の審理に入るには本人の同意とともに、明確な規律違反が必要。同省では、政府見解と異なる論文を発表した田母神さんの行動が明確な規律違反にあたるかどうかを検討、仮に審理に入ったとしても長期化する恐れがあると判断し、空幕長を解かれた時点で退職年齢に達しているため定年とした
。(読売新聞
から)
 詰まり防衛省は田母神さんの行動が明確な規律違反にあたるかどうか判らないままに処分したことになる。

・自衛隊員はロボットか、それで戦えるか
 自衛隊員は日本のやっていることは正しいと信じ、日本と日本人を護るために生命を賭して戦うのだ。
 もし彼らがいくら自衛隊員と言っても人間だから、日本のやっていることが間違っていると思って戦うとしたら、士気はがた落ちするし、戦での負けに繋がる可能性もある。
 それをシビリアン・コントロールの名のもとで、日本が間違ったことをしても、前からお前たちをその為に雇っているのだが、黙って戦えと言ってもそれは無理な話だ。
  今回の問題についても、自衛隊員が自分の愛する日本の為に戦って貰うために、彼の意見のように過去を直視し、日本のやって来た事の良い事悪い事を検証し、間違った事もしたが良い事も多くあったことを認め納得させるべきだ。
 そして例えば関東軍のようなの暴走や、戦争にありがちな個々の兵士の不法行為をしないように事前に充分に教育することだ。
 それを何もかも日本が悪かったと言っていては、自衛隊員の士気が上がるはずはない
 シビリアンコントロールと言うのなら、国会で疑問の多い村山談話を検証して、自衛隊員にも納得できる説明をするのが議員の責任だ。
 自衛隊員も人間だから、ロボットのように機械的には戦えない。

村山談話と田母神論文の違い
 問題になっている、政府見解と田母神論文の基本的な違いは、政府見解の基礎となっている村山談話では、「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。」と一括りであたかも全ての植民地が全て侵略で奪ったような表現になっているのと、田母神さんの論文はあたかも日本が全く侵略していないし悪い事もしていないかのような論文であることだ。
 正確に言えば、日清・日露戦争は清国やロシヤの朝鮮を併合の動きに対して朝鮮を護るための戦いであり、朝鮮併合も色々の問題はあったが、少なくとも侵略の結果ではなかった。
 満州については日露戦争の結果の日本が利権を得たので少なくとも、満州への侵略の結果得たものではない
 そして世界第二次大戦の時の東南アジアへの侵攻は欧米各国への宣戦布告後、欧米が侵略、植民地化した地域への軍事目的による占拠で日本の植民地化以前の問題だ。
 例えば独立国だったタイなどには殆ど手を付けていない。
 然し村山談話が具体的にどこでどうしたなど言える訳はなく一括りの表現になっているのは致し方ないとしても、また外交的な配慮があったとしても、全ての植民地が侵略で得たと捉えかねられない表現をしたのは余りにも軽率だったと思う。
 一方田母神さんの日本側には殆ど瑕疵がないとも取れる論文には、関東軍の暴走や心ない兵士や将校の不法行為など、全く問題がないとは言えない。 
   参照:航空幕僚長の更迭
 

・田母神さんの参考人招致で議論して欲しいこと
 私は前記のブログで、参考人招致の場では、政府見解と田母神論文の食い違いと、政府の任命責任が中心で、彼の論文の内容は触れないだろうと予想したが、彼の歴史認識も質問が内容に含まれているのは良い事だ。
 私は職を解かれた田母神さんが村山談話の検証の必要性など、一般国民の立場で自分の意見を思い切って出して貰いたいと思う。
 ただ唯一の私の心配は、彼の発言が質問の範囲を超えているとして発言停止になる可能性が大きいことだ。
 私は国会の場で彼の発言の内容や村山談話の正否について大いに議論を進められることを期待しているのだが。

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*注記:村山談話の該当個所
 
わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。