昭和ひとケタ樺太生まれ

70代の「じゃこしか(麝香鹿)爺さん」が日々の雑感や思い出話をマイペースで綴ります。

何も無い春・・・湿原の夢ロード

2009-04-02 17:53:17 | じゃこしか爺さんの見て歩る記
 三寒四温を繰る返しながら春はやって来るとのことですが、それどころか寒さばかりの日々が続くこの頃です。
 気温の回復を待ちながら連日家の中で過ごしていると、如何に年寄りでも身体の鈍ってしまうのでは無いかと、いささか心配で堪りません。
 早く戸外で思いっきり歩きたいとの欲望に駆られますが、今日も朝から曇り日で外歩きが出来るよう状態ではなかった。
 幸い風が穏やかなうえに日中の気温がプラス5度までにもなったので、思い切って出掛けてみた。
 今年初めて来た鶴野の駐車場は、曇り日が幸いしてガラガラに空いていた。バイパスの下を通り抜けて坂を上りきると、視界が一気に開けて湿原が飛込んで来る。
しかし此処も河畔同様に枯れ色の世界、立ち枯れた芦原が寒々と広がるばかり、まさに歌の文句そのもので、{湿原の夢ロード}の春は今のところ見るべき物は何もありません。

 がっかりしながらも先へ進んでゆくと、かなり先のカーブから人影が現れてぐんぐん近づいて来た。大きく腕を振り大股で歩く姿から、直ぐにウオーキングでのお馴染みさん(名前は分らない)と分った。
 数年前この湿原道路で知り合ったのですが、とても気遣いの在る方で挨拶はもちろん、真夏の暑い盛りには水分の心配などもして呉れるのです。
 余り健康そうには見えないよぼよぼ歩きの老夫婦が、キット心配でならなかったのでしょう。
 挨拶を交わした後、
 「ブログのネタ探しに来たのですが、何もありませんね。」
 私の問いかけに、
 「無い、無い、何も無いですよ。在っても蕗の薹くらいですよ。」
と、さらに
 「ところであそこのヒグマ注意の立て札を見ましたか。」
  私は足元の草叢ばかりに気を取られていたから、そんな立て札などには全然気付かなかったのです。
 お馴染みさんは、そんな私をわざわざその場所まで案内してくれました。そのお蔭で、おそらく空振りで終わったかも知れない今日のネタ探しのブラブラ歩きは、お馴染みさんの気遣いで報われました。
 その後、少し先の休憩所まで行って一休みして居たのですが、ばったりと人影が途絶えて仕舞い、耳につくのは時おり枯れ野を渡る冷たい風の音ばかり、急に静まり返った湿原に言い知れる不安を覚えました。
 まさかこんな昼日中に熊など出るはずが無いとは思いながらも、何かがあっても急に走ることの出来ない体調だけに、若しかして・・・と、年甲斐も無く臆病風に吹かれてしまい、休みもそこそこに立ち上がった。
 ようやく駐車場に戻ってホット一息・・・{湿原の夢ロード}の春には、何も無かったのですが、思わぬ拾い物に在りつけて、とてもラッキーでした。

 斯くして今日のブログ更新の助けになった次第です。

 清掃されたばかりの湿原の夢ロードの看板が建つのみ・・・

 立ち枯れた葦原が広がるだけの何も無い湿原

 足下の草原ばかりに気を取られて全く気付かなかったヒグマ注意の立て札