老妻が実に十日ぶりに退院した。午前九時早々に駆けつけ、退院手続きも滞りなく済ませて連れて来た。
年老いても妻が家に居ると居ないとでは、やはり随分と違う。私独りの時では例えストーブを点けていても、何故かうそ寒くて心細い限りである。
術後未だ十日、小さな外科手術とは云いながら今後3週間は、無理なことは絶対にダメと念を押された身体ながら、台所に立つ姿はまさに我が家に芯がとおった形である。
しかし私には何にも益して嬉しいのは、夜を安心して過ごせることである。煌々と点けた電灯の眩さに因る不眠に悩ませられる事無く、程好い豆電球のもとでの安眠である。
何はともあれ早速く今夜は、ささやかながら退院祝いでもしようと、二人の好きな生寿司の出前を頼み、近くの長女を呼ぶことのした。
年老いても妻が家に居ると居ないとでは、やはり随分と違う。私独りの時では例えストーブを点けていても、何故かうそ寒くて心細い限りである。
術後未だ十日、小さな外科手術とは云いながら今後3週間は、無理なことは絶対にダメと念を押された身体ながら、台所に立つ姿はまさに我が家に芯がとおった形である。
しかし私には何にも益して嬉しいのは、夜を安心して過ごせることである。煌々と点けた電灯の眩さに因る不眠に悩ませられる事無く、程好い豆電球のもとでの安眠である。
何はともあれ早速く今夜は、ささやかながら退院祝いでもしようと、二人の好きな生寿司の出前を頼み、近くの長女を呼ぶことのした。