ルンルンピアノ

ピアノ教室の子どもたちとの楽しい毎日。。。。。。

1013       水上勉のふるさと

2008-05-30 10:21:38 | Weblog
※ 一滴文庫の理事長(伝さん)と95さん相手に指導中のN。
  ニコニコ(ニヤニヤ?)と観戦しているのは上林寺の黒川禅師。
  クリック♪


きのう(5月29日)は久々の綾部行き。
源さんが寂しくないよう、トビオ達のサークルの前にカゴを移動する。
小雨の中、8時半に出発。
六人部PAで休憩、パンを食べてリップクリームを買う。

10時過ぎに95邸着。
白黒のねこ、ミイが迎えてくれる。
早速お向かいのSさん家の庭へ移動。
79歳とは到底信じられない、若々しく可愛らしいSさんが丹精こめて育てている野菜たちを見せて頂く。
つい今しがたまで降っていた雨も上がり、雨ツユに輝く緑のスクリーンをバックに、逞しく育った白いタマネギ、クリスマスツリーのように伸びあがったパセリ、青い花をつけたナスたちが迎えてくれる。
Sさんのご好意でスナップエンドウやサヤエンドウを収穫させていただいた。
実のつまった、しっかりと太ったエンドウを探してグリッともぎとる。
(ああ・・・小さくてもいいから自分の畑があったらな~) 思わず夢見る瞬間だ。
「これも持ってって下さいよ」
みどりの葉をピンと立てたホウレンソウ、見るからにシャキシャキッとしたレタスを土から引き抜き、勢いよく水道水で土を洗い流してから渡してくださる。
たくさんのタマネギも頂き、感謝の気持ちいっぱいでSさん宅をおいとました。

そのあと三平さんも参加。
4人で西野さんのお宅へ伺うが、あいにくお留守だった。
畑のイチゴをつまんだりセリを摘んだり、ジャガイモの白い花をウットリ眺めたりして過ごす。
黒みがかった紫色したブキミな豆を発見。
ツタンカーメンという種類の豆らしいが、やっぱりエジプトのほうから伝わってきたものなのだろうか。
見た目は少々グロテスクだが、勇気をだして明日にでも食べてみよう。

その次は、私向き(?)だという須知山釈迦殿別院妙見宮へ。
木立の中にひっそりと佇む古いお寺だった。
ひと気のない寂しいお堂の中をのぞくと、妙に体格のよい仏さまが安置されている。
ここは能勢の妙見山とも縁の深い場所で、むかしはご利益を求めて訪れる人々も多く、参拝客目当ての茶店や旅館などで結構賑わっていたらしい。


そのあとは綾部ホテルで昼食。
4人ともパスタランチで、Nはリングインネ・クレーマ(海老とトマトのクリームソース)
私はスピナッチ(ホウレンソウ、トマト、ベーコンのアンチョビソース)を注文。
由良川にかかる青い綾部大橋を眺めながら舌鼓をうつ。
食後、ケーキ売り場で‘パイ包みシュークリーム’というジャンボシュークリームを発見。
「これすごく人気があるらしいですよ」 という95さんのひと言に惹かれ、1個を4等分にカットして出してもらうことに。
すると、これが思っていた以上の量で(クリームがギッシリ!! 半端でない)ビックリ。
「これなら1コ10人で丁度いいぐらいですね

でもオイシカッタ♪


午後から予定のある三平さんと途中で別れ、3人で上林寺へ。
ちょっと怖がりなシロと、むっくりした毛布のような毛のクロ、2匹の犬に迎えられる。
コッココッコと聞こえる禽舎をのぞくと3羽のナゴヤコーチンが愛想よく近づいてきた。
凶暴なニワトリ君がいなくなってちょっと寂しいが、このほうが平和なのだろう。
黒川禅師と奥様にアイサツしてお庭を見せて頂く。
隅々まで美しく手入れの行き届いた庭は、色とりどりのお花畑のよう♪
のんびり眺めていると、「ちょっと! こっちこっち」 とNが手を振る。
なあにと近づくと、「あれあれ! モリアオガエルの卵!」 と、池の上の辺りを指差す。
指されたほうを見ると、青いモミジの枝の中ほどに、白いアワのようなカタマリが見えた。

「あっ

アワ状のものは赤ん坊の頭くらいの大きさで、池の上へ伸びているモミジの枝にベットリとくっついている。
「カエルって、ふつう水の中で卵を産むもんじゃないんですか??」 と聞くと、このモリアオガエルは毎年枝の上でタマゴを産み、それがやがてボタボタと池の中へ落ちて孵るんだそうである。

モリアオガエル

「そちらにあるのがセッコクです。 野生のランですね」
星のようなかたちをした真っ白い花が、木の幹にグルリと巻きついて咲いている。

花言葉 「あなたは私を元気づける」

お寺へ上がり、おいしいお抹茶とトチ餅、池田の猪買い(ウリ坊入) というおかきを頂く。

そのあと、黒川禅師の案内で本日のメイン 「一滴文庫」 へ。
可憐なピンクのタニウツギ、いたるところに咲くキリの白い花、トチノキなどを眺めながら福井へひた走る。
30分もすると ‘若州一滴文庫(じゃくしゅういってきぶんこ)’ の大看板が見えて到着。
住所は福井県大飯郡おおい町だ。

ホッとするような笑顔の伝和尚(正式名を失念!! 失礼承知で伝和尚と書かせて頂く) に導かれ、敷地を案内していただく。
ここは水上勉の生まれ故郷で、本館には約2万冊の蔵書(水上氏自身が子ども達のために寄贈した本が多い)があり、入り口では須田刻太・生沢朗展をやっていた。
竹人形館は一種独特の雰囲気で、人形劇で使われる頭(かしら)が壁一面に飾られ、訪れた者たちをギロリと見下ろす。
ほっかむりをした土気色の顔の男
長い髪をバサリと額に落とし、何やら苦しげな表情の若い娘。
黒く太いマユ、赤茶色に日焼けした罪人らしき男
口をへの字に曲げた、強欲そうな白い顔の女
かんざしをつけた、どことなく寂しげな童女・・・・・・・・・・・・
床の上では 『安寿と厨子王』 『曽根崎心中』 『雁の寺』 『五番町夕霧楼』 『はなれ瞽女(ごぜ)おりん』 などに使われる等身大の人形が立つ。
少し怖いけれど、能面などとはまた違った、訴えかけてくるような独特の味がある。

上の階には、水上氏の小説の挿絵を数多く担当された渡邊 淳(すなお)さんの作品、須田刻太が水上氏へ宛てて書いた手紙(筆圧の強い、線の太い文字。 なぜか時々、赤や青で文章が色分けされている)
瞽女作品で有名な斉藤真一氏の作品などが展示されている。
渡邊淳さん指導の子ども達のスケッチにもウ~ンと唸らされた。
他に ‘水上勉の37の職遍歴’ と書かれたパネルがあり、これも実に興味深く見る。
京都相国寺の侍者(小坊主)から始まり
新聞配達、牛乳配達、薬局店員、ムギワラ膏薬の行商、自動車組合の集金人、満州開拓義勇隊の募集係、新聞記者、小学校の助教、巡回劇団主催者、麻雀店経営、パン協会、紳士服の行商などなど・・・・・・・・・
本も読めぬほどに貧しい環境で生まれ育った水上氏だが、このように様々な世界で生きた経験が、持って生まれた才能を花開かせたのだろう。
実に見応えいっぱいのフロアーだった。

その後ほんの少しだったが、明後日の舞台に向けて練習中の人形劇を見せて頂く。
張りつめた空気の中、暗闇の中に浮かび上がる人形たち。
むかし人形劇をやっていた友達がいて、「肉体を使うより、人形を通して演じるほうが思いが深く伝わるのよ」 と言っていたことを思い出す。
最後に六角堂(ここで食事もできる)で休憩させて頂くが、正直、こんなに本格的で立派な施設であるとは思わなかった。
ここはまさに水上ファンにとっての聖地。
もちろん水上ファンでなくとも、充分に楽しめる施設です♪
JR小浜線 ‘若狭本郷駅’ まで来ればクルマで5分との事なので、小浜、敦賀方面へお出での際にはゼヒともお立ち寄り下さい


若州一滴文庫

このあと渡邊淳さんのアトリエへ連れて行って頂く。
何百号なのだろう。
夕陽に赤く染まった、シンとした静まり返った大きな森の絵の置かれた広いアトリエで、「これはこれは。 こんな何もないキタナイ場所にお出でくださって申し訳ない」 と、本当に申しわけなさそうな顔で迎えて下さる渡邊さんは70半ばぐらいだろうか。
2階へ上ると、数え切れないほどの作品が保存されていた。
水上勉さんと一緒の仕事も多く、新聞の連載小説のときなどは泊り込みで本当に大変だったとのこと。
「作品ができるまで、そばでジッと見られるんですわ。 これはツライですよ」 と笑いながらおっしゃる。
確かにそれは辛いだろう。
その後階下へ戻り、小学3年生の頃から5年間、毎日欠かさず絵手紙を送り続けてくるという少女の話題になる。

ピンクの空を見てみたい

少女のことを大切な宝物のように目を細めながら話す渡邊さんの顔を見ながら、この少女のためにも、渡邊さんにはずっとずっと元気で長生きして欲しいと思った。
自分の思いを伝えられる人がいるというのは、本当にシアワセな事なのだ。

渡邊さんとお別れしたあとは、伝さんのお寺へうかがって指導将棋大会(!)
手合いは伝さんの6枚落ち、95さんの2枚落ち。
伝さんは本来は囲碁が専門(五段)で、将棋は子どもの頃にやったきりとの事。
それでももともとカンのよい方らしく、1局目は完敗だったが、2局目は別人のように強かった。
それにしても、「ウ~~~~ン・・・そう来るやろと思っとったんやけどなぁ・・・やっぱりそう来よったか~」
「あー!! やってもうたーー。 アホなことしたなあ・・・」 とボヤく姿に最早坊さんの面影はない。
95さんも調子よく勝ち越しでゴキゲンな顔。
将棋も競馬も、やっぱり勝つほうが精神上いいに決まっているのだ。
途中、奥様からオニギリとお漬物の差し入れ。
お漬物は ‘いぶりがっこ’ という大根の燻製のようなもので秋田の名物らしい。
スライスした‘いぶりがっこ’を見た瞬間は、焼き豚かスモークチーズかと思った。
食べると口中にケムリの味(?)が広がり、カリカリしていて美味しい♪
皆に評判で、あっという間に無くなってしまった。
おいしいお米で作られたオニギリも絶品で、Nなどは4コも食べていた。

伝さんとの2局目が終わる頃には日もトップリと暮れていた。
伝さんと奥様にお礼を言って綾部へ戻る。
上林寺で黒川禅師と別れ95邸に到着。
丁度帰宅して来られた奥様と周ちゃんにアイサツして、たくさんの野菜を積んで宝塚へ帰る。
西紀SAで休憩して、清荒神に帰り着くと10時半だった。

今回もたくさん貴重な経験をさせて頂いた。
お世話して頂いた方々、本当にありがとうございました

コメント (3)
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