![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/25/9817cfd30504a7f1b76a66d3c7772c76.jpg)
奈良市山陵町(みささぎちょう)はかつて(明治22年)添下郡平城村(押熊村・中山村・歌姫村・山陵村・秋篠村の5カ村)の一つの村だった。
その昔の大昔は7軒だったという大字山上。
新興住宅で膨れ上がったが旧村戸数は30戸。
山上の氏神さんは八幡神社。
氏子中から選ばれた長老六人衆が神社祭祀を務めている。
長老といっても60歳代だ。
なかでも最長老はネンバンと呼ばれる村神主役を務める
そろそろ稲を刈り取る時期にきたと思って10月1日に訪れた。
1日であれば村神主が務める月並祭があると聞いていた。
居られたら稲刈りをする日程が判る。
そう思って訪れた。
月並祭を終えた神社に村神主がおられた。
前年に務められた村神主もおられた。
稲刈りはいつになるのか聞いてみれば、決まっていないという。
そろそろ決めなくては、と思っていたと云う。
稲刈り作業をする長老六人衆らの都合によっては翌週になるかもしれない。
そう、作業の日は日曜若しくは土曜の休日になるのである。
六人衆の都合で直近の日曜に決められたが、その日は先約に幹事役の会合がある村神主。
この会合を欠席するわけにはいかず、皆に頼んで日程が決まった。
作業日が決まった田んぼは稲穂が稔った。
晴れの日に相応しい光を浴びていた。
それから4日目のこの日は丹精込めて栽培した稲刈り作業がある。
正月前に神社に掲げる注連縄用に使う藁を入手するためである。
刈り取る稲の品種はヒノヒカリ。
ヒノヒカリを栽培していたのは村で唯一、農業を営んでいるYさんだ。
Yさんは前年度の村神主。
今年も宮さんの前の畑で稲作をしてきた。
稲刈りはだいたいが10月入ったころの休日。
六人衆が集まりやすい日を決めて集合する。
稲刈りの日を決めたものの、心配されるのは当日までの天候状態だ。
雨が降り続けたら稲は湿る。
田んぼもじゅくじゅくになって作業がし難くなる。
三日前のことだ。
前日は天気良しであったが、深夜に雨も降る大風が吹いた。
雷も鳴っていた爆弾低気圧だ。
数時間続いた暴風雨に晒されたもののヒノヒカリは倒れることもなくしっかりと立っていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/b8/3aa4428ab6c444554c006ad83f16b939.jpg)
この日は事情があって村神主は参加できないが、鎌を持参した5人が集まった。
刈り立った稲束は稲架けに組んで陰干しする。
陰干しの場は神社境内の樹木林の中だ。
水平に保った竹は樹木に括り付ける。
中央は三つ又を組んで支える。
風通しがよくなるように不要な葉っぱは伐採する。
開けた場はお日さんの光も当たるから丁度いい場所である。
めいめいは鎌を根株辺りに降ろしてザクッと刈り取る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/89/378fb73617786d8cc9017c60a146b0c5.jpg)
ギザギザな歯がある鎌は鋸鎌。
左手で4株の根株を持って右手に持った鋸鎌を手前に引っ張るように刈る。
誤って指や足に引っかけないように注意しながら刈る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/0c/4f463d0dae8ad0aff3e21f8d00155752.jpg)
ここ山陵の地は散策するには絶好の場でもあるが、稲を刈っている場を通り抜けるサイクラー群団もいる。
何十人もの人たちが駆けていく。
よくよく見れば若くない。
たぶんに60歳前後。
散歩する人もおれば鳥居潜らずに参拝するご夫婦もおられた。
稲刈りは端に生えている稲だけを刈っていく。
昨今は手刈り風景を見ることはない。
尤もコンバインが入らない場所では手刈りをせざるを得ないが、である。
この日の稲刈りは神さんを迎える注連縄に用いられる。
長さが必要な注連縄用だけに手刈り作業で進捗する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/66/cdb71096a8dcd4dbddde36264e461d9a.jpg)
刈り取った稲株は道路側に置く。
一旦はそこに置いておく。
4株の稲は藁で括って1束とする。
八幡神社の注連縄は簾型。
七・五・三の順で編んでいく。
必要な長さを確保するには45束も要る。
多めに5束も追加して稲架けに掛ける。
藁括り、稲束運び、稲架け作業は順送り。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/c5/b5603739f9218ffa2dd570028566515e.jpg)
30分ほどで作業を終えたら社務所で一服する。
稲架けはこの状態で一週間干しておく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/80/9e924f7d4ddef2266e3073cebd846f3e.jpg)
雨が降っても樹木が遮ってくれる。
翌週の休日には神社蔵に移すそうだ。
稔った稲穂をモミオトシして稲束を神社蔵に収める。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/ab/6974111ff419985dcb1a724a88115d35.jpg)
青々とした稲が色落ちしないように陰干ししておくそうだ。
ちなみに昨年末に掲げた注連縄は朽ちることなく現況を保持している。
編んだ部分はしっかりしているが、簾の先っぽにカビが生えて黒ずんだ。
だが、それほど目立つような状態ではない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/fe/c61602af61f6b5cfae232707a8f15f7c.jpg)
10カ月間の風雨に晒された注連縄は今でも美しさを保ちながら神社を守ってきたと思うのである。
簾型の注連縄は板注連縄の呼び名がある。
12月初めころに編まれることを付記しておく。
(H27.10. 1 EOS40D撮影)
(H27.10. 4 EOS40D撮影)
その昔の大昔は7軒だったという大字山上。
新興住宅で膨れ上がったが旧村戸数は30戸。
山上の氏神さんは八幡神社。
氏子中から選ばれた長老六人衆が神社祭祀を務めている。
長老といっても60歳代だ。
なかでも最長老はネンバンと呼ばれる村神主役を務める
そろそろ稲を刈り取る時期にきたと思って10月1日に訪れた。
1日であれば村神主が務める月並祭があると聞いていた。
居られたら稲刈りをする日程が判る。
そう思って訪れた。
月並祭を終えた神社に村神主がおられた。
前年に務められた村神主もおられた。
稲刈りはいつになるのか聞いてみれば、決まっていないという。
そろそろ決めなくては、と思っていたと云う。
稲刈り作業をする長老六人衆らの都合によっては翌週になるかもしれない。
そう、作業の日は日曜若しくは土曜の休日になるのである。
六人衆の都合で直近の日曜に決められたが、その日は先約に幹事役の会合がある村神主。
この会合を欠席するわけにはいかず、皆に頼んで日程が決まった。
作業日が決まった田んぼは稲穂が稔った。
晴れの日に相応しい光を浴びていた。
それから4日目のこの日は丹精込めて栽培した稲刈り作業がある。
正月前に神社に掲げる注連縄用に使う藁を入手するためである。
刈り取る稲の品種はヒノヒカリ。
ヒノヒカリを栽培していたのは村で唯一、農業を営んでいるYさんだ。
Yさんは前年度の村神主。
今年も宮さんの前の畑で稲作をしてきた。
稲刈りはだいたいが10月入ったころの休日。
六人衆が集まりやすい日を決めて集合する。
稲刈りの日を決めたものの、心配されるのは当日までの天候状態だ。
雨が降り続けたら稲は湿る。
田んぼもじゅくじゅくになって作業がし難くなる。
三日前のことだ。
前日は天気良しであったが、深夜に雨も降る大風が吹いた。
雷も鳴っていた爆弾低気圧だ。
数時間続いた暴風雨に晒されたもののヒノヒカリは倒れることもなくしっかりと立っていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/b8/3aa4428ab6c444554c006ad83f16b939.jpg)
この日は事情があって村神主は参加できないが、鎌を持参した5人が集まった。
刈り立った稲束は稲架けに組んで陰干しする。
陰干しの場は神社境内の樹木林の中だ。
水平に保った竹は樹木に括り付ける。
中央は三つ又を組んで支える。
風通しがよくなるように不要な葉っぱは伐採する。
開けた場はお日さんの光も当たるから丁度いい場所である。
めいめいは鎌を根株辺りに降ろしてザクッと刈り取る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/89/378fb73617786d8cc9017c60a146b0c5.jpg)
ギザギザな歯がある鎌は鋸鎌。
左手で4株の根株を持って右手に持った鋸鎌を手前に引っ張るように刈る。
誤って指や足に引っかけないように注意しながら刈る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/0c/4f463d0dae8ad0aff3e21f8d00155752.jpg)
ここ山陵の地は散策するには絶好の場でもあるが、稲を刈っている場を通り抜けるサイクラー群団もいる。
何十人もの人たちが駆けていく。
よくよく見れば若くない。
たぶんに60歳前後。
散歩する人もおれば鳥居潜らずに参拝するご夫婦もおられた。
稲刈りは端に生えている稲だけを刈っていく。
昨今は手刈り風景を見ることはない。
尤もコンバインが入らない場所では手刈りをせざるを得ないが、である。
この日の稲刈りは神さんを迎える注連縄に用いられる。
長さが必要な注連縄用だけに手刈り作業で進捗する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/66/cdb71096a8dcd4dbddde36264e461d9a.jpg)
刈り取った稲株は道路側に置く。
一旦はそこに置いておく。
4株の稲は藁で括って1束とする。
八幡神社の注連縄は簾型。
七・五・三の順で編んでいく。
必要な長さを確保するには45束も要る。
多めに5束も追加して稲架けに掛ける。
藁括り、稲束運び、稲架け作業は順送り。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/c5/b5603739f9218ffa2dd570028566515e.jpg)
30分ほどで作業を終えたら社務所で一服する。
稲架けはこの状態で一週間干しておく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/80/9e924f7d4ddef2266e3073cebd846f3e.jpg)
雨が降っても樹木が遮ってくれる。
翌週の休日には神社蔵に移すそうだ。
稔った稲穂をモミオトシして稲束を神社蔵に収める。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/ab/6974111ff419985dcb1a724a88115d35.jpg)
青々とした稲が色落ちしないように陰干ししておくそうだ。
ちなみに昨年末に掲げた注連縄は朽ちることなく現況を保持している。
編んだ部分はしっかりしているが、簾の先っぽにカビが生えて黒ずんだ。
だが、それほど目立つような状態ではない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/fe/c61602af61f6b5cfae232707a8f15f7c.jpg)
10カ月間の風雨に晒された注連縄は今でも美しさを保ちながら神社を守ってきたと思うのである。
簾型の注連縄は板注連縄の呼び名がある。
12月初めころに編まれることを付記しておく。
(H27.10. 1 EOS40D撮影)
(H27.10. 4 EOS40D撮影)