マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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修理枝の閏年の庚申

2012年06月14日 06時37分22秒 | 楽しみにしておこうっと
先月の17日に桜井市の修理枝で行われる閏年の庚申講を調べていた。

そこは下垣内だ。

2年前の6月に前区長を務められたN氏の奥さんに話を伺ったことがある下垣内の庚申講。

かつては6軒だったが4軒となった。

夜7時に集まって掛け軸を掲げたヤドの家でお勤めをする。

パック詰め料理を食べたあとにヤドの家は次のヤドの家へ掛軸を持っていく60日おきに行われている庚申講だ。

旧暦の閏年には庚申のトアゲをしていると話していた。

薬師さんの仏像を祀る公民館で花立てや庚申杖を作るという。

今年がその閏年に当たる年。

いつごろされているのか確かめたくて現地を訪れたのだったが、既に終わっていた。

通りがかった婦人の話では3月2日か3日にしたという。

「南無阿弥陀佛」の石造に立て掛けてある杖には「奉供養 南無青面金剛童子 ○災延命子孫長久 如意糧屋○ 融通念佛南無阿弥陀佛」とある。

2年前に拝見した願文とほぼ同じである。

その杖も残されていた。

修理枝下垣内の特徴は「融通念佛宗」にあるようだ。

風で倒れている花立ての形も他所で見られる形態ではない。

下部の土台は四枚の木片を組み合わせている。

それには竹が四本。束ねているような形だった。

ナンテン、シキビ、アセビなどの花が添えられていた。



(H24. 3.17 EOS40D撮影)

一カ月後の4月17日に再び訪れた修理枝。

以前に聞いていた上垣内ではどうであろうかと思い、畠で作業をしている男性に場所を教えてもらった。



そこは少し丘に上がった処だ。

祠の下に数体の石造物が並んでいる。

文字が判読できたのは「南無阿弥陀佛」だけだ。

ここも既に終わっていた閏年の庚申講。

二組の庚申杖や花立て、ゴクダイが風に当たって倒れている。



ゴクダイは四つに先を割って十字に竹を挿して固定している。

杉の木の願文の一つは「茶(口遍に壬) 契御萌多賀奉絇青面金剛帝称呎王天市奉平国家安穏風雨時五穀豊就」だ。裏面には「講中安全買許祭塔」とある。

もう一つは「茶(口遍に旦) (物冠に木) 伽○多賢奉納 青面金剛帝釋天王天下 恭平国家安穏成○ 順時五穀豊就 講中安全 賢祈祭塔 平成二十四年四月一日 閏講中一同」であった。

判読できなかった文字が数々あるものの青面金剛に帝釈天が併記されているのが特徴であろうか。

下垣内の願文とも異なる表記だ。

帝釈天の使者である青面金剛を祀る庚申信仰の一例になると思われる修理枝上垣内の閏年の庚申。

「祭塔」と書いてあることから葉付き杉の木はおそらく塔婆と呼ぶのであろう。

日付けは四月一日。その日に参られたようだ。

そう言えば修理枝の上垣内の庚申さん辺りには芹井で見られたダンコウバイが咲いていた。あるところにはあるものだと思ったのである。

(H24. 4.15 EOS40D撮影)