マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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栢森の鯉のぼりから幟を思い起こす

2012年06月05日 08時46分34秒 | 明日香村へ
副総代宅を伺った明日香村の栢森。

前日から降りだした雨がやまない。

山々は霧のように霞んでいる。

なんともいえない風景に見とれる。

桜の色も集落を彩る。

家並を拝見すれば鯉のぼりが揚がっていた。

一本かなと思えばそうではない。

2本、3本とある。

広角で見渡せばまだある。

数えて見れば6本。

まだあるのかも知れないが雨に煙って見えない。

隣村の稲渕では一本もなかった。

どこの集落も少子化。

ここは一挙に子供が誕生したのだろうか。

行事を取材しているときにはそんな話題もでなかった。

これはどういうことなのかと思っていたら後日に判明した。

18日放送の讀賣テレビの「かんさい情報ネットten!」で伝えられたのだ。

栢森の鯉のぼりは4月初めことから揚げられているという。

集落には小学生の子供が二人。

過疎化の集落に子供が増えれば・・という願いに幟を立てる。

地域活性化を狙って揚げられている。

7年前から始まった村の意思表示だそうだ。



その栢森には正月始めにカンジョ掛けが行われた。

村を守っている勧請縄だ。

フクイシの傍らに咲く桜が春の彩りを醸し出す。

額田部のOさんは、25年前に掲げた鯉幟の木は桜井の材木屋から10万円で買った。

幟は親元が贈ってくれる。

風で傷んだが木とともに保管しているという。

地区では鯉幟の姿を見ることが少なくなった。

あるにはあるが団地サイズのミニサイズ。

19日にはそんな家も見られた額田部だった。

大和郡山市番条町に住んでいた婦人が書き記した『我が家の年中行事とその食べ物』によれば、出里から節句の祝いに具足と鯉のぼりを送ってもらったとある。

昔からのヒノキののぼりを立てた。

ご主人の節句のときの鯉のぼりと息子の鯉のぼりを交互に揚げたとある。

両方とも10mにもなるのぼりの木。

風が吹く日やにわか雨の日は揚げ降ろしがたいへんだったそうだ。

ちなみにご主人の父親のときののぼりは鯉のぼりではなく五月人形絵柄の一枚布の幟(旗指物)だったと写真に残されている。

垂れを上手くするために幟下に猿のぬいぐるみを重し代わりに付けていたようだ。

吹き流しの鯉のぼりは関東江戸が発祥。

関西では近年までは一枚ものの幟であったと思われる事例だ。

幟かどうか不明だが、一本の丸太をあげている家を知っているというご近所のSさん。

五條か吉野のある家で今でも立てているという。

その木は山から伐採したものでロープを曳いてあげたようだ。

(H24. 4.14 SB932SH撮影)