ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「道徳意識の多数性」20240611

2024-06-11 | 参照

 

 

──竹田青嗣『人間的自由の条件』(第二章 絶対知と欲望)


ミルの言う社会「全体の利益」とは、社会の「理想状態」を意味するのではなく、
各人の個的な「自由」が最大限うまく調整しあっているような
社会状態ということを意味する。

ミルは「道徳」を、万人に「すべての善を要求する権利」とするような
カント的道徳観念をつねに批判した。

道徳の根拠を、理想理念から切り離して
社会的な「一般的功利」に基礎づけるミルの思考には、本質的な正当性がある。

(カント的な)人間あるいは社会は「かくあるべし」という理想理念は、
世界と人間が「善」なる状態になるべしという
「道徳的意識」の本性から現われており、そして必ず任意の多数性をもつ。
そのためどれも自己の優位性を自らの原理からは証明できないのである。

 

 

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