ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「記録係」 20240110 20230409

2024-01-10 | Weblog

 

 

 

外なる気圏と内なる気圏
みずからをメディアとして
ふたつが交わる気圏を生きている

(外部観察と内部観察の合流地点)

ふたつの気圏は合流し、せめぎあい、溶けあい
ひとが生きる気象をつくり、変幻する

晴天、曇天、雨、雪、みぞれ、木枯らし、ストーム
変幻する気圧、熱く冷たく、光、影、風にさらされ

ゆらぎ、おびえ、ふるえ、勇み立ち
気象はそのつど泡立ち遷移していく

この気圏の外に出ることはできない
先回りしてストップをかけるように
いつも穏やかに心を保つことはできない

しかしこの気圏を生きながら
全いとなみが同期しているわけではない

どんなに荒れ狂うストームに襲われても
心の奥に開かれたバックステージがあって
すべての経験が刻まれていく作業場がある

おそらくひとだけがもつ特別な作業場があって
ここにひとりひとり、固有の時間が流れている

かつて-いま-これから

デジタルな時間指定とは異なる時間進行
変幻する気象と切り離された秘密の場所に
ひとりひとりの物語を編み上げるように
すべてをモニターしてメモリに刻んでいる記録係がいる

     *

記録係はバックステージにいる
カーソルが届かないデスクトップの裏部屋

オペレーションの全貌は見えない
見えないが絶えることなく作業を継続している

生きられう全時間、全航跡を走査してトレースする
この作業はループしながらそのつど再編集されていく

俺たちはこの作業の成果を「記憶」と呼んでいる

望んでも望まなくても、頼んだわけでもなく
日々、刻々、作業は厳格に継続されている

作業の目的は何なのか──

明示的メッセージはどこにも表示されない
しかし記録係のいとなみの全体が告げている

一つの意志の所在を証するように
作業メッセージは全域に溶けている

記録だけなら機械に任せればいい

刻まれたメモリのページをめくる
ただページをめくる以上のこと

記録係の無言のメッセージが告げる

生きられた全時間、全航跡 全波形
出会ったすべての思考、感情、事象、関係パターン

メモリの全項を資源化する連結点がある
この地点に立って新たな「ありうる」を立ち上げ
気圏を拡張するようにして生き抜け

 

 

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