▲昨日のブログでもお伝えした長勝さんの鋸(のこぎり)
長勝さんは「よりよい大工道具を目指し」
独自の理論と実践に裏づけされた技術で、従来考えられてきた鋸の説とは
逆説の理論を打ち出し、
ドイツ・フランス・チェコなどヨーロッパを中心に
海外では国から招待され、
同国の職人さんに技術指導や講演活動に取り組み
「長勝流鋸研ぎ(ながかつりゅう のことぎ)」を普及されている職人さんです。
長勝さんは15歳で親元を離れ、丸三東商店(大工道具販売店及びノコギリ目立て業)の師匠のところへ
住み込みで弟子入り。ノコギリをはじめ道具についてはすべて師匠から学ばれたそうです。
修行時代に師匠がおしえてくれたことでも「これは違うのではないか」と疑問に思ったことはあったそうですが
修行中は一人前ではないので我慢して当然と思い
「耐える」ことによって
じっくり自分の中で個性をため、独立したら自分の思うとおりに試してみよう。と思い
5年の修行を経て20歳で独立し
北海道札幌で「丸長長勝」を開業されました。(大工道具販売及びノコギリ目立て業)
当時、電気カンナ、電気みぞ切り、電機マルノがではじめよく売れたそうです。
しかし出始めということもあり色々と不具合が多く
大工さんが持ち込んでくることが度々あったとか。
そうした修理やアフターサービスをやりながら
電動工具の欠陥や改良の必要に気がつき
そこで各メーカーに「御社のこの機械はこういう点で欠陥があるから、このように改良したら良いのではないか」
と提案されるようになり、メーカーによってはいつの間にか社外顧問のような形になったことがあるとか。
また当時の電気カンナのセッティングが難しく、大工さんはセッティングに大変神経を使い苦労していた姿をみて
ワンタッチで刃の高さをそろえられるような仕組みを考案し、特許をとったそうです。
この「刃高調整器」は後の工具改良に繋がる画期的なことでした。
常に現実に学び、どうしたらよりよい大工道具が提供できるかを考え、
取り組まれた長勝さんだからこそ生まれた技術なのでしょう。
長勝さん曰く「小学校に出会った理科の先生から
いろいろな実験を通して、物事を基本から積み重ねて考えるという習慣
をつけてくれたので、社会にでてからどれほど役に立ったかしれません。」
会社の方も北海道で売り上げトップの成績となり
弟子、職人共に一番多いときで7人そろって
ノコギリを研いでいたこともあったそうです。
そんな経験を経て、「長勝流鋸研ぎ(ながかつりゅうのことぎ)」
といった従来考えられていた説とは異なる鋸研ぎ(のことぎ)を考案。
目立てではなく鋸研ぎという言葉にこだわるのも
ノコギリの目は目ではなく一本一本の小刃と考え
小刀のように研いだ左右の刃で
木材の繊維を両脇でカットしながら
切り進み、切断する。
従来は、木材の繊維を引きむしるような考え方とは
まったく逆のノコギリができたのです。
長勝さんのノコギリは木材を切断するというもので
挽く時に抵抗が少なく余分な力がいらず
切り口がサンダーでかけたようにスベスベしています。
だからノコギリを挽く時は、ギコギコではなく、滑らかな音になるのです。
何事にも挑戦する長勝さんは、自分のノコギリが通用するかどうかを試すために
各地の名人が研いだものを比べ研究を続けています。
長勝さん曰く
「自分を甘やかずに客観的に技術の向上を目指し、
人に喜んでもらい、社会に役立つような研鐟を積んでいます」
長勝さんのノコギリはオーダーしてからつくりますので
お手元に届くまでに時間がかかります。
このノコギリを見たい方は是非
東京ビックサイド 建築建材展へおこしください。
金曜日まで出展しています。
会場には小川耕太郎と藤井大造がいます。
お気軽にお立ち寄りくださいませ。
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