蜜ロウワックス日記

小川耕太郎∞百合子社をとりまく日々あれこれ

ヒノキ差鴨居

2008年11月19日 15時36分10秒 | 小川耕太郎
明日から東京・茨城へ出張予定でしたが、急遽中止となりました。
それで、午前中の間、HPリニューアルのための一枚板写真撮影をしていました。


数百枚は撮らなければならないのですが、
埃まみれで、そのまま撮ったら汚らしく見えてしまいます。
削る機械があればきれいに削って撮影するのですが・・・、
一枚一枚雑巾で拭きながら撮影することになりそうです。
(それでもキレイには撮れないだろうな。)


そんな中、丁寧にビニール袋に包まり、美しさを保っているヒノキ。
(写真)はお寺などで使われる差鴨居
(7,000mm×330mm×180mm)です。
鴨居というと厚さ45mmくらいのものが使われますが、
これは構造材を兼ねた鴨居ということになります。


7mの長さ、330mmの厚さで節のほとんどない材は、
非常に取りにくく超高級品です。
3月に勢いで買ってしまいました。


昔、総ヒノキ造りの家ではこういう材が使われましたが、
材のこだわり方が変わってしまって、一般住宅ではほとんど使われません。
無節の柱なんかも使われなくなってしまいました。


しかし、尾鷲や吉野など昔から有名な木の産地では(写真は吉野材)
木の根元の方は自然とこのような節のない材になります。
「そんな高級材はいらないよ」と使われなくなると
非常に困ってしまうのです。


漁師さんにたとえるとマグロを一匹釣ったのに
「赤身だけでいいよ。トロのところはいらない。」という事になります。
トロの部分がずっと売れ残っている状態です。


尾鷲や吉野の木の場合、節のない部分は木全体の体積の7割くらいあります。
金額に換算すると8割以上になってしまうのです。


尾鷲に住み、国産材を使おうと宣言するからには
木の根元から先っぽまで使うように心がけるべきと考えています。
都合の良い、良いとこ取りでは山を守ることにつながりません。
だから、結構値が張りましたが購入しました。
売れなかったら、自分の家か今度建てる予定の事務所に使います。


また逆に、虫食いの木や穴の開いた木、曲がった木も使わないと
せっかく数十年育ったのにもったいないじゃないですか。
そんな木も構造上問題ないのに使われなくなりました。
だから、土台用の虫食い材も買ってきました。
(FSCで有名な速水林業の木で取った土台です。
 見た目が悪く、クレームを恐れて使われなくなりましたが、
 丈夫さでは他の木よりも上で、土台に最適です。値段も安い。)


高級材も虫食い材も使えば、結局、今建てられている家と
同じくらいの予算でこだわりの材を使えると思うのだけれど・・・。
そういう家造りをしたい方いませんかね?