「苦労したのはオマエだけじゃないっ!」
どん! お皿が1cmはねた
兄と妹の兄妹ゲンカの記憶
こんな「豆もやしの炒めもの」だった
北海道の真冬のもう朝方に近い、場末の居酒屋さん
店名は「どん底」
この兄妹は、幼いころ両親に置き去りにされ
何日間も飢えながら親の帰りを待っていたらしい
そのご発見され、2人とも施設に送られるが
妹には軽い障害があったため、別々の場所に引き取られた
その時のことは、2人にとってとても辛い体験だったらしく
親に捨てられた悲しみよりも、こちらのほうが強烈みたいだった
アタシは2人から、繰り返し々「その時のこと」を呪文のように聞かされた
おかげで、アタシはまるで体験したかのように映像が浮かぶようになった
それも、バスを追いかける兄から見た光景と、泣き叫ぶバス内からの妹の映像と
その時の事やらその後の事やら、酔った妹はクドクドと兄に愚痴を吐く
ずっと黙って聞いていた兄が、急に怒鳴って拳でテーブルを叩く
それが冒頭の場面だった......運悪く?ちょうど「豆もやし」が来たとこだった
湯気のあがる、こぼれかけた「豆もやし」を見つめつつ
怒鳴る兄とピーピー泣いてる妹の声を、一万光年遠くの彼方で聞きながら
もう限界だなって、泥酔した頭でボンヤリ思っていた
アタシは有難いことに、ごくごく普通に育った
この兄妹のような境遇は、身近にすら存在しない環境で育った
だから正直、2人の話を聞いていても「ドラマ」を観てるようで現実感に乏しく
なので共感できるはずもなく、ただただ黙って聞いてあげることしか出来なかった
なのにこの兄妹は、今から考えても不思議なくらいアタシに執着した
なぜなのか、今でも解らないし考える気力もない
そして当然の成り行きで、アタシは激しく疲弊し限界点に達していたけれど
それでも若かったせいなのか、なかなか2人を捨てられなかったのだ
そんな頃の記憶です
何時ものように、オットに拵えた炒め物をアップしようとして
この画像をみていたら、急にドド~ッと思い出した
なので意味もなく書きとめました
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆豆もやし・人参・塩
・水から蓋をして茹でる
◆豚こま・油・塩
・豚こまを炒めて、もやし類を炒め
・かるく塩をする
◆牡蠣油・中国醤油・こしょう
・最後に風味づけで少しだけ