鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『十一代團十郎と六代歌右衛門:中山右介・著』

2010-12-20 21:00:20 | Weblog
くもりがち。午後から晴れ。


今、渦中のひと。
荒事が、お家芸の市川さんちの海老蔵くんの・・・お祖父さんですかね・・・十一世市川團十郎さん。
かの女流作家の宮尾登美子の『きのね-柝の音』のモデルになった歌舞伎役者。
漫画家の長谷川町子さんも御贔屓だったようで。

一方、六世中村歌右衛門さん。
戦後の文壇の著名人に愛された歌舞伎界の女帝。
三島由紀夫、円地文子といった文化人を虜にした名優。

その二人の知られざる・・・権力争いの構図・・・。

神と女帝・・・。
伝統の歌舞伎界に咲いた大輪の花(華か・・・)。

歌舞伎座のリニューアルで、暫くは、歌舞伎座での歌舞伎が見られない今、少し、昔の話を、紐解いてみるのもいいかもしれない・・・。
・・・といっても、リアルタイムで、このお二人の名優を見たことが無いワタクシなので、ご先達の著書に頼るしかないのだけれども。

歌舞伎界の特異な道徳感というか、一般人には、理解できないような人間関係の構図は、世の中の小説家の創作意欲をそそるようで、結構、いろいろな物語が出回っている。

女優さんだの、女子アナウンサーさんだのが、梨園に嫁いでも、その梨園のパラダイムが上手くシフトするひとは、そんなに多くないだろうと思う。
なにしろ、膨大な時間が、梨園には、積み重なっている。
このパラダイムと闘っても負けるだけである。

梨園は、何かしら家系の繫がりがあったり、歌舞伎一族・・・みたいなところもある。
梨園で育たなければ、わからない仕来りだとか、常識だとか・・・。
(衆道なんかもまぁ・・・常識・・・?梨園のプリンスは、何をやっても許される・・・麻薬と殺人以外は・・・芸のコヤシ・・・なんていう世界らしいですからね)


この本には、むろん、ここまで書いたようなことが、記載されている訳ではない。

・・・ただ、世間で言われているような・・・こんな世界があるのか・・・と思わせるような事実が、上演記録などと、一緒に解説してある。

戦後の歌舞伎史であり、知られざる芸道の世界を垣間見せてくれる一冊。

悔やまれるのは、このふたりの名優、十一世團十郎と六世歌右衛門をナマでみることができなかったことである。もっと、早く生まれていればよかったと思ったりしている。