鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『百鬼夜行・陽:京極夏彦・著』~杞の国のひと、『榎木津幹麿元子爵』に学ぶ・・・。

2012-05-31 22:53:40 | Weblog
お天気・・・下り坂。
会社の事務所は、寒いのに、自販機の暖かい飲み物は、sold out・・・!


杞の国のひと・・・空が堕ちてくるのを心配して、夜も眠れず、食事も取れず・・・取り越し苦労で、心配性のひと・・・杞憂の語源となったひとですが、私は、間違いなく、杞の国のひとの遺伝子を受け継いでいると思います・・・なんてことは、何回もこの拙なブログの中で書いております。
今回は、杞の国のひとシリーズ・・・何回目だった忘れましたが・・・。

さて、今日のお題の『榎木津幹麿元子爵』ですが、元子爵というから、旧華族です。
博物学を愛し、ボルネオ?まで、バッタを取りに行く・・・ようするに馬鹿なのだ・・・と息子さんの礼二郎さんに言われております。

京極夏彦氏のご著書である中禅寺秋彦シリーズに登場するサイコ探偵・榎木津礼二郎氏は、見えないものが見えるという特異体質を活かして、探偵業を始めますが、子供の頃、この超常現象?を、父である幹麿氏に相談します。

幹麿氏曰く・・・

---困るのかい---

まあ、困ると言えば、困るのだが、困らないと言えば困らない。痛いわけでも苦しいわけでもないし、恐いわけでも悲しい訳でもない。ややこしいだけである。
礼二郎氏がそう答えると

---ならいいでしょう。

と受け答える。(出典:『百鬼夜行 陰 :京極夏彦・著--(目競)』より)

いいのか・・・。そう・・・たぶん、いいのでありましょう。

無駄にお金のあるひとで、来る日も来る日も役に立たないことにうつつをぬかし、今もぬかし続けていて、虫を捕ったり(キリギリスを取りに行って、土手から自転車でコケたり?)、美術品を眺めたり、書をしたためたり、物見遊山をしたり浮世離れした生活をしていらっしゃるようです。

怒る事もなかったかわりに、他人を甘やかすこともしないひとらしい。

成人した息子を養育する義務はない、二十歳の誕生日を迎えたら、各自自活せよと、生前贈与ということで、ビルヂングが、幾つか建つくらいの遺産を分け与えて、二人の息子をさっさと家を追い出してしまいます。
この先、息子たちの生活は、一切関わりなし、この先、元子爵が、どれほど、儲けようとも、息子たちには、ビタ一銭渡さないという決意表明だったようです。

困らなければ、いいでしょう・・・。

榎津幹麿元子爵のお言葉に、杞の国のひとは、困らばければ・・・いい・・・というスタンスに、偉く感動してしまいました。

ワタシの場合、自分で、困った状況を作って、誰も困らないのに自分だけ困ってたりするし・・・。

マーキュリー・ダイム

2012-05-30 22:51:40 | Weblog
爽やかな乾いた晴天。夏が近い・・・。


今日の画像。
マーキュリー・ダイムと呼ばれる10セント銀貨。
直径:17.9mm 量目:2.5g 品位:銀900/銅100
画像は、1944年発行ということで、第二次世界大戦も終局を迎える頃の・・・ですかね。

銀貨だけれど、かなり小さいです。1円玉を一回り小さくした形状。あまりに小さいんで、購入を迷っていたのですが、残り最後のロットだったし、売切れたら、シャクなので、買っちまいましたよ!
小さいながらも、つややかな白い銀の輝きが美しくて、ギリシャ神話のマーキュリーが美形です。

アメリカっていえば、自由の女神だとか、歴代の大統領の肖像、州の観光名所、動植物などのデザインが多い中、このマーキュリーは、美形中の美形。
羽のあるヘルメット、端正な横顔。

マーキュリー・・・またの名をヘルメス。情報、伝達、商業をつかさどる神。盗人の意味も・・・?
西洋占星術では、水星。
元素では、水銀。
フランス語では、かのHermès(エルメス)・・・だそうです。

私とヘルメス(マーキュリー)の出会いは、高校生の時の美術室。
石膏デッサン用の美しいヘルメスに一目ぼれでしたねぇ・・・。
お隣には、わりかし、ゴージャスなヴィーナスの胸像。
このお二人は、大抵、一緒にならんでましたかね?ヴィーナスが羨ましかったです。
女子高だったんで、美術部のおねえさまがたが、美大受験めざして、放課後、デッサンしていたようで・・・。まっ・・・それだけ・・・。ヘルメスが、夜な夜な廊下を歩く・・・なんて、怪談は、ございませんでした・・・三流校だったんで・・・。

木原敏江さんの漫画『銀河荘なの!』で、知的な吸血鬼・ヘルメス教授が、いましたね。いつも、スーツ姿で、同じ系列の美形キャラ・フィリップとは、似て非なるキャラクターだったかと思いますが・・・。
それと・・・かのロックグループ『Queen』のフレディ・マーキュリーでしょ~~~かねぇ・・・。

折しも・・・西洋占星術で、現在、双子座に、水星(マーキュリー)は居てるそうです。
そして太陽とコンジャクションだったそうで・・・。

マーキュリーのご加護がありますように・・・!


Walking Walking 都会の速度

2012-05-29 22:53:06 | Weblog
夕方から、激しい雷雨。


私は、もともと運動が、ダイキライだし、逆上がりもできなくなってしまって久しい・・・。

普段は、自宅玄関前から会社の駐車場まで、車だし、去年の8月から事務所を移転した関係で、1日20分の自転車での現場事務所めぐりも免除だし、今年の1月からは、所属も変わったので、ほとんど1日中、デスクワークをしているから、あまり動くこともない。
ちっとは、動かんと・・・。
・・・そう思うけれど、私は、あまり動きたくない。
自宅にいれば、それこそ1週間くらい外出しなくても、苦にならない(食糧が尽きれば、買い出しにも行かねばなるまいが・・・)。
それくらい、動かない。

しかし、ここ2週間の週末は、都内へ出て、かなり歩いた。
最近では、珍しい。
都内では、病院通いか、劇場通い以外の用事で、歩くことは、ほとんどない。

駅隣接・・・という劇場は、そう多くはなくて、池袋の東京芸術劇場か、天王洲アイルの銀河劇場くらいだろうか・・・。
最近、駅近辺に新劇場ができたらしい渋谷などは、全く下車予定がないので、まだ行く予定もない。

都内の雑踏を歩いていると、毎回、思うのだけれども、都会のひとたちって、何故にこんなに歩く速度が、遅いんだろうか・・・?と思う。
時間の流れ方が違うのだろうか・・・とさえ、思える。
いやいや・・・単なる、おのぼりさんにすぎないだけ・・・都会の歩き方が分からない・・・。

私の居住地とは、全く違って、道行く通りには、いろいろなショップもあるし、ウインドウ・ショッピングなど楽しんでいらっしゃるのかも知れないし、特に急ぎの御用もないのだろう。

カップルは、致し方ない・・・。
アレは、二人の世界だからな・・・周囲がどのような速度で流れていても、関係ない。あの周辺だけは、次元が違うのだ。

最近、加速度歩行を身につけた?私は、駅構内などで、いきなり、立ち止まるオバさんなどをよけるのに苦労している。

とにかく、私の都内での歩行は、早い。
普通の人の倍速?で歩いているから、ペースが合わないのだ。
たぶん、私も、違う次元で、歩いているから、周囲との時間の流れも、違うのだろうと、勝手にそう思っている。


十二種野菜ときのこの豆乳風味麺②

2012-05-28 22:52:07 | Weblog
午後から、雷雨。雷雨のあとは、急激に気温が下がり、かなり寒い・・・。


先週、先々週の土曜日と2週連続で、都内へ。
去年の震災から、ちょっとしたことで、すぐ電車は、止まるし、止まれば遅れるし・・・。
未だ、地震は頻発していて、収束の見込みは、ないし、東京直下型の地震も、かなりの確率で、起こる・・・ということで、どうも、外へ出るのが、恐いし、また億劫になっている。
都内で、直下型地震に遭遇する確率は、一体、どれくらいなのか・・・地震の難を逃れたとしても、
別の何かが起こって、帰宅難民になったら、どうしようか・・・と心配ばかりして、都内への外出が、まだまだ恐い。

今を去る事、1年7か月前。
私は、銀座にある某・歯科クリニックを訪れていた。
その時は、右側での咀嚼が、全く意味をなさない状態に陥っていた。
・・・ただ、食べられるものが限られた・・・というだけで、日常生活では、それ程、不自由ではなかったのだけれども、銀座の某・歯科クリニックでは、完治に、2年から2年半は、かかる・・・との診断を受けたのだった。

(・・・2年か・・・少なく見積もっても、2年間もこの病院へ通い続けることができるのだろうか・・・)そんな不安があって、しかも、高額な医療費見積り。

その日・・・病院からの帰りに、いつもの中華料理店で、十二種野菜ときのこの豆乳風味麺を注文した。
・・・しかし・・・これを、食べることが出来ない・・・!
具が、茸類と野菜だけのラーメンなのだけれど、大量の野菜を咀嚼することができないことに気が付いた・・・。
・・・完治するまで、このメニューも、御預けなのね・・・。

・・・それ程、強烈に美味しい・・・というモノでもないのであるが・・・しかし・・・。

・・・という訳で、先週、諸般の事情から、食べ損なったので、一昨日の土曜日、1年半ぶりに、このメニューを、食してきた訳で・・・。

このメニューは、右上顎が、完治したら、絶対、食べにいこう・・・と思っていて、1年半前のあの『絶望』の中で、そう思った。
あのときの『絶望感』が、完治マジかの喜びに変わる日を待ち望みながら・・・。
塩味の豆乳スープは、優しい味がした。

価格は、100円ほど値上がりしておりましたが・・・。

『シレンとラギ』~太平記を換骨奪胎したのだろうか・・・?

2012-05-27 22:36:25 | Weblog
乾いた夏日。


昨日は、青山劇場に『シレンとラギ』を観劇に。久々の劇評です。
青山劇場は、2年ぶり。

南の国を支配する教祖・ゴダイ(高橋克実さん)を、シレン(永作博美さん)が、暗殺したのが、20年前。しかし、ゴダイは、生きていた。
ゴダイは、北の国を脅かす存在。
暗殺に失敗したシレンは、キョウゴク(古田新太さん)の命により、キョウゴクの息子・ラギ(藤原竜也さん)を伴い、再び、南の国へ潜入するが・・・。

ゴダイの愛人となり、毒殺を果たしたシレンは、さしずめ、『ユーディット』なのだろうか?
そして、『愛=殺す』という宗教テーマを、打出すラギは、坂口安吾の『夜長姫と耳男』を連想させる。
シレンの生い立ちである、殺人の技術を生業としているローラン族は、『蛮幽鬼』のサジ(堺雅人さん)からの流れ。
物語は、敵味方入れ替わり、立ち代わりしながら、混迷を極めていく。
収拾がつかなくなりそうだ。

そして、ラギの出生の秘密は、現実に、藤原さんと永作さんが、似た顔をしている・・・というキャスティングにあったようだ。
サジ、シレン、ラギ・・・と、殺人を生業とするローラン一族は、爽やかな風貌の一族という設定らしい。
(役名は、失念したが、『蛮幽鬼』に出演していた[早乙女太一さん]が演じた役もローラン一族だったような気がする:ローランに関しては、これから、続編の予感がしておりますが・・・。あくまでも、私見です)

こういう物語は、取扱いが難しい。
もっとも・・・藤原竜也さんは、こういう役が、多いようだ。『身毒丸』とか、次回作の『日の浦姫物語』だとか・・・。

キョウゴク=足利尊氏、ゴダイ=後醍醐天皇、ダイナン(橋本じゅんさん)=楠正成、ナオモロ(粟根まことさん)=高師直、モンレイ(高田聖子さん)=阿野廉子、シンデン(北村有起哉さん)=新田義貞・・・といった歴史上の人物を置き換えているのだろうと思いながら、観ていた。

今回は、9列目のセンターでの観劇となった。舞台全体を見渡せて、近すぎず、遠からずの良席だった。
それで、始めて、気が付いたのだけれど、開演のオープニングテーマが流れている間、客席に向かって、光のウエイブが、投影されて、劇場全体が、光の波に包まれる。
本来なら、舞台用なのだけれども、これは、観客も舞台の一部であるという演出家・いのうえひでのり氏のメッセージなのだろうか・・・?と思う。

このところ、低迷ぎみな『劇団☆新幹線』。
換骨奪胎で、成功した例は、『朧の森に棲む鬼(リチャードⅢ世)』、失敗した例が、今回の『太平記???』なのかどうか・・・。

随分と長いマンネリのトンネルに入ってしまったようだ・・・以前(2006年から数年間)のような感動できる舞台は、今度は、いつになるのだろうか?

それでもこの劇団は、普通の商業演劇をみるより、面白い。
(それだけ、他がつまらない・・・ということも言えるかも知れない)


1910年ドイツ帝国・ライヒス銀行発行の1000マルク札にみるドイツ女・・・。

2012-05-26 23:06:26 | Weblog
風爽やかな夏日の土曜日。


本日の画像。

1910年ドイツ帝国・ライヒス銀行発行の1000マルク札。
かなり大きいお札(110(h)mm×187(w) mm)。
第一次世界大戦の4年前の発行ってことになりますかね?
今から102年前の紙幣。
わら半紙(←コレは、もう死語でしょうか?ワタシが小学生だった頃は、テスト用紙がコレで、何度も答えを間違えて、消しゴムをかけると、ベリッっと敗れるヤワな紙)を、少しだけ硬くしたような紙質。
インフレだったのか、デフレだったのか・・・。
世界が戦争へ走り出す序曲の中で、発行されたお札なんだよな~~~と思うと、感慨深い訳で。
ヨーロッパが、豊かな時代を謳歌して、そして、その豊かな時代は、そう長く続くとは、思えないような嵐の前の静けさ・・・。時代は、前世紀の栄華を求めながらも、その歩みは、最も過酷な時代へと確実に進んでいくような・・・。
2枚購入して、1枚は、会社のデスク・マットの中に挟んで、時々、シゲシゲと眺めている(・・・去年までは、そんな余裕もなかったんだよね・・・雑用に追われてさ・・・)。

1910年の欧州。
アール・ヌーヴォーのあとのアール・デコの時代あたりの影響でしょうか?
曲線の花と植物が、装飾的に、綺麗に印刷されています。
繊細・優美なデザイン。
二人の美神の中央には、ドイツ帝国の国章である王冠を掲げた黒鷲(この鷲の顔が、結構、間抜けで、面白い顔をしております)。

本当に、ずっとみていても飽きないんですわ。このお札。

左の女神様なんか、かなりゴツくて、肩の丸みがなければ、顔なんか、オトコ顔だし、左の女神様も胸があるんだか、ないんだか、ビミョ~~~な感じ。美形だけどね~~~。
お二人とも、女装した男性みたいな顔だ。

ドイツ人は、質実剛健だと聞いていますが、女性も、なんか強そうだね・・・。

さて、このお札が発行されてから4年後、第一次世界大戦で、ドイツ帝国は、世界を敵に回して、戦い、そして敗北。戦後処理。天文学的な賠償金の支払い。
ハイパーインフレが、かの美しい国を飲み込みます。
そして、更に4年後。ワイマール共和国が誕生します・・・更に、その22年後・・・ドイツは、再び、世界を相手に、戦いを挑むことになるのですが・・・。

そんな未来を予測できないくらい、綺麗で、力強い、ドイツらしい紙幣の1枚。

女房と畳とパソコンは・・・。

2012-05-25 22:51:07 | Weblog
昼ごろから、冷たい雨・・・。少し寒いか・・・。


社内のパソコンをクラウド化して、パソコン本体にデータを、残さないようにしましょう・・・プロジェクトが、行われたのが、今年の1月。その間、無線LANの不調やら、なんのかんのと、社内に、そういった技師さん達が、毎日のように訪れておりますが・・・。
自分が使用しているパソコン立上の時間とタイムレコーダーにIDカードを読み込んだ時間に大幅な差異があると、総務部より、事情聴取があるらしい・・・。

私の使っているパソコンは、社内唯一の古い旧式で、
『コレ(この型)使っているのって、現在社内に2人しかいないし・・・。スペック不足で、設定ができません!』
とエンジニアさんは、半ば、サジ投げたようだった。
コレに関しては、
『そのヘンにぶつけて、早く壊してよ!』
みたいなことを主任さんから、言われ続けていたけれども、ダマシ、ダマシ使えないこともないので、使っていた・・・貧乏性なのよね~~~。もったいなくてさ。まだ使えるのになぁ・・・。

『でもね。やっぱ。替えましょう。あまりにも旧式過ぎ・・・。アンティーク!』
ということになって、今日、新機種を入れ替えていただいた。

速度が違う!ソフトが違う!キーボードも違う!

昔から?言うように、女房(或いは、亭主?)と畳とパソコンは、新しいモノの方が、いいに決まってるって・・・。

家電なんかも、省エネ機能だとか・・・新機種の方がよさそうなんだけれども。
でも・・・。去年買った、テレビについては、大失敗だった。
テレビなんて、観るだけなんだから、簡単な方がいいに決まってる・・・にも関わらず、500GBの録画機能のついたものを購入したのはいいが、1年も経たずに不具合だ。
保証期間は、過ぎているし、修理するよりは・・・と思い、1TBのブルーレイレコーダーを購入してみた。

ついでに、畳替えもしたいところだけれど、たぶん、この家には、そう長くは、いないような気もするので、躊躇している。

女房・・・および、亭主については、自閉症気味なので、居ない方が、気楽だ。


美青年のいる文学史⑦~『赤と黒』

2012-05-24 22:52:20 | Weblog
夏日続く・・・。


フランス文学史上・・・たぶん・・・一番の美青年・・・であると思う・・・と、随分『・・・(三点リーダー)』が多いのは・・・すみません・・・フランス文学・・・あまり(いや、全く)馴染んでません。読んでません・・・なので、どの作品のどの登場人物が、どれくらい美青年か・・・まあ、解らない訳です。

・・・解らないなりに・・・。
それでも、『赤と黒』のジュリアン・ソレルは、美青年の代表なのだと思う訳でした。
何故かというと・・・。文庫本の解説にそう書いてあったからです(あまりにも簡単すぎる!)。

『野心的な美貌の青年』

解説に書いてあるのだから、間違いないと思います。

・・・で、そのジュリアン・ソレル
頭脳明晰、秀才、美形・・・そして、溢れんばかりの野心。
彼の目指すところは、『ナポレオン』だったでしょうか?

彼のそう長くない・・・人生において、二人の女性が、大きく影響してきます。
家庭教師として雇われた貴族の家のレナール夫人と奔放な貴族の娘・マチルド。

マチルドの妊娠が、ジュリアンとの婚姻につながり、いよいよ貴族の称号を手に入れ、野望の実現に王手がかかる直前でしたが、運命は、いとも簡単に、この美青年の野望を打ち砕きます。
その原因になるのが、過去に・・・多分、彼が一番愛したであろうレナール夫人の一通の手紙でした。

どんなに才気に溢れ、美しくても、『出る杭は打たれる』ものなのでしょうか。
ジュリアン・ソレルを陥れるために、周囲が仕組んだ罠にはまったレナール夫人。
しかし、彼女の純粋な思いは、獄中のジュリアン・ソレルに届きます。
彼のために、助命嘆願をする現在の恋人・マチルドの存在すら、もう彼の眼中には、ないようです。

さて、ジュリアン・ソレルの美貌を現すとしたら、何が相応しいのでしょうか?
才気が放つ美貌なんでしょうかね?それともワイルドな野心なのか・・・?

実像として、なかなか思い浮かばないのは、たぶん彼がフランス文学の中の住人だからです。

最近では、木村了さん演じるジュリアン・ソレルは、若さと才気と美貌に溢れるはまり役でした。


女装の・・・堤真一さん・・・!

2012-05-23 22:39:10 | Weblog
すっきりと乾いた晴天。昨日は、春で、今日は夏日。
行きつ、戻りつ・・・季節は、とっても忙しい。


昨日のブログで、『吉原御免状』の松永誠一郎役が、超カッコよかった堤真一さんについて、ちょこっと書いてみたのですが、今日、浴槽に浸かりながら、ふと思い出したのが、堤さんの女装でした・・・ハテ・・・今頃、何故に・・・?

女装・・・といっても、かなりな昔。
現在のル・テアトル銀座が、まだ『セゾン劇場』と呼ばれていた頃のことです。
A・ミュッセの戯曲『ロレンザッチョ』に、出演されていて、プロローグに、杉本哲太さんとともに、ルネッサンスの頃のイタリアの風のドレスをきて、通路客席を走る・・・という演出があった訳です。

唐突に思いだしました。

まだ、25歳くらいだったですかねぇ・・・?
清潔感(松永誠一郎役も清潔そのものだったけれど)溢れるシュンの俳優さんでしたなぁ・・・。
洗い立ての顔の綺麗な若者・・・といった風情でしょうか?

なんてことを・・・本当に、なんの脈絡もなく思い出しました。

この演目『ロレンザッチョ』は、かのフランスの大女優(・・・この人のまえに女優なし???)のサラ・ベルナールも演じていて、A・ミュシャのアールヌーヴォーの画風のポスターでも、なかなか中性的な美男(サラは、美女ですがね)として、描かれておりました。

・・・ですが、演目の内容は、ほとんど覚えておらず(割と・・・いやいや、かなり難解な芝居だったわけで・・・。どうして暗殺者になったのか・・・みたいな物語だったのと思うのですが・・・)、舞台自体が、かなり暗い照明というか・・・そういう演出だったのだと思いますが・・・(渡辺守章氏の演出)。

よくよく考えてれば、昨日、『ホテル西洋銀座』と『シネマ・セゾン』が、閉館されるというニュースを見たからかしらん・・・などと思ったりで。
そのビルにあるのが、ル・テアトル銀座で、こちらも閉館になるのかなぁ・・・???

個室のバルコニー席のある劇場で、日本では、珍しい劇場なんですけどね。
結構、タテ長の客席だったりする。
劇場の中では、一番好きかも・・・(最近は、演目が合わないので、ご無沙汰なのですが・・・)
西武デパートが、売却して、閉館・・・という噂も一時あったのだけれど、またか・・・。
良い劇場なんで、もし、閉館の噂が本当だとしたら、なんとか、続けていただきたいものですが・・・。

ホテル西洋銀座だって、機会があれば、宿泊してみたかったんだけれども、残念なことでした。

美青年のいる文学史⑥~『吉原御免状』

2012-05-22 22:56:54 | Weblog
昼近くから雨。
季節逆戻り。寒い一日。


シリーズ化してしまった感のある『美青年のいる文学史』ですが、最初に、『このひと』を、全く思い出さなかった・・・なんで・・・???
『吉原御免状:隆慶一郎・著』の主人公・松永誠一郎。
美青年剣士です。

・・・し・か・も・・・!物語の設定では、後水尾帝の血を引く高貴な生まれです。
高貴な御生まれですが、武家が政権を取ってから、明治維新に到るまでの長きに渡って、お公家様というのは、結構、辛いお暮しの方が多かったようです。
それについては、有吉佐和子さんの『和宮様御留』にも、詳細があって、とても興味深かったのですが、天皇家と言えども、当時の徳川幕府は、敵に回したくないお相手だったようです。
後水尾帝の妃となる三代将軍家光の娘・和子(まさこ)については、宮尾登美子さんの『東福門院和子の涙』で、一応の学習済。

・・・っつうことで、徳川家としては、和子さん以外の宮廷女官に、帝の血を受け継ぐお世継ぎが生まれると都合が悪かった訳で。
・・・本篇の主人公・松永誠一郎は、徳川家に仕える柳生一族に、生まれて間もなく、母親とともに、その命を狙われることになるのですが、時既に遅し。母親は、惨殺されてしまっておりました。
漂泊中だった宮本武蔵に、その命を助けられ、誠一郎は、山奥に身を隠し、剣の修行に励みます。
歳が満ちて・・・。
師・宮本武蔵の言いつけ通り、誠一郎は、江戸へと旅立ちます。
そして、神君・徳川家康の残したと言われる『御免状』の謎を追うことになるのですが・・・。

高貴なお血筋だけあって、その優雅で、涼しげな佇まい、そして、高潔で、爽やかで、美青年剣士に相応しい成長ぶりが描かれていきます。

一方で、幕府ご指南役で、頂点に上り詰めた柳生但馬守。
柳生家の兄弟の末弟・義仙(後の烈堂・・・これは、劇画『子連れ狼』で、拝一刀と対立しますが、また別のお話)と宗冬の確執、そして、誠一郎の対決が、後半のヤマとなります。

遊(湯)女・勝山との切ない恋もあり。

高貴な血筋、爽やかな美貌、高潔な魂・・・清々しい美青年像に仕上がっております。


舞台初演は、松永誠一郎役に、堤真一さん、遊女・勝山役に、雪松泰子さん・・・でしたかね?
なかなか、美しいお二人でした。