鼎子堂(Teishi-Do)

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『髑髏検校:横溝正史・著』② 美と醜の饗宴

2008-10-06 20:01:33 | Weblog
冷たい秋雨の降る憂鬱な月曜日。

昨日の続き---。
徳間文庫から出版されている横溝正史さんの『髑髏検校』に収録されている『神変稲妻車』。

プロローグから綺麗なお侍さん本編の主人公・・・白鷺弦之丞が、目元涼しく、曙染めの大振袖、紫繻子の裃、袴といった色彩的にも美しく登場。

その双子の妹、お兄さんに瓜二つの美少女・小百合。

幕府の若年寄・田沼意知の策略により、財政難の新宮家を救わんがため、ご先祖様の埋蔵金百万両のありかをしめす笛の争奪戦が始まるんですが・・・。

いやぁ・・・出るわ、出るわ・・・あやかしの術を使う妖術師の対決、丹下左膳ばりの浪人、手妻使いの美女、謎の女軍団。
いろんなキャラクターが、これでもかって程・・・。

なかでも、極めつけなのが、新宮家に滅ぼされた大和氏の生き残り、御年170歳の妖姫・烏羽姫・・・怖い!

横溝作品に欠かせないのが、高貴な血筋の美青年・・・。
そして、過去には美青年だったのだけれど、顔を崩されたモト美青年・・・の対立の構図。

『犬神家の一族』なんかだと、犬神佐清さんと青沼静馬さんという構図ですかね・・・。

『神変稲妻車』が、書かれたのも前述の『髑髏検校』同様、太平洋戦争前だということなので、横溝作品の土台は、既に、ここで、出来上がっていたわけですね。

本編の主人公・美形侍の白鷺弦之丞も、策略により、毒を飲まされ、その白皙の美貌に翳りのでるあたり、まさしく、美と醜の饗宴にふさわしい物語。

時代ものならではの奇想天外な面白さ、勧善懲悪のスカっとするラスト。

久々に堪能・・・横溝ワールド。