鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『サド侯爵夫人』②---どうしようか・・・と思っちゃった舞台

2008-10-20 20:04:58 | Weblog
全国的に平日ですが、何故か、本日、会社がお休み。
休日出勤したっていいんですが、会社が休みなんだから、行っても仕方ないか・・・。

・・・昨日の続き。
『サド侯爵夫人』

原作は、三島由紀夫さん。
この方のお芝居は、修辞・修辞・修辞、比喩・比喩・比喩・・・所謂、レトリックとメタファーな表現。
しかも、流れる音楽のようなセリフに、これは、相当、力量のある役者さんじゃないと、セリフに振り回されて、セリフを言うだけで、もう一杯一杯・・・といったところ。

今回の『サド侯爵夫人』に出演者のみなさんも、この三島マジックというか、華麗なる罠に落ちてしまっていました。

まず、出演者のみなさんのほとんどが、セリフを噛む、言いよどむ・・・最悪だったのが(これは、或いは、演出だったのだろうか・・・)あの花組芝居の座長・加納幸和さん・・・セリフが出てこなかったんじゃないかと思う一面も・・・。
モントルイユ老婦人という役柄上、そうしたセリフの言いよどみ・・・を演技していたなら、これは、成功・・・と言えるのですが、三島由紀夫の作品で、それは、有り得ない・・・んじゃないかと思えます。
あのセリフ廻しは、音楽を聴くようでなければ、まるで意味がないから・・・。
・・・見ていて(どうしようか・・・)と思ってしまった訳です。

同じ花組芝居のご出身で、加納さんとは、暫く共演のなかった、篠井英介さん。
静かで、貞淑なサド侯爵夫人ルネを、淡々と演じていらっしゃるようでした。
もちろん、この方も、あの膨大なセリフに惑わされたおひとりには、違いないのですが、今回のメンバーのなかでは、セリフのミスが少なかったように思います。セリフの抑揚もまずまず・・・といったところ。

石井正則さん・・・敬虔なクリスチャンの貴婦人役で、三幕では、シスター姿で、可愛らしかったな。
あの緊張した舞台での唯一和み系。

サディステックで、スキャンダラスなサンフォン夫人は、天宮良さん。あの長ゼリフには、かなり苦戦していた模様。

サド公爵夫人の妹で、姉のルネとは対照的なアンヌを演じていたのは、小林高鹿さん・・・実は、侍女役のシャルロット役の山本芳樹さんと、どっちがどっちなんだろうな・・・と思っていたのですが、多分、これでいいのだと思いますが(配役が逆だった場合にはお許し下さい)・・・。
お二人とも、端正なマスクの持主なんで、近くで見ていてもわからなかった。

唯一、セリフ数の少なかった山本芳樹さんだけが、完璧に見えた・・・。
セリフが多ければいいってもんじゃないみたい・・・。