鼎子堂(Teishi-Do)

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『髑髏検校:横溝正史・著』

2008-10-05 18:11:37 | Weblog
午前中は、よく晴れていましたが、夕方から雨になってきました。

本日は、久々の読書day・・・。

横溝正史さんの『髑髏検校』。
横溝先生といえば、名探偵・金田一耕介が、謎解きをする推理小説が有名ですが、こちらは、戦前の作品。
推理モノの横溝作品とは、ちょっと違って、ミステリー色のかなり濃い時代小説となっています。

和製ドラキュラ・・・ですね。
ブラム・ストーカーの『吸血鬼・ドラキュラ』を下敷きにした作品のようです。

時代小説でも、あの妖しい美しさは、健在です。
不気味な美しさ・・・。
髑髏検校の正体も・・・ああ・・・やっぱ、あの人だったのね・・・と思わせる伏線の張り方も、流石といえば、流石・・・。

解説にも記載されておりましたが、太平洋戦争前の世相の不安定な時期で、出版社の廃刊により、すこし物足りない展開となっているとのことですが、それを引き算しても、なかなか楽しめる作品でした。

プロローグは、『あらま。京極(京極夏彦)さんの「赤面ゑびす」っぽいシチュエーションですね・・・』ってカンジですが、もともと京極さんは、横溝先生を尊敬されているようですし、ご自分の作品に、横溝先生を登場させてしまっていますからね(陰摩羅鬼の瑕)。

横溝作品は、没落した名家、美しい人々、ミステリー、因縁といったモチーフが盛りだくさんで、現代の日本人の無くしてしまった?『貴族』と呼ばれる階級にいる人々が織りなす、普通のひとには、手の届かない世界を、垣間見せてくれる数少ない書き手のひとりだと思うのです・・・。

秋の夜長、ミステリーもまた楽し・・・。

今宵は、『髑髏検校』に収録されている『神変稲妻車』の続きでもよみましょうかね・・・。