未熟なカメラマン さてものひとりごと

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2018(平成30)年、第30回全国高校女子駅伝 興譲館高校 感動をありがとう!

2019-01-21 23:41:31 | 駅伝
12月23日、京都で開催された2018全国高校女子駅伝で8位入賞した、岡山県代表の興譲館高校をデータにより検証してみたいと思います。例によって敬称略、過去の駅伝記事は、カテゴリーから“駅伝”を参照ください。

1時間7分25秒の好タイムで優勝したのは、鹿児島県代表の神村学園でした。最強のケニア人留学生、カマウ・タビタを擁し、トップとの31秒差を逆に、26秒の差をつけての完全優勝でした。カマウ・タビタの区間記録は歴代2位、あの青森山田のF.ワンジュクの歴代記録に2秒差に迫る好記録でした。

さて、今年の興譲館、地元井原市でもそれほど期待は高くありませんでした。10位台に残ればいい方、というのが大方の予想ではなかったでしょうか。
特に、1500m、3000m、5000mランキングにおいても、上位にランクインしているのは、3000m8.58.97の記録を持つ、留学生ムワンギ・レベッカ(以下、M.レベッカ)のみでした。
ちなみに昨年の3000mでみると、M.レベッカが9.13.01で20位、室田杏子が9.26.91で72位、青木未晴が9.29.92で96位でした。


また、有力校を紹介する、スポーツ情報誌においても、今年の興譲館を取り上げる記事は、ほんのわずかでした。
NHKの中継ではどうでしょう。果たして興譲館の選手がアップで映し出されることがあるだろうかと、いらぬ憶測をしてしまいます。
しかし、興譲館は、過去の大会において2度の優勝、10年連続の表彰台と輝ける歴史を持つ伝統校です。晴れの舞台では、きっとなにかやってくれずはずと、いい意味での番狂わせを期待していました。

一方で、強力なライバルが出現です。前回大会から本格的に強化を始めた倉敷高校です。インターハイ1500mで優勝したアグネス・ムカリを擁し、全国区の山本晏佳史を主力にとても大きな存在となりました。県の予選会では最終区でレベッカが逆転しましたが、中国地区大会では敗れています。来年度からは、まず予選会突破が、大きなハードルになるかもしれません。


それでは、今年の結果をデータで見てみましょう。
入賞校は以下のとおりでした。
1. 1:07:25 神村学園(鹿児島)
2. 1:07:51 長野東(長野)
3. 1:07:51 仙台育英(宮城)
4. 1:08:04 大分東名(大分)
5. 1:08:15 須磨学園(兵庫)
6. 1:08:16 豊川(愛知)
7. 1:08:20 立命館宇治(京都)
8. 1:08:32 興譲館(岡山)

興譲館の過去の成績と順位を見てみましょう。
29回(2017)7位 1.08.55
28回(2016)16位 1.10.01
27回(2015)6位 1.09.14
26回(2014)15位 1.10.33
25回(2013)2位 1.07.51
24回(2012)3位 1.08.03
23回(2011)2位 1.07.53
22回(2010)1位 1.07.50
21回(2009)3位 1.09.10.
20回(2008)2位 1.07.41

倉敷高校との順位、記録を比較してみましょう。
まず、県の予選会です。(11月4日 井原)区間順位とタイム、右が倉敷
1区 酒井  想 1位20.09 ⇔山本晏佳史2位20.36
2区 落合 莉子 2位13.47 ⇔アグネス・ムカリ 1位12.46
3区 舛田  華 2位10.21 ⇔萩原柚乃 1位10.14
4区 金澤 彩希 2位10.23 ⇔山下夏実 1位10.19
5区 M.レベッカ 1位16.15 ⇔江尻佳乃 2位17.43 
興譲館はタイムでは勝ちましたが、区間ごとの勝敗は2勝3敗でした。

次に全国大会です。右が倉敷
1区 酒井 想  16位 20:06 ⇔ 山本晏佳史 22位 20.15
2区 M.レベッカ 1位 12:32 ⇔ 萩原柚乃 20位 13.28
3区 山下穂香  25位 10:13 ⇔ 山下夏実 33位 10.19
4区 舛田 華  6位  9:35 ⇔ 藤田彩希 26位 9.55
5区 落合莉子  9位  16:06 ⇔ アグネス・ムカリ3位 15.15
興譲館の4勝1敗、本番では圧倒的な強さでした。これが経験値、伝統校の強みということでしょうか。

次に興譲館の昨年(学年は当時)との区間ごとの順位とタイム比較です。
1区 酒井 想 3年 16位 20:06 ← 青木未晴 3年 15位 19:52
2区 M.レベッカ2年 1位 12:32 ← 的場麻歩 3年 11位 13:26
3区 山下穂香 2年 25位 10:13 ← 山下穂香 1年 4位 9:50
4区 舛田 華 3年 6位 9:35 ← 落合莉子 1年 4位 9:33
5区 落合莉子 2年 9位 16:06 ← 金丸芽生 3年 7位 16:14
M.レベッカと落合莉子が昨年を上回っています。


それでは、区間ごとに見ていきましょう。
1区 酒井 想(さかい こころ)3年 徳島県石井町立高浦中学校出身
9月8日の高松市陸協 3000mでチーム内ではレベッカに次いで9分32秒34の自己記録を出し、M.レベッカに次ぐ実力者です。県予選でも1区を走り、区間1位でした。
今年の酒井は、ライバル倉敷高校の山本との戦いでもありました。県予選会、中国地区大会でも同じ1区を走り、宿敵に打ち勝っています。
平成28年度の全国大会(1年時)では、2区で出場。区間10位の成績でした。
テレビのアナウンスは、長崎商業の廣中瑠梨佳が、新谷仁美(興譲館出身)の記録を更新するかどうかのタイム比較に終始していました。別な意味でも出身校の興譲館が目立った1区でした。
酒井は、最初から積極果敢にトップ集団に付き、廣中がスパートした後は2位集団を引っ張っていく積極果敢な走りでしたが、4.5km付近から徐々に遅れ始めます。興譲館としてはまずまずの出だし、何とか責任を果たしたのではないでしょうか。



2位集団を引っ張る酒井の力走

2区 M.レベッカ 2年 ケニアの留学生です。
3000mタイム 8.58.97
前年は故障のため出場できず、そのリベンジとして頑張りました。チーム一の小柄ですが、前述のとおり区間1位、歴代2位の好記録でした。区間の前半には、まったくTV画面に映りませんでしたが、2.5km付近から異次元の走りで追い抜き始めるころからやっと、映るようになりました。2区は上り下り、カーブの連続と難コースですが、各チームとも主力の選手を置いています。そんな中、M.レベッカは区間賞の走りで12人抜き。順位は4位と大幅にアップし、彼女も見事にその責任を果たしました。



レベッカは12人抜きの快走

3区 山下 穂香(やました ほのか)2年 神戸市立平野中学校出身
3000mタイム 9.48.40
両足のテーピングが、何とも痛々しい様子でした。昨年は、前述のとおり同じ3区を走り区間4位の好成績でしたが、今年は、前年よりも23秒も遅い区間25位となりました。思えば、県予選会、中国大会を故障で欠場、その後、徐々に回復したものの決して本調子ではありませんでした。それでも一生懸命走る姿には心を打たれるものがありました。一時は3位に浮上しましたが、2km付近で後続につかまり順位は、8位に後退します。山下にしては、不本意な結果だったと思いますが、こればかりは仕方ありません。



テーピングが痛々しい山下
   
4区 舛田 華(ますだ はな)3年 兵庫県揖保郡太子町立太子東中学校出身
3000mタイム 9.43.88
区間タイム9.35、区間6位の大健闘でした。順位は、北九州市立、須磨学園と8位グループを形成していましたが、結果的に順位を一つあげて7位でタスキを渡します。
主将としての責任感もあったのでしょう。見事にその役目を果たしました。
舛田としては、初めての都大路でしたが、最後の年でよい思い出を残すことができました。



8位グループの入賞争い、踏ん張る舛田

5区 落合 莉子(おちあい りこ)2年 宮崎県西都市立妻中学校出身
3000mタイム 9.38.80
昨年に続く都大路でした。昨年は、山下との1年生コンビで大活躍でした。今年は、最終区を託されました。途中、大分東名、須磨学園にかわされましたが、入賞圏内を争って、成田高校の小杉選手とのデッドヒート、最後はトラック勝負となりましたが、見事に制しました。この瞬間、テレビで応援していた井原市民は大喝采したことでしょう。予想以上の活躍はほんとに見事でした。



最終区、成田とのデッドヒート


最後は引き離した

今年は、7月上旬の西日本豪雨により井原陸上競技場が使用できず、井原市木之子町特設コースに変更になるなど、練習環境にもいろんな変化がありました。
また、うれしいニュースとして、偉大な先輩、1区の区間記録を持つ新谷仁美選手が1万メートルに復帰したことも励みになりました。

来年は、M.レベッカ、山下穂香、落合莉子が残りますし金澤彩希もいます。新入生も入ってくることでしょう。陸上部内の切磋琢磨により、往年の強い興譲館を見せてくれることを期待してやみません。


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