未熟なカメラマン さてものひとりごと

ようこそ、おいでくださいました。

滋賀県大津市坂本 日吉大社と本家鶴喜そば、そして古い町並み

2011-06-24 22:50:55 | 古い町並み


旧竹林院の日本庭園を堪能したあと、お隣、山側の日吉大社に参拝しました。赤い鳥居をくぐると長い参道が続きます。左側には水量のある大宮川が流れ、両脇に木立が並び、いかにも神の領域という感じがします。
中には、檜皮葺(ひわだぶき)に用いられる檜皮採取のためにはぎ取られたのでしょうか、赤い檜も目立ちます。再生するには実に15年もかかるそうです。いつもそうなのですが、パンフレットをもらって、観るべきところをチェックし効率よく回ればいいものを、その時間も惜しくて、肝心なところを見逃し、あとで後悔するのがいつもの私のパターンです。

楼門の前で、メンバーの一人が「あ!猿がいる」と云ったので、ニホンザルでも見つけたのかと目をやると、それは、ひさしの下で棟をしっかり支える木製のかわいい猿でした。この猿、屋根を支えてくれている「棟持ち猿」というのだそうです。日吉大社では、お猿さんは神様のお使いで神猿(まさる)と呼ばれ、「魔が去る・何よりも勝る」として縁起の良いものとされてきました。
さて、楼門を潜るとその向こうに拝殿、そして、その奥に国宝の本殿がまっすぐ立ち並んでいます。ここは西本宮といい、間をおいて東側にも、同じように東本宮があります。
織田信長の比叡山焼き討ちに伴い、坂本の地の日吉大社も全て灰燼に帰したそうですから、その後の造営となるわけですね。せっかくなので、記念にお守りを二つ買いました。江戸時代初期の神輿や石橋、滝と見どころはたくさんあります。ほんとに広い境内です。




このあとは、昼食の時間です。どこも予約していなかったようです。せっかくなので、有名なそばの老舗、本家鶴喜そば本店で、そばをいただこうということになりました。
お店まで歩いて行くことにしましたが、この道路が広いですね。両側にゆったりとした歩道があり、ずらりと穴太積みの石垣がある里坊が並んでいます。5分ほど歩くとお店につきました。なるほど古い建物です。どこか道後温泉の本館にも似ていると思いました。創業280年、この建物は築130年だそうですから、道後温泉本館よりも古いということになります。時刻は11時過ぎごろでしたが、お客さんが店の前で大勢待っていました。これは相当時間がかかるかもと思いましたが、意外にもすぐにお庭に面した和室に通されました。

皆、それぞれ、ざるそばの大盛り、てんぷらそば、やまかけそば、月見そばなどを注文しました。私が食べた、ざるそばの大盛りは1,100円でした。素直においしかったと思います。伝統の手造りの味ですね。実は私もそばうちを趣味でやっており、こねる工程がなかなか難しいのですが、このお店ではそばではめずらしく「踏む」という工程も入っているようです。うどんならともかく、そばで、「踏む」というのは初めてききました。そば湯をいただき、お腹が膨れたところで、この後はバスの時間まで自由行動となりました。




私は、早速、町並みを散策することにしました。この石垣のある里坊が連なるあたり、とてもゆったりしており、他の重要伝統的建造物群保存地区とは、少し違ったイメージです。それでも、この本家鶴喜本店をもう少し入ったあたり、ばったり床几を備えた古いお店や町屋もあって、先ほどとは違った生活感のある町並みを目にすることができ、ほっとしました。12時20分ごろ、坂本をあとにして、次の目的地、大津市大物に向けて出発しました。(つづく)
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滋賀県大津市坂本を訪ねました。

2011-06-21 22:07:25 | 古い町並み

旧竹林院の庭園は見事というほかありません。

私が加入している、茶道上田宗箇流・井原文化教室(井原松涛会主催)の研修旅行があり、参加しました。今回の行先は、滋賀県大津市坂本と大物です。古い町並みにとても興味がある私にとって、重要伝統的建造物群保存地区指定されている坂本は願ってもない訪問地でした。
井原を早朝6時に出発。偶然にもこの日は、高速道路1000円の最終日でした。しかし時刻が早やかったためでしょうか、渋滞はほとんどありませんでした。
坂本には、10時前に到着しました。その昔、比叡山で修業をした老僧が、隠居してふもとの坂本の地に居を構えたもので里坊と云われる隠居所が多く残っています。そして現在その里坊内の多くの庭園が、国の名勝に指定されています。その代表的な里坊のひとつである旧竹林院は、その後いろいろな人の手に渡り、現在では、個人の所有となっているそうです。このあたりの塀の石垣は、穴太衆積み(あのうしゅうづみ)と云われる独特のものです。野面積みで、表面だけ平らな石を配置し、あとは小石で隙間を埋める工法です。
 一見、荒い感じがしますが、その堅牢度は確かなもので、彦根城など多くの城郭の石垣にも採用されています。しかし現在では、その伝統を継いでいるのはわずか一軒だけとか、寂しい限りですね。
さて、入園料を払って、旧竹林院に入ると、さっそく大広間が出迎えてくれました。2方面が開け放たれた畳の間と、赤い毛氈が敷かれた縁の向こうには、緑輝く庭園が見えます。昨日の雨が、庭園を一面に覆うコケの緑を一層、際立たせ、まぶしいほどです。木々の葉も活き活きとしているように見えます。縁の付近に座ると、係の方の説明がありました。そのあと、せっかくなので、抹茶をいただくことにしました。手際よくお菓子が置かれ、お茶をいただく「あー、なんという幸せ!」まさに至福のひとときです。



つくばい。水が豊富に流れています。


そのあとは、庭園内を散策しました。さすがに山のふもと、庭園内にはいくつかの浅い水路を、勢いよく清らかな水が流れています。 また二つの茶室もありました。大正年間に建てられたもので、そんなに古くはありませんが、かやぶき屋根には、苔がびっしりと生え、なかなかの趣きです。そういえば、名前が竹林院なのに竹林は見なかったような??(日吉大社につづく)
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撮影日記 北房のホタルはスゴイ 岡山県真庭市

2011-06-14 22:57:36 | 撮影

ホタルまつりが開催されていた北房コスモドーム

久しぶりにホタルの撮影をしてみようと思いました。行き先は、真庭市北房町です。以前、会社の上司から「北房のホタルはすごいよ!一度行ってごらん!」との情報を得ていたので気になっていました。今まで家から近い矢掛町の宇内地区に行っていましたが、それ以外での撮影地は初めてでした。ちょうど町ではこの日「ホタルまつり」なるものが開催され、出店や催しものもあって大いに賑わうそうです。そちらの方にも少し興味もあったわけです。
自宅を16時頃、出発。最短コースで、北房には一時間ほどで着きました。駐車場に指定されている真庭市北房支局駐車場に車を入れましたが、さすがにこの日は満車の状態でした。北房コスモドーム内では、「ホタルの夕べin北房」が開催されており、その時間は小学生が音楽に合わせてリズミカルに踊りを披露していました。ドーム内の出店で焼きトウモロコシ400円を買い、植木販売コーナーでは、値引き交渉を楽しみながらアジサイを2本購入しました。
しかし、暗くなるまでには、まだ随分時間がありそうです。ずっと待っているのもたいくつなので、今日の観賞場所を下見してくることにしました。当日得たパンフレットには、所要時間に合わせて、いくつかプランが用意されていました。それぞれ番号がふってあるのでわかりやすくなっています。いずれにしてもこのあたりの備中川沿いでは、期間中どこでもホタルを見ることができるようです。
コースを散策中出会った地元の方にいろいろ話を伺いしました。「今日は気温が高いので出るでしょう」「写真撮影をされるなら、ホタルまつりの日は外された方がいいですよ」「私も知り合いを連れてきたことがあるが、人によっては、すごい!という人もいるし、そう感動しない人もいる」「集団で同時明滅することがある」「川から山へあがっていく」と貴重な話をお聞きしました。
ホタル公園まで行って、また駐車場まで引き返すことにしました。帰りは、町並みを通って帰りましたが、今日の日に合わせて、通りには手作りの創作灯篭などがスタンバイ。今日の祭りを盛り上げています。駐車場に戻り、途中見つけておいた空き地に車を移動。ここで仮設トイレの照明を準備されていた方にもポイントをお伺いすると、「500㍍下流の山から清水が湧き出ているところがいいですよ!」と教えていただきました。



備中川。なかなか暗くなりません。


折角なので、その場所に行ってみることにしました。川岸では心地よい風が吹いていて幾分涼しい感じがします。私がスタンバイしたところは、ホタルの遊歩道には指定されていませんが、ここがポイントだと思いました。それにしても日没までの長いこと。日が陰りだしたのが、7時半ごろ、なんとか暗くなってきましたが、ホタルが出る気配は、まったくありません。前日の雨で、水量が多く、その関係で出ないのかもと心配になります。対岸の遊歩道は、ホタルの夕べから流れてきた人でしょうか。結構な人出です。外人の団体さんが20人くらい歩いていたのには、びっくりしました。
8時ごろになって、じっと、川の中の草を見つめていると、数匹の明滅するほたるの光を発見。とりあえずほっとしました。すると三脚を持った若いカメラマンがやってきて「ここではよく撮影されるんですか」と聞かれました。それから、少ししてやっとあちこちでホタルが乱舞するようになりました。カメラは、三脚で固定し、マニュアル、無限大、バルブで撮影開始です。本当は30分ぐらい解放をしておきたいところですが、ときおり自動車のヘッドライトの光が入ったりするので、20秒くらいで止めてしまいます。この頃になると、私の周りもあっという間に人が増えてきました。
それにしても、すごい、ホタルは肩をかすめて飛んで行くし、山の裾の木々にはホタルが留まってクリスマスツリーのようです。小さい女の子が、私に「ホタルが捕れたよ!ほら!と手の中のホタルを見せてくれます。」実際、道のところどころにもホタルが留まっていましたし、多くの子どもたちがホタルを手にしていました。撮影をするという点においては、あちこちで乱舞しているので逆にポイントが定まりません。



ホタルの乱舞

この場所から見る限り、360度、どこを見てもホタルを見ることができました。この北房のホタル、北房ICからすぐのところなので、県外から高速でやってくる人も多いと聞きます。ホタルの出る時間帯は大体決まっているようで、夜の8時半から9時半、夜中の0時前後、朝の3時前後だそうです。種類はゲンジ、ヘイケ、ヒメボタルで、ゲンジがほとんどだとか。北房は古くからホタルの名所といわれていましたが、昭和20年代の後半から30年代にかけて、農薬、河川改修、乱獲などで絶滅の危機にさらされました。その後、住民と行政が協力してこの危機を乗り越え、西日本有数の自然発生地として毎年、全国各地から多くの鑑賞者が訪れています。(パンフレットより)
そうこうしているうちに時刻はもう8時45分。もう少し見てみたい気持ちを抑えて北房をあとにしました。
北房のホタルは確かにすごいです。

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九州の旅 くじゅう花公園~九重夢大吊橋

2011-06-09 21:54:08 | 観光名所
「スカイパークあざみ台展望所」
黒川温泉・優彩を8時半ごろ出発。本日最初の目的地は大分県のくじゅう花公園です。国道442号線をまっすぐ進みますが、黒川温泉の中心街から3キロほど離れたところにも旅館がありました。広範囲に点在しているようですね。さて温泉を抜けるとすぐに見晴らしの良い高原が見えてきました。瀬の本高原です。まさに草原の中を走る自動車道、とてもさわやかです。こちらでもたびたび停車して撮影しました。さらに進むと、丘の上にぽつんと立つ、ホテルのような建物が見えてきました。
「××展望台」と書かれていたように思いましたが、帰ってから思い出そうとしても、グーグルの地図を検索しても、なかなかわかりません。それでも、「久住 + 展望台」で検索してなんとか見つけることができました。「スカイパークあざみ台展望所」でした。そのホームページには、=阿蘇久住国立公園を大パノラマ展望が日本一と絶賛される=とあります。確かにホテルの建物の向こう側から見る景色には言葉を失います。大観峰から見る壮大な景色もそれはそれで素晴らしいのですが、このあざみ台から見る景色も決して劣っていません。山並みが眼下に一望に見渡せる大パノラマ。この日は視界が今一つ悪く、遠くまで見えませんでしたが天気の良い日には、阿蘇五岳(あそごがく)がしっかり拝めるそうです。他に観光客の姿はなく、まさに独り占め(二人占め)の状態でした。近くに行かれたら是非、皆さんもお立ち寄りください。ご覧になるときっと感動されると思います。

瀬の本高原は緑のジュウタン


その眺望は日本一と絶賛されるスカイパークあざみ台展望所

「くじゅう花公園」
さて、ゆっくりしている時間もないので車を急ぎ走らせます。しばらくして目的地「くじゅう花公園」に到着しました。広い駐車場、停まっている車はそう多くありません。マイクロバスでの団体さんが何組かありました。入園ゲートもどちらかというとこじんまりした感じです。実はそれほど期待していたわけでもありませんでしたが、入園料600円のチケットを購入して中に入るとまさに期待以上。ゲートの前の丘には一面に花が見事に植えられています。園内の建物も木調感覚のもので、見事に花畑に調和しています。借景に久住高原を抱き、ここから見る景色は、いまだかつて経験したことのないものでした。
 見取り図を片手に進むと、すぐにあるのが、カントリーガーデンです。高い花、低い花、そして見事な色調。数年前のTVドラマ「風のガーデン」を思い出しました。平原綾香の歌声が聞こえてくるようです。

カントリーガーデンは癒しの風景

しかし、それは序章に過ぎませんでした。この花公園、実は花の丘がいくつもあり、芝桜、7万株のネモフィラ、リビングストンデージー、ポピー、などがそれぞれの丘一面に植えられています。花好きの人にはたまらないでしょう。季節的には、1年でこの時季が一番いいのかもしれません。サルビア、ラベンダー畑もまた別の丘にあり、これらは夏の景色を彩るのでしょう。
一番の圧巻は、なでしこやノースポール、ムルチコーレなど8種、11色の色とりどりのお花を植え付けられている「春彩の畑」です。いろんな花を混植しハーモニーを奏でる。その全景は、まさにパッチワークのようです。これだけ広範囲にわたる花の丘、その労力はいかほどのものでしょう!このように手のかかった、お花畑は見たことがありません。まさに感動そのものでした。


春彩の畑は、まるでお花のパッチワーク

「九重・夢大吊橋」
くじゅう花公園をたっぷり堪能したあと、今回の旅の最終目的地、九重夢大吊橋を目指します。それにしても、九重は「ここのえ」で、くじゅうは「久住」ですからややこしいですね。さて、目的地に近づくにつれて、あたりは市街地になりました。このようなところにはたしてあの吊橋があるのだろうかと思いながら走っていると、やがて市街地を抜けすぐに目的地に到着しました。入園料500円を払って橋に向かいます。橋の前で、「よかったらシャッター押しますよ!」「無料ですよ!」あ!そう、無料なら折角なので撮ってもらおうかとなったわけです。これがよくなかった。「こちらのカメラでも撮らせてくださいね。買う買はないは、ご自由ですから1枚だけ!」とのこと。こういう商売もあるのか、うまく考えたものだと思いました。おそらく、橋の向こう側から帰ってくるころには出来上がっていることでしょう!さて、橋は、左側通行ですが、この日の観光客はとても多く、まるで都会の歩道を歩いているようでした。

記念撮影をするグループ

しかし、この時間の天候は悪く、今にも雨が降りそうでしたが、吊橋の上では傘はさせません。警備員が何人も行ったり来たりと監視しています。確かに深い渓谷。橋からは、遠くの山並みや、日本の滝百選と云われる滝の流れも見ることができ、なかなかの眺望です。吊橋だけあって少しは揺れますが、全く苦になりません。往復して帰ったところで、呼び止められました。「出来てますよ!せっかくですから記念にどうですか!一枚千円です」心の優しい私は、結局、買い求めたのでした。
お土産を買って、駐車場に戻るころに雨が降ってきました。最後の最後まで待っていてくれた、本当に天に感謝の旅でした。帰りは九重ICから笠岡ICまで、またまた500キロの道のりでしたが、愛犬に会えると思うと、少しも苦にならないと思う私でした。

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九州の旅 大観峰から黒川温泉へ

2011-06-04 08:41:45 | 観光名所
阿蘇カドリー・ドミニオンを夕方5時ごろ出発。黒川温泉へは、やまなみハイウエイを通るのが一番近いのですが、阿蘇一番の眺望とされる大観峰にぜひ寄ってみたいと思いルートを変更しました。
内牧温泉を過ぎるころから、ヘアピンカーブ連続の勾配のきつい山道でした。ちょうど前を大型のトラックが走っており、その荷台のおかげで視界も悪く、速度も遅い、おまけに後ろに何台も車が連なっていました。挟まれる感じで気分もよくなかったので、見晴らしの良い展望台で小休止をしました。このくらいの高度になると、どこを見てもすばらしい景色が広がっています。

視界が悪く阿蘇五岳は望めませんが、眼下に升目状の水田が輝いて見えます。

大観峰に着いたのは、夕方の5時半を過ぎていました。頂上に大きなレストハウスがありました。駐車場入り口のゲートには夕方の5時半に閉門します、と書いてあります。残念、そうと知っていればもっと早く来たのにと思いましたが、いまさらどうしようもありません。随分広い駐車場です。レストハウスの向こうのもっと高いところにテレビ塔が見えます。行き来する人の姿が遠くに見えました。あそこまで行ったらどんな景色がひろがっているのだろうかと気になるところです。さて肝心の眺望ですが、阿蘇五岳と云われる山並みは視界が悪くほとんど見えません。眼下にうっすら見える升目状のものは、水田のようでした。しかし高原の空気のなんともさわやかなことか。滞在したのは、たったの15分程度でしたが、気分は満喫できました。写真を数枚撮り、黒川温泉に向けて出発です。

夕方6時ごろ、やっと黒川温泉に到着しました。ちょうどガソリンスタンドがあったので給油することにしました。本日、出発前は、走行可能距離が740㎞でしたが、ここではもう200㎞を切っていました。気になっていたので給油すると少し気分も落ち着きます。川の橋を渡るとすぐに本日の宿「湯峡の響き・優彩」がありました。外で待機している男性スタッフ。名前を確認すると、代わりに若い女性スタッフが出てきて「荷物をお預かりします!」と、両腕にいっぱい荷物を引っかけて運んでくれます。カメラなど重い荷物がいくつもあったので、思わず「大丈夫ですか?」と声をかけました。「はい!大丈夫です。」との返事。結局、エレベーターの中もずっと持ちつづけ、そして部屋まで運んでくれました。荷物を下ろすと「係の者が来ますので、少々お待ちください。」と帰っていきました。いろいろ分担が決まっているようですね。

旅館の部屋からベランダに出てみると、ご覧のような滝がありました。

今日のお部屋は、灯小路(あかりこうじ)といい和室の奥にベッドルームがあり、その向こうにベランダがあるという、ちょっと豪華なものでした。戸を開けると滝のザーという大きな音が聞こえてきます。滝といっても川の中にあるコンクリート製の段差によるものですが、水量が結構あり、このまま就眠時に聞こえたら眠れないかもと思いましたが、戸を閉めるとまったく聞こえません。それよりも一番ありがたかったのが今日の天気です。降水確率50%、曇りのち雨でしたが、一度も雨に会うこともなく、旅館にたどり着くことができました。感謝、感謝です。
さて、少しして、メガネをかけた和服姿のとても若い仲居さん(どうみても十代)がやってきました。夕食、朝食、お飲物等を確認して出ていきました。夕食は7時、朝食は8時にしました。それではと、夕食の前に、ひと風呂浴びてくることにしました。この旅館にはいくつものお風呂がありますが、一番の自慢は「竹林の湯」です。広い湯船の2方面が竹林となっています。本当は、ライトアップされると幻想的な雰囲気が醸し出されるのですが、この時間はまだ明るかったので、残念ながらその雰囲気はありません。お風呂から上がって、ベランダに出て待っていると食事の用意ができたとの合図がありました。

静かな佇まいを見せる山あいの温泉です。

熊本名物の馬刺しもありました。私の住んでいる岡山では、あまり食する機会がありません。次から次へと出てくる料理にお腹も膨れてきます。この頃、外は雨となりました。実は、食事のあと、湯めぐりをしたいと思っていました。この黒川温泉、入湯手形=1,200円を購入すれば、他の旅館のお風呂に3つまで入れるというものです。すでに時刻は、夜の8時半、湯めぐりは9時までときいていましたので、今回は、泣く泣くあきらめることにしました。普段めったに口にしないアルコールも入っているので睡魔が襲ってきました。ここでちょっとだけ仮眠をとったあと、露天風呂に入ることにしました。温泉宿にいったら最低3回は入るべし、というのが私のポリシーです。
この露天風呂(渓流の湯)は最高でした。すぐ近くにあの滝も見えます。滝の音を聞きながらゆっくり湯船に浸かる、至福のひと時、思わず「あー」と声が出ます。他のお客さんは一人だけ。部屋に帰ると、10時ごろでしたが、運転の疲れからか再び睡魔が襲ってきて、そのまま寝込んでしまいました。

さすがに次の朝は、早くから目が覚めてしまいました。時刻は5時ごろでしょうか。何とか、朝風呂の開始時間の6時まで時間をつぶし、6時になるとお風呂へ。やはり考えることは皆同じようで、こんなにたくさんの人が泊まっていたのかと感心するほどです。
部屋に戻ると、服に着替えて朝の温泉街を散策することにしました。受付でポイントを訪ねると、地図を取りだし、赤鉛筆で散策コースを説明してくれました。中心部だけなら約25分ということでした。教えられたとおりに進みます。他に散策する人はほとんど見かけませんでした。川沿いに寄り添うようにたたずむ旅館群。どこか色調も少し赤みのかかった茶色で統一されているような気がしました。町営の外湯が2箇所、お店らしいお店もほとんどなく、ほんとに素朴な感じの温泉街です。教えてもらったとおり坂道をのぼったり下りたり、小さな橋を渡ったりと、車はほとんど通らず、気分転換にはもってこいの散策でした。道のほとりには、ところどころに大切に育てられた野草が植えられています。

朝の散歩。カーブした坂道はどこか風情が感じられます。

さて旅館に戻って、朝食をいただきます。昨晩の若い仲居さんも朝は洋服です。あれどうしたことか、メガネはかけていません。あまりにもたくさんのおかずだったのでびっくりしましたが、どうして宿の朝ごはんは、こんなにおいしいのでしょう!残してはもったいないと、頑張って完食です。少し休憩の後、旅館をあとにすることに。次の目的地は大分県の「くじゅう花公園」でしたが、開園時間が8時半だったので、朝ゆっくりしたわけです。
旅館のスタッフの方に見送られ旅館をあとにしました。思えば、近代的な旅館で、施設、温泉、食事、サービス、どれをとっても文句の付けどころがありませんが、次にくるときはもう少しひなびた情緒ある小さな旅館もいいかな、と思った私です。(つづく)

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