未熟なカメラマン さてものひとりごと

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岡山県の魅力ある日本庭園 矢掛町の大通寺を訪ねて

2019-09-30 23:54:38 | 庭園
令和元年9月24日(月)
久しぶりに矢掛町の大通寺を訪ねました。お寺の前の田んぼの稲は黄色く色づき、畦の彼岸花がところどころに咲いてその存在感を示しています。
仁王門から山門につづく参道の両側には白やピンクのハギが小さな無数の花を咲かせ、来訪者を迎えてくれます。
山門前には、立派な桜の木が枝を垂らし、春にはさぞ華やかだろうと想像しながら立派な山門を潜りました。



大通寺遠景


畦に咲くヒガンバナは美しい


仁王門 両側に仁王像がにらみをきかせています。


白とピンクのハギ、無数の小さな花を咲かせています。


山門と子宝観音

それにしても、感心するのがこれだけ広い境内で掃除が隈なく行き届いていることです。その大変さを察しながら、受付に到着すると、「こちらへどうぞ!」すぐに住職が出てこられました。玄関先には「拍子木をたたいてください」とあったのに気付かず、呼び鈴を押してしまいました。
上がり口から、幾分暗めに感じる座敷の開け放たれた戸口の向こうに、明るく照らされた石の庭が見えています。何と美しいことか、まるで一幅の絵画を見ているようです。縁側に敷かれた赤い毛氈もアクセントになり、庭園に花を添えています。



境内 右が本堂、左が坐禅堂


受付 拝観申し込みは、拍子木をたたいて知らせる。襖一枚分の庭園が見える。


座敷の向こうに見える庭園。本当に美しい。

縁側には鑑賞者用のイスが三脚用意してあり、しばしの間、鑑賞に酔いしれたいと思いつつ、住職の詳しい説明に耳を傾けていました。
このあと、西側の庭園にも案内していただくと、先ほどとはまったく違う趣がありました。座禅堂にも案内していただきました。同じ禅宗でも、流派によって、座布団や座り方が微妙に違うとのことです。



書院表の庭園。石組みが美しい。


スイレンが咲いていました。


ムラサキシキブが可憐な実をつけていました。


山側から見たところ(通常は入れません)


さらにもう一枚


禅堂衆寮より西方池を望む


石橋


池のコイ


最後にもう一度、額縁の庭園を見る

この庭園は、平成24年に築庭200年を迎え、記念講演会とシンポジウムが開催されました。
造られたのは、寛政5年(1793)から文化10年(1813)の江戸時代後期で、矢掛の住人の文人画家中西源兵衛によって作庭されました。何と完成まで21年も要したことになります。
昭和の庭師、重森三玲のお弟子さんである、京都にお住まいの斉藤忠一先生が、昭和52年と54年の二度にわたり修復をされたと聞きました。住職が京都までお願いにあがったとか。私も仕事の関係で斉藤先生とはお付き合いがあり、共通の話題で、話は多いに盛り上がりました。最後にはお茶とお菓子まで出していただき、一般には立ち入れないようなところからも特別に撮影をさせていただきました。
こうして1時間があっという間に過ぎたのでした。
住職のお話の中で、「掃除は、創寺にして創自なり」と伺いました。なるほど、と感心しながら、帰りには、出口(仁王門)までお見送りを受け、恐縮して大通寺をあとにしたのでした。


(宿場町矢掛の古い町並み)

矢掛の町並み 通りに奴のマンホール


妻入り五軒並び


矢掛のイメージにぴったり


人一人やっと通れる細い路地


完璧に残されている町屋が美しい


地の野菜料理のお店

このあと、矢掛の町並みを歩いてみることにしました。残念なことに2箇所で電気工事が行われており撮影条件としては今ひとつでした。気付くことが1つ。町並みに不釣合いな派手な看板が見受けられました。何か規制する手立てはないものかと、少々心配になりました。電線の地中化、重伝建への申請(2020年)の計画もあると聞いています。
美しい町並みが、後世に残されていくことを祈念して止みません。


(洞松寺 曹洞宗の古刹)

見事な山門


地蔵さま


見事な伽藍です。


とてもきれいに掃き清められています。

(福武家住宅)

道路側から見たところ。裏門です。


裏手に回ったところで、芙蓉の花が咲いていました。


高い土塀が続く


長屋門の見事な構え


少し朽ちた土塀


高札がありました。


池の中央の小さなお堂の屋根にアオサギがいました。

のあと、矢掛町のもうひとつの曹洞宗の寺院、洞松寺を訪ねたあと、最後に向かったのが、福武家住宅です。パンフレットに電話番号の記載がないので、住所でナビをセットしやっと到着することができました。道路側から見ると、大きな木戸がありましたが、これは裏口のようです。
付近の畑に、芙蓉が幾輪ものかわいいピンクの花をつけていました。
玄関口に廻ると、そこは立派なお屋敷、その昔、大庄屋だったそうです。しっくいの土塀には、驚いたことに狭間が設けられていました。ここから賊を追い払ったのでしょうか。
来月放映される、NHKの横溝作品のロケ地として使用されたと聞きました。この福武家、年に一度だけ公開日があるようなので、機会があればぜひ訪ねてみたいと思いました。

住宅の裏手の大きな池の中央にある小さなお堂?の上に停まっている一羽のアオサギがとても印象的でした。(おわり)

岡山県の代表的な日本庭園
(大名庭園関係)
岡山後楽園(岡山市)特別名勝 日本三名園
衆楽園(津山市)国の名勝 津山藩二代藩主・森長継が京都から庭師を招いて作庭
近水園(岡山市)県の名勝 旧足守藩主・木下家の庭園 小堀遠州の作と伝えられている

(神社仏閣の庭園)
頼久寺庭園(高梁市)国の名勝 作庭家、茶人である小堀遠州初期の作
曹源寺庭園(岡山市)岡山藩主池田家の菩提寺 心字池に映る枝垂れ桜は美しい
大通寺庭園(矢掛町)県の名勝 江戸時代に作庭された石組みは素晴らしい
安国寺庭園(津山市)元禄時代の造園で石林園と呼ばれる美作地方屈指の名園
安養寺庭園(美作市)客殿裏の枯山水の築山と前庭の亀島の作者は伝小堀遠州
吉備津神社庭園(岡山市)時代の異なる二つの庭園がある

(その他 茶道等関係)
華鴒園 (井原市)華鴒大塚美術館の日本庭園、上田宗箇流家元の設計・監理
田中苑(井原市)田中美術館の前庭 苑内に茶室不老庵がある
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郷愁を誘う茅葺集落 京都府南丹市美山町北‘美山かやぶきの里’を訪ねて

2019-09-26 22:22:43 | 古い町並み
令和元年9月15日(日)念願の、美山かやぶきの里に行ってきました。自宅から、山陽道、播但連絡道、中国道、舞鶴若狭自動車道、京都縦貫自動車道を経由し、その距離、実に314km、4時間15分を要し、やっと目的地に到着することができました。
私は学生時代の4年間を京都で過ごしましたが、在学中は、その遠さに一度も訪ねることができませんでした。
さて、当日は日曜日とあって、多くの観光客で溢れており、到着した12時ごろ、駐車場はすでに満車状態でした。



駐車場から道路を挟んで山の裾野に広がる茅葺集落


逸る気持ちを抑えて道路を渡ります。


かやぶきの里、一番の撮影スポット


レトロな赤いポストが周囲に溶け込んでいます。集荷は一日に1~2回


カフェ・ギャラリー彩花


まさに日本の原風景 白とピンクのサルスベリがとてもきれいでした。


鮮烈な色のキバナコスモス


こちらはピンクのコスモス

道路と田んぼを挟んで、山の裾野に茅葺の民家が立ち並んでいます。背後には杉林、そして空は真っ青なブルー、手前の田んぼは、白い花をつけ始めたそば畑、刈り取りも近い稲穂も頭を垂れています。
それらが一体となって、とても懐かしい景観を作り出しているのです。この現代社会にあって、何ということでしょう。まるで異次元の世界。よくぞ残してくれたと、感謝の念に近いものを感じました。

個人的に茅葺民家が大好きで、岐阜県の世界遺産白川郷は別格として、岡山県内では、津山市阿波や八塔寺ふるさと村を訪ねたことがありますが、この美山の茅葺集落はほんとに素晴らしいと思います。
通りを歩くと、季節柄、色とりどりのコスモス、ピンクや白のサルスベリなど季節の花が咲いていて、それらが茅葺の民家とマッチし、まるで過去にタイムスリップしたような錯覚を覚えます。
各民家は、あえて生垣を設けず開放的な佇まい、入母屋造りの母屋はどの家も南向きで整然と並んでいます。
現在、資料館などを含め、茅葺の民家は38棟(トタン覆い3棟を含む)が残っているようです。国の重要伝統的建造物郡保存地区に指定されており、万が一の火災に備え、62基の放水銃が設置されています。



まるでタイムスリップしたよう


大切にされているお地蔵様


里から見る駐車場付近


里の一番上に鎮座する普明寺


とてもきれいに維持されている通り。なんと気持ちのよいことか。


美山民俗資料館、とても懐かしい感じがします。


屋根裏は白川郷とよく似ています。


資料館から。通りを望む


気持ちのよい日でした。


宿や民久


平飼い玉子直売店 カフェ美卵


アイスコーヒーとプリンを注文しました。

資料館は、過去に火災で焼失し、再建されたもののようです。中に入るととても涼しく感じました。
入館者の一人が入ってくるなり、「ここはエアコンが効いているのですか?」と尋ねるほどです。牛も一緒に生活する厩など当時の暮らしぶりが再現されており、なかなか見応えがありました。
町並みを歩いていて感心したのは、とてもきれいに管理されていることです。ゴミひとつ落ちていません。トイレも十分確保してありました。
ただ民家は生活をしている住宅であり、当然ながら洗濯物が干してある光景がところどころ見受けられました。そのあたりを十分にわきまえ、観光客はマナーを守って行動する必要を感じました。



獣除け用でしょうか、各家の畑は金網で取り囲んでありました。


知井八幡神社


美山米パン吉之丞


麓まで下りてきました。横切る通りは鯖街道です。

散策の合間にカフェ美卵で一休み、アイスコーヒーは本格派、プリンもなかなかの味でした。
このあと町のはずれの知井八幡神社にお参りし、美山米パン吉之丞でパンを買い求め、最後に駐車場横の蕎麦の店・お食事処きたむらで、おいしいそばをいただいて帰ることにしました。

しかし当日は大変混雑していて受付の順番は13番目。外で待って40分、席についてからさらに20分の計1時間の待ち時間でした。待ったかいがあって、美山産で打たれた細麺の手打ちそばは絶品でした。
今度は違う季節に来てみたいと思いながら美山をあとにしました。



お食事処きたむら 手打ちそばが人気です。


もりそばを注文しました。


稲刈りが済んだところもありました。


美山川(由良川)清流でアユが有名です。

日本の茅葺集落
新潟県 荻ノ島かやぶきの里 荻ノ島環状集落 40棟(その内茅葺は半数程度)
福島県 大内宿 重伝建選定(S56.4) 茅葺は50棟弱
福島県 前沢集落 重伝建選定(H23.6)茅葺は14棟 
岐阜県 白川村荻町 重伝建選定(S51.9)茅葺は150棟 世界遺産
富山県 五箇山相倉合掌集落 重伝建選定(H6.12)茅葺は23棟 世界遺産


茅葺集落の鉄則
集落を維持するために、どこにも売らない、貸さない、壊さないが3原則だそうです。
美山では、茅場(かやば)が確保されており、茅葺専門の会社も集落内にあって、維持体制がしっかりできていると感じました。
ところで、茅葺の茅ですが、屋根を葺く草の総称で、茅という植物はありません。茅の材料には、ススキの他に葦(よし)、カリヤス、カルカヤ、シマガヤ、チガヤなどのイネ科の多年草が使われます。

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天文のまち せいめい望遠鏡のある岡山県浅口市を訪ねて

2019-09-22 20:42:27 | 天文台
2019年9月9日、浅口市鴨方町に昨年完成した京都大学岡山天文台の東アジア最大の望遠鏡‘せいめい望遠鏡’を見たくて竹林寺山系に向かいました。
この竹林寺山には、188㎝の日本最大級の反射望遠鏡を有する国立天文台があり、駐車場を挟んで3.8メートル新技術望遠鏡‘せいめい望遠鏡’を有する京都大学岡山天文台が建ち並んでいます。さらに天文博物館が隣接するこのあたりは、まさに天文のまちと呼ぶにふさわしい景観となっています。



岡山天文博物館 プラネタリウムや太陽観測などの体験ができます。

京都大学 岡山天文台


岡山天文台への入り口です。


ドーム下に見学路と書かれた階段があります。


3階外回廊からは、遠く瀬戸内海を望むことができます。


こちらは北方面、中国山地の山並み


東アジア最大の’せいめい望遠鏡’


向かいに国立天文台が見えます。


京都大学岡山天文台の遠景


もう少しアップで撮ってみました。

この日は、運の悪いことに休館日で、広い駐車場に車は一台も停まっていませんでした。それでも近くで見ようと、まず向かったのが、京都大学岡山天文台です。
施設内を散策後、ドームに近づくと見学路→と書かれた階段があり自由に立ち入ることができました。まずは最上階の3階外回廊へ。ここからの眺望は素晴らしく、遠く瀬戸内海や中国山地が見渡せます。ガラス越しですが、‘せいめい望遠鏡’をはっきり見ることができました。
ただ、撮影はガラスに光が反射してかなり難しいものがありました。

この‘せいめい望遠鏡’は口径3.8mの光学赤外線望遠鏡です。構想が立ち上がったのが1999年1月のこと。そしてプロジェクトがスタートしたのが2006年。2018年7月に完成し、2019年春、観測がスタートしました。実に構想から20年を要していることになります。
特徴としては、1.に18枚(1枚=1m,70㎏)の分割鏡を採用、2.に超高精度研削加工、3.に超軽量架台があります。これらの3つの特徴はいずれも独自に開発された技術です。
将来建設されるであろう超大型、30m~100m級の望遠鏡の基礎技術となるに違いありません。大きさは横8m、縦8m、可動部分の重量は20tです。
一番の売りは、超大型の爆発現象「ガンマ線バースト」などの突発天体を1分以内に捉える機動力の高さです。
望遠鏡の名前‘せいめい’は平安時代の陰陽師・天文博士の安倍晴明にちなみ公募で選ばれました。岡山天文台の近くにある阿部山で観測したとも伝えられ、市内には晴明ゆかりのスポットが多く残っています。


国立天文台ハワイ観測所岡山分室


国立天文台遠景


丘を上がり、近くで撮ってみました。


188cmの口径を持つ日本最大級の望遠鏡です。


このあと、せっかくなので外観だけでもと思い、駐車場を横切り国立天文台に向かいました。坂道を上ること3分、巨大なドームに到着です。山陽道鴨方IC付近を走っていると山の頂にくっきり見えるのがこの天文台です。外観の撮影をしていると、入口付近に人の姿が見えたので、無理を承知で「中は見れませんよね!」とダメもとで声を掛けたら、少し間をおいて「今日は休館日ですが、私が掃除している間でしたら、どうぞ!」と神対応。望遠鏡を一枚だけ撮影し、しっかりお礼を述べて天文台をあとにしました。
このように、日本を代表する二つの天文台がこの竹林寺山に設置されたのには大きな理由があります。
晴れの国、岡山と言われるように、第一には晴天率の高さ、その二に、大気が安定していること、第三に星空の美しさ、いずれも兼ね備えているのがその理由のようです。

国内の主な天文台と望遠鏡
1位 京都大学岡山天文台(岡山県) せいめい望遠鏡 口径380cm
2位 兵庫県立大学西はりま天文台(兵庫県) なゆた望遠鏡 口径200cm
3位 国立天文台岡山天体物理観測所(岡山県) 口径188cm
4位 なよろ市立天文台きたすばる(北海道)ピリカ望遠鏡 口径160cm
5位 広島大学宇宙科学センター東広島天文台(広島県)口径150cm
   情報通信研究機構(東京都)口径150cm
   群馬県立ぐんま天文台(群馬県)口径150cm
8位 宇宙科学研究所(JAXA)(神奈川県)口径130cm
   仙台市天文台(宮城県)ひとみ望遠鏡 口径130cm
   京都産業大学神山天文台(京都府)荒木望遠鏡 口径130cm


遥照山総合公園 目鑑展望台

天文台の撮影を終えて、次に向かったのが、お隣の山、遥照山の遥照山総合公園です。
公園内には、グラウンド、芝生公園、展望台があり、瀬戸内海を見渡す眺望は実に素晴らしいものがあります。日本夜景100選にも選ばれています。



遥照山から見る瀬戸内海


ホテル越しに水島コンビナートの工場群が見えます。

かもがた町屋公園

そして次に向かったのが、かもがた町屋公園です。こちらも残念ながら休館日でした。公園の隣に神社の参道があり、裏手から公園を見ることができました。
この公園は、旧鴨方往来沿いに江戸時代に築造された二棟の町屋を初め、背後の広い敷地内には修復された土蔵や井戸、土塀などの史跡があり、‘日本の歴史公園100選’に選定されています。



鴨方往来に面した町屋


反対側から


隣に神社の参道がありました。


土蔵もある広い公園です。


建物の屋根瓦が美しい

寄島 三ツ山と青佐鼻海岸

そして最後に訪ねたのが寄島町の三郎島(三ツ山)と青佐鼻海岸です。時刻はちょうど昼過ぎ。道路沿いの空き地には、車内で海を見ながら憩う人々の姿がありました。真っ青な海と、夏らしい雲。そして波静かで穏やかな海は、見ているだけで癒されます。
青佐鼻海岸は、穴ジャコ釣りシーズンには多くの観光客で賑わうそうですが、最近はなかなか取れなくなったとの情報もあります。この日の海辺には誰一人の姿もありませんでした。
笠岡西大島方面へ海沿いの海岸線を走り、浅口市をあとにしました。



三ツ山(三郎島)干潮で陸続きになっています。


青い空と青い海


青佐鼻、漁船が印象的です。とても穏やかな入り江と瀬戸内の海


帰りに笠岡市大島地区から見た海の景色

見どころいっぱい 天文のまち 浅口を訪ねてみませんか!
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日本のエーゲ海、瀬戸内市牛窓を訪ねて 令和元年9月2日(月)

2019-09-11 23:42:51 | 古い町並み
せっかくの休日、被写体を求めて出かけようと思いましたが、例によってなかなか行き先が決まりません。天気予報では、曇時々晴れになっていましたが、いまひとつはっきりしない天気です。
思案のあげく、瀬戸内市の牛窓町を久しぶりに訪ねることにしました。
山陽自動車道早島ICを下りて、国道2号線を岡山方面に進み、途中から岡山ブルーラインに入って、自宅から約1時間半で、最初の目的地牛窓オリーブ園に到着しました。

一般駐車場に車を停め、急な階段を登って展望台を目指します。登るにつれて眼下に瀬戸内海の美しい景色が広がってきます。息を切らしながら、展望台のある日本オリーブ㈱直営のオリーブショップに到着。1階はショップ、2階がカフェになっています。
とりあえず、5階の展望台に上がってみることにしました。晴れていたらどんなによかったことでしょう。正面に、前島、そのすぐ向こうに小豆島が見えます。
周辺は、オリーブの成木が2000本植栽されている独特の景観です。


牛窓オリーブ園

収穫はもう少し先のようです。


日本オリーブ 直営ショップ 乳液は我が家も愛用しています。


ショップからの眺望もなかなかです。


幸福の鐘付近から見る海


最上階5階からの眺望


左の島が前島、その横の小さな島が黒島、その横の島が中ノ小島、端の小島


右に見えるのが牛窓ヨットハーバー

牛窓といえば、日本のエーゲ海といわれていますが、その最初のいきさつをご存知でしょうか。その昔、牛窓オリーブ園を訪れたギリシャ大使館の関係者が、高台から見た海の景色が、故郷のエーゲ海に似ている、と言ったことが最初のきっかけになったようです。

ところで2010年の調査では、オリーブといえば、小豆島のある香川県と、牛窓の岡山県だけでしたが、現在では随分様相が変わってきているようです。
出荷量こそ、香川県がダントツの1位で9割以上独占していますが、栽培面積では以下の通りとなっています。(2015年調査)
(オリーブ栽培面積)
1位 香川県 小豆島
2位 熊本県 天草市
3位 広島県 江田島市
4位 大分県
5位 静岡県
など、11県に拡大し、栽培地のシェアでは、香川県は55%に下がっているのです。
それでは、岡山県はどうだろうと思いましたが、データは見つかりませんでした。


(牛窓ヨットハーバー)


西日本最大級とか


クラブハウス 船の形を模しています。

次に向かったのが、先ほどの展望台からも見えた、牛窓ヨットハーバーです。丘と海にずらりと並んだ白いヨット、とても日本とは思えない景観です。その収容能力は460隻で、西日本最大級とか。船体の形をしたクラブハウスがあり、こちらでは会議室やシャワー室、レストランもありました。

ホテルリマーニ

次に向かったのが、ホテルリマーニです。ランチをしようと思いました。ちょうどこの頃、雲の切れ間から強烈な陽の光が差して来ました。白い洋風の外観はさらに白く照らされて異国情緒たっぷりです。
船が行き交う瀬戸内の海を眺めながら頂くランチは、最高でした。最後にコーヒーとスイーツをいただいて、ゆったりした時間を過ごすことができました。女性のスタッフの方に、黒島ヴィーナスロードのことを尋ねてみました。干潮のとき、3つの島(黒島、中ノ小島、端の小島)に砂の道が現れ、歩いて渡れるようなのです。この方はブライダル担当で、結婚式の前撮りで行かれる方も多いと話されていました。砂浜を歩ける日と時間は、決まっており、このホテルから専用の船が出ているようです。



瀬戸内市立美術館に寄ってみました。


美しい外観です。


絵になります。


ロビーから


ランチは最高でした。コーヒーは南部鉄器の鉄瓶で注いでくれました。

本蓮寺

ランチのあと向かったのが、本蓮寺です。山門を潜ると右手に歴史を感じさせる石段がありました。
その先、中門(国重文)を潜ると、その向こうに、本堂(国重文)や三重塔が姿を現します。境内は、小規模ながらまるで奈良の寺院にでもいるような錯覚を覚えさせます。眼下に海が見え、日本で最も海に近い三重塔だとか。この本蓮寺、江戸時代、朝鮮通信使が4度にわたって宿舎として利用した、朝鮮通信使の遺跡となっています。



山門です。


お堂の屋根が素晴らしい。何焼きでしょうか?


国の重要文化財指定の本堂


三重塔


眼下に瀬戸内海の穏やかな海が広がる


朝鮮通信使も宿泊

しおまち唐琴通り

このあと、牛窓の町並み(しおまち唐琴どおり)を散策しました。特に白壁の土蔵や、歴史の有る建物が連なっているわけではありませんが、人が住むぬくもりが感じられます。
少し歩くと、ここからの振り返った景色が一番と書かれた、小さな案内板があり振り返ると、なるほど、右手上の方に本連寺の塔が見え、なかなか絵になるカットだと思いました。
街中で幟を立てている中年の男性に声をかけられました。
「どちらからお出でになりましたか?」と訊かれたので、井原からです!と答えると、以前、私の勤務する会社に仕事で行っていたとのことで、びっくりしました。。



江戸時代から昭和の町並み


どこか人のぬくもりが感じられる


ベストポジションです。


路地にあった井戸。現役です。


牛窓海遊文化館

牛窓神社

最後に向かったのが、牛窓神社です。牛窓海水浴場横の363段あるという正面参道(石段)を登るのが正式だとは思うのですが、駐車場もあるようなので、車で向かいました。
本殿前の空き地に車を停めると、テントで仕切られたお休み処には、冷水の接待がありました。蚊が多いようで蚊取り線香も炊かれていました。まずは手を清めようと、手水舎に向かうと、下の砂利には何と赤いカニが数匹いました。
面白いのが、横に大きく書かれた注意書き。
「手水舎では、顔・頭・体・足 洗わないでね」これには思わず笑ってしまいました。本当にこんな、ばちあたりがいるのでしょうか。
でも、参道の上り口横が海水浴場なので、海水浴を楽しんだ後、ひょっとしたら上まであがってきて、きれいな水を見て、つい洗いたくなった、というのも、少しだけわかるような気もしました。
(牛窓 おわり)



立派な拝殿


手水舎


カニがいました。


注意書きがおもしろい


立派な本殿です。
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四国霊場第三十一番札所 高知市五台山竹林寺を訪ねて 令和元年8月25日(日)

2019-09-05 21:31:26 | 神社・仏閣
室戸市の吉良川の町並みを訪ねたあと、本日最後の目的地、高知市の五台山竹林寺に向かいました。一般道を走ること68km、時間にして1時間30分を要し随分遠く感じました。
以前、牧野植物園を訪問したとき、駐車場付近で多くのお遍路さんを目にし、場所はわかっていましたが、今回どこから入っていいのかまったくわかりませんでした。
というのも、駐車場から見た建物がとてもきれいな板張りの外観に変わっていたため、気付かなかったのです。



牧野植物園入り口 竹林寺と隣り合わせです。


水鉢にスイレンが咲いていました。


どこかのホテルのようです。


まず、名勝に指定されている書院の日本庭園を見ようと思いました。座敷から眺める日本庭園はとても美しいものでした。作庭は、京都嵐山天龍寺の庭園を作庭した夢窓礎石(国師)ときいてびっくり。資料によりますと、礎石はこの地で2年間修行したそうです。
山裾の斜面をうまく利用して、大小の石を配置した庭園。他に観覧者はなく、床几に座ってとても贅沢な気分に浸っていましたが、突然、背後からどかどかと足音がして一つの集団が入ってきました。
何と、結婚前撮りの一団でした。和装スタイルのカップル、家族、撮影スタッフのようでした。「どうぞ!見てあげてください!美男美女のお二人です」とスタッフのひとり。
ほぼ鑑賞したあとだったので、どうということはありませんでしたが、鑑賞中に来られたらちょっと困るところでした。



書院前の小さな苔庭 状態から最近造り直されたものでしょうか。


書院の玄関を入ると左手にご覧のような景色が飛び込んできます。


座敷から見る名勝庭園


池や井戸もありました。


若い女性のお遍路さん

このあと、宝物館の重要文化財に指定されている17体の仏像を拝見したあと、本堂方面に向かいました。
このときお遍路姿の若い女性二人に遭遇しました。とても軽快に歩き、あっという間にすれ違いましたが、なんてかっこいいのだろう!と思いました。
山門は、国の重要文化財に指定されています。重厚で大きく立派、歴史を感じさせる風格のある建物です。山門の向こうに古い石段が続いているのが見え、どこか京都にいるような錯覚を覚えます。お寺をあとにするところでしょうか。一人のお遍路さんが深々と頭を垂れていたのが印象的でした。道の両側にはカエデが茂り、紅葉の頃は美しいだろうなと感じました。
山門を抜け、さらに進むと、正面に立派な五重塔が見えてきました。この塔があるのと無いのとでは境内の趣が随分変わってきます。現在の五重塔は、昭和55年に再建されたものだそうですが、朱色が映えて、とても美しく感じました。
そして、最後に本堂にお参りです。文殊菩薩を本尊に祀ることから文殊堂とも呼ばれ、日本三文殊のひとつとか。(諸説あるようです)ちょうど右手に軽トラが1台停まっており、撮影的にはとても残念でした。
この竹林寺、境内のどこを見ても、とてもきれいに整備され清掃も行き届いています。お陰で、とても清々しい時間を過ごすことができました。千年以上の歴史がありながら、新しいものを躊躇せず受け入れ、現代人をも意識した寺院の経営の在り方をどこか感じることができたような気がしました。



奥に虚空蔵菩薩堂


美しい山門


カエデに覆われています。


苔で覆われた境内


五重塔が絵になりますね。


本堂(文殊堂)右端に軽トラが停まっていました。


この階段、近年作られたものでしょうか。


内側から見上げたところです。


五重塔の別カットです。


秋の紅葉は美しいでしょうね。
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