またまた先日の美術館友の会で大阪を訪ねたときのお話です。
大阪市立東洋陶磁美術館で見た写真の婦女俑、高さ40㎝ほどのさほど大きくないものですが、ちらちらと何回も見ているうち、だんだんその魅力の虜になってしまいました。
俑とは、中国で、死者とともに埋葬した人形のことです。死者の臣下・妻妾・衛兵・愛玩動物などをかたどっています。材質により、陶俑・木俑・金属俑などに分けられます。しかるにこれは陶俑ですね。この婦女俑(婦人俑ともいいます)丸い回転盤の上に乗りぐるぐる回転しています。
ゆったりとした衣をまとって、随分太めの体型(失礼!)です。「この人は妊婦ですか?」と聞いた人もいたくらいです。顔はしもぶくれ、目は細めで少々吊りあがっています。鼻も唇もなんとも小さめです。
ボランティアガイドさんによると、唐代の美人の典型とか。時代も変われば要件も随分違うんですね。
以下、美術館の説明書きです。
「大きく結いあげた髷の切れこみにはかんざしが、胸の前にかかげた手の指先には小鳥がとまっていたらしい。素焼の塑像の表面に胡粉(ごふん)を塗りつめ、その上から泥絵具で彩色してあったが、土中で色はほとんど剥落している。唐時代にはこのような加彩のほか三彩による俑も多い。若い女性の初初しさが余すところなく捉えられ、数ある婦女俑のなかでも屈指の名作として知られている。」