町並みのはずれ、東の追分・伊勢神宮一の鳥居を見て引き返します。それにしても何と暑いことか。このあたりでは、ほとんど人を見かけません。一軒ずつ見ていると、お店も結構あるようでした。但し、いずれも控えめでほとんど目立ちません。営業しているのかどうかわからないほどです。途中、左右対称の民家を発見。入口にそれぞれ、男、女とあります。もと風呂屋さんだったようです。真ん中に裸電球の傘も残されており、情緒があります。こういう発見は楽しいですね。
ばったりと呼ばれる建物付属の機能的な縁台や、当時の面影を残す、馬をつなぐ鉄の輪金具も残っていて、当時の往来の様子が見えるようです。観光案内所でいただいたパンフレットと見比べながら歩いていますが、それにしてもよくできているパンフレット。写真ではなくイラストですが、とてもわかりやすいですね。感心、感心。
現在は、鮮魚店の看板を出している遊快亭、そしてとなりの建物とのこの2軒は、その昔、芸妓の置屋だったそうです。2階の窓の木組みがとてもこっています。なまこ壁の倉庫蔵は、ほとんどと目にしませんでしたが、駅から通りに入る途中で見たひとつだけでした。通りの虫籠窓(むしこまど)は、いろんな形や色があって存在感を出しています。
最初の場所まで戻ってきたところで、銀行のATMがあったことを思い出し、ちょっと、涼ませてもらうことにしました。冷房がよくきいていて心地よいのですが、監視カメラがどうも気になって落ち着きません。すぐに出て、冷たいお茶でも飲んで、一息入れることにしました。
通りの角のところに喫茶店らしいお店があったので、入ることにしました。「いらっしゃいませ!」と中年の女性の声、入り口のところで、スリッパに履き替えます。奥のカウンターの中にもう一人の女性。店内は独特の雰囲気で、場違いかとも思いましたが、今さらどうしようもありません。お客さんは他には誰もいませんでした。アイスコーヒーを注文して、しばらくすると、アイスコーヒーと、そのあとに、「これはサービスです」、とシフォンケーキが出てきました。なんとサービスの良い店かと思いました。おいしくアイスコーヒーとケーキをいただき、しばらく涼んだところで店を出ることに。
「おいくらですか?」と聞くと「750円です」との返事。高い!と思いましたが、そこは何とか顔に出さず、お釣りをもらってお店を出ようとすると「よかったら使ってください!」とお店のネーム入りのボールペンをいただきました。そして別のパンフレットで近隣の見どころなどを紹介してもらいました。亀山市の美術館がとてもよくて、館長が素晴らしい人、とのことでした。「お車ですか?」と尋ねられたの、はずみで「ええ!まあ!」と答えると、それなら是非訪ねてみてください。と何度も勧められたのでした。
あとで調べたところによりますと、このお店は、アールグレイという有名な紅茶の専門店だそうです。その種類は50種以上で、わざわざこのお店を目当てに関宿に来る人も多いとか。
少し落ち着いたところで、町並み散策開始です。(つづく)