写真上は、店内でチョコレートラテを泡立てる店員さん。単なる棒を上下させている、と思いきや泡立て器の先端は思いの外、複雑だった(写真下)
【絶品! チョコレートラテ】
お肉のソースはカカオの風味がきいたほろ苦さと、くどくない甘み。なんといっても旨み重視の自然の複雑さがあります。
さらに食後に名物チョコレートラテを頼みました。
すると、手で抱えられるほどの大きさの、上が若干すぼまった、湯気の立ったツボが出てきました。中には、カカオの粉末と砂糖、牛乳が入っている模様。
それを目の前で、店員さんがジャガジャガ、ジュボジュボ、とリズミカルな音を立てて、木の棒を上下させます。
気が済むほど上下させたところで、ツボから取り出された木の棒は、先が工芸品さながらの複雑な木目込み模様の彫刻がほどこされていました。
縦に垂直な溝が刻まれ、時折円盤状に縦を横切るように刻まれた複雑な構造物を上下させることで、この飲み物にたっぷりの空気を含ませる構造となっていました。
たしかに見るからに泡立ちがよさそう。けど、洗うのはたいへんそう、と直感。
この不思議な棒は、その前に立ち寄った生活雑貨専門の市場で売られていたものだ、と気づいたときには後の祭り。二度と買うチャンスは訪れませんでした。市場ではてっきり、子ども向けのでんでん太鼓のような地元のおもちゃかと思っていて、手を伸ばさなかったのです。
さらに店の入り口には、トーテムポールのような複雑な木を彫り込んだ棒があったのですが、それも、巨大な、チョコレートラテを作る道具でした。
昔から、こういったもので、効率よく泡立てていたようです。彫刻を泡立て器の稼働部位に彫るのは、やはり古代からの宗教儀式と関連があるのでしょうか? 何かの気を取り込むことを期待するような・・。
さて、私がこの予想外の彫刻に見とれる、ほんの一瞬のうちに、店員さんは、なめらかな動きでコップに、泡立てたものをよそって渡してくれました。
泡立てていく時間も、なんともさわやかで、そして軽やかな甘い香りを振りまいていたのですが、お味が、また絶品!
一口目、甘いチョコレートを溶かしたもの、と思って飲むと、さわやかで、ようく泡だっているため、ふわふわと軽やかや飲み口に意外性を感じます。
二口目、カカオ独特の風味と、意外な酸味を感じ、驚きます。
三口目、味の奥に隠れた苦みを感じ、その複雑な甘みに、すっかり酔いしれました。
ここでは、チョコレートラテを作るための粉も市販していました。そんなに安い値段ではなかったのですが、その後、メキシコのどこにも売られていなかったので、そこで買わなかったことをおおいに後悔したのでした。
(つづく)