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話の横道 福建の大病院2

2012-07-06 14:09:25 | Weblog

写真は福建省の東北部の山間に位置する寧徳市屏南県のある小さな村に暮らす元気な子供達。主要道路以外は袖振り合う程度の小さな路地なので、大人の目が行き届き、子供はのびのび。子供たちは連れだってはどぶのような川で魚釣りをしたり、鬼ごっこをしたりと元気いっぱい。

 福建は血族意識が中国のなかでもとりわけ強いので、夏休み時期ともなると、中国各地にちらばった親戚中の子供が、おじいさん、おばあさんの暮らす家に集まる。(親は子供がいなくなったとせいせいとして暮らす。)いつもは一人っ子で大事に育てられる子供が、まるで兄弟のように、いとこ同士で遊んだり、ケンカしたりと、にぎやかこの上なかった。

【診療代、30円】
 さて、鼻血を出して8日目、ようやく福建の山奥から福州へ到着。

 一度はよくなりかけた娘の鼻からはあまり性質のよくなさそうな鼻汁が出てきました。鼻血の跡が化膿しているのでは、と心配になり、すぐに福建省夫婦の付き添いで省立中央病院に直行。夜9時半に、蛍光灯の青白い光が窓から漏れ出る、ちょっと古めの大学の実験棟のような立派な建物です。

 すぐに受付を通され、小児科へ。鼻を見せると、耳鼻科に回され、診察を受けることができました。
 先生は白衣を着て、恐怖で泣き叫ぶ娘の鼻をささっと見ると「単なる鼻水」との診断を下し、処方箋を渡してくれました。その薬とは、毛沢東が晩年、愛飲したという漢方薬・麻黄入りの透明な液体でした。(麻黄はアレルギー性鼻炎の初期症状に効果があるそうです。他にもいろいろ。)

 全行程、30分。そして診察代はたったの2元(30円弱。)
鼻も2,3日使っていたら、見事に治りました。おそるべし、麻黄。

 ちなみに2元というお金は福建の人にとって、どれだけの重みがあるか、です。福建の山奥で一日、力仕事をすると、手取りが25元(375円)。ずいぶんと安い労賃に驚きましたが、そういう人たちでも病院には行ける、という金額なのです。

 なんだかんだ言われていても共産党政権下の社会保障の手厚さには驚きました。普段の食事よりも安い金額で一流の医療を受けられる。そういえば日本で質素に暮らす件の福建省夫婦も、「いつ、中国に戻っても、大学の仕事の口はあります。年金もコレダケちゃんともらえます。」
と蕩々と、人生設計を政府への信頼感たっぷりに語っていました。

 いまでは医療費もだいぶ高くなり、社会も不安定になっていますので、中国の人が政府に今でも信頼を以前ほどは寄せているとは考えられないのですが、10年前は、少なくとも、医療費を安くするということは社会主義の屋台骨に関わる重大事なのだ、と感じました。  (つづく)



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