バードリサーチニュースの記事からコチドリ(全長16cm)の生態を紹介しましょう。<・・・>が引用部分
<コチドリは、基本的には一夫一妻。雄は(東南アジアから)3月頃に渡来し,すぐになわばり形成をはじめ、4月中旬-6月下旬に産卵する。雌雄ともに抱卵と抱雛を行う.同じ雌雄で複数年繁殖することもある>
<2017年に,長野県千曲川中流域からGPSで渡り経路を調べた研究から(Kasahara et al. 2020),秋の渡りは,日本の繁殖地を出発した後,中国や台湾を経由してフィリピンに南下し,ルソン島,ミンドロ島,ミンダナオ島と,広い範囲で越冬していることがわかった>
<春の渡りは,秋の渡りを逆になぞるように台湾や中国を経由して日本に戻った。繁殖地から越冬地に到着するまでの期間は32-136日で移動距離は3108-4226㎞だった>
<(越冬地などの)非繁殖期に最もよく利用された環境は水田で、コチドリの水田への依存度の高さは,気候変化や農地転換などで水田が減少すると,個体の生存率の低下などを通して個体群に大きな負の影響を与える可能性を示唆している>
<2020年3月現在,コチドリは,幸いにも,まだ日本の環境省やIUCNのレッドリストでは危惧種に指定される状況にはない>
<しかし,本種の将来的な減少リスクを軽減し,日本における個体群を維持していくためには,繁殖地としての日本の河川の砂礫地を維持することと同時に,渡り経路上や越冬地における水田の維持が重要であり,関係する国々との連携が求められる>
コチドリと良く似たシロチドリ(体長17cm)は、急速に渡来数が減少していて環境省レッドリストの絶滅危惧Ⅱ類(VU)指定種です。
ところが環境書の2018年春の渡来数調査によれは、シロチドリ528羽に対してコチドリは382羽、日本への渡来数はコチドリの方が少ないのです。