遠い森 遠い聲 ........語り部・ストーリーテラー lucaのことのは
語り部は いにしえを語り継ぎ いまを読み解き あしたを予言する。騙りかも!?内容はご自身の手で検証してください。
 



    ひさびさに参宮橋オリンピックセンターに行きました。2年前の8月語り手たちの会で”身体と心をひらくワークショップ”を開いて以来です。(カテゴリー、ワークショップにあります)歩道橋のわきに泰山木の大木があるのですが、直径30センチもある五弁の白い花が天にむかって咲いていました。芳香がただよってきます。道路際のフェンスの向うにはどくだみの花がけなげにちいさな白い花を空に向けて咲かせています。花弁の数こそちがえ、いろもかたちも黄のめしべもよく似ているのに気がついて、なんだかうれしくなりました。

     


    今日は東京平和映画祭の初日です。4本の映画を見ました。そのうち二本のドキュメンタリーを紹介します。

「雪の下の炎」
    2006年、イタリア・トリノで死を覚悟したハンストがありました。「チベットを弾圧している中国でオリンピックを開かないでほしい」というハンガーストライキでした。IOC副委員長マリオ氏が二度訪れハンストをやめるよう説得、イタリア政府が声明を出すという約束をしたので、13日目にハンストは終わりました。しかしイタリア政府は約束を反古にし声明を出さなかったのです。このハンストをしたひとりが老僧パルデンさんでした。
   
    パルデンさんは28歳のとき、中国政府に捕えられました。チベットはもともと独立国でしたが1959年中国が侵攻したのです。「チベットはチベット人のもの」といっただけで、ダライ・ラマの写真を持っているだけで捕えられ、巨大な監獄に作りかえられたダプチ僧院にたくさんのチベット人が収容されました。そこでは日常的に拷問が行われていました。

    裸でさかさまにつるされる、ガラスの破片のうえに膝まずくかされる、電気棒を口に入れられる(パルデンさんは歯を失いました)かずかずの暴行を受け、脱獄し、ふたたびつかまり、パルデンさんは33年のあいだ、獄中にいました。中国政府がチベットの人たちを拷問で痛めつけるのは、意志を打ち砕き別人に改修するためです。自分の考えを棄て中国を認めると釈放されます。最後まで自分の意志を棄てなかったパルデンさんがチベット1992年釈放されたのは、支援する海外のひとたちが中国政府にパルデンさんの釈放を何度も何度も要求したからでした。

    僧侶はうそをつくことができません。当時15000人から10000人いた僧侶は今600人から300人しかいないそうです。信仰を棄てるまで解放されないのですから残りの僧侶、尼僧はどうなったのでしょう。ぜんぶで120万人のひとが殺され、自殺し、餓死により亡くなりました。10万人のひとが極寒のヒマラヤを越え、ネパールを経てインドへ逃れました。チベットは自治区になり、今では漢民族の方が多いそうです。ひとつのうつくしい国、日本人によくにたひとびとが平和に暮らしていた国が消滅したのです。


    なぜだと思われますか?  チベットには油田があります。豊かな鉱物資源、薬草の宝庫であり、きよらかで豊かな水があります。中国政府はそれを奪ったのです。次に狙っているのがウィグル自治区で着々と準備を進めているそうです。

    パルデンさんは信仰を棄てなかったから祈ることも許されなかったがダライ・ラマを信じていたから過酷な獄中の生活を耐えられたのだといいます。のどがカラカラに乾いていたとき、獄中の仲間が「水がほしい」と言いました。水などありません、看守はくれません。パルデンさんは舌で歯茎を刺激し、唾液をだして、水のかわりに仲間に口移しで飲ませました。そのひとは「もし、君がこの苦難を乗り越えたらチベットのために闘ってくれ」と言い残し亡くなったそうです。パルデンさんは、今も非業の死を遂げたたくさんのチベットのひとのために闘いつづけています。

 パルデンさん



     「レインボー」
     昨年11月からのイスラエルのガザ攻撃を覚えていらっしゃいますか? この映画は2004年、イスラエルのラファ攻撃の記録です。この攻撃にイスラエルがつけた名前をレインボー作戦といいます。たくさんのものがたりが生まれました。


.......屋上の鳩にエサをあたえに行った妹アスマと弟アフマニ、三分後爆撃の音がしました。いそいでふたりを見にいくとアフマニの頭は割れていた、ちいさなアスマも目と頭を貫通されて眠るように息絶えていました。イスラエル兵が向うの建物から狙い打ちしたのです。

     飴を買いに行った5歳の娘ラワーンは撃たれて死にました。生後二箇月で妻が亡くなり、男手ひとつで育てた愛しい娘、毎夜うでのなかで眠ったラワーン、父は眠ることができなくなりました。家は破壊尽くされ、ありとあらゆる思い出の品、生活道具が散乱しています。イスラエルは自爆テロやロケット弾による砲撃を理由にパレスチナ自治区を攻撃します。でもロケット弾で死んだイスラエル人はわずか5人です。パレスチナのひとびとがどれだけ殺されたでしょう? 

     イスラエルは国連決議を無視し、パレスチナ自治区を分断し、8Mもの壁で囲い、検問所をもうけ自由に行き来ができないようにしています。パレスチナ人は自分のオリーブ畑を耕すこともできません、学校にも病院にも働きに行くことすらもできない日があります。オリーブ油を売ることさえ多くの障害を乗り越えなくてはできません。イスラエルは港、空港、道路、ガス、電気、お金 すべてのライフラインを押さえています。自爆テロのことばかりがパレスチナと思われかちですが、現地に滞在した塾の先生森沢典子さんによればハマスのひとたちは日頃、パン屋であったり先生であったりするふつうの若者なのだそうです。アメリカのODAの80%がイスラエルへの武器無償供与、最新の武器が雨霰とふりそそぐなかで、閉じ込められた彼らはいったいどうすればいいのでしょう。


     イスラエルのパレスチナ爆撃のほんとうの理由はなに?  

ひとつには2000年にガザ沖で発見された豊富なガス田があるからだといわれます。もうひとつはパレスチナの豊かな水です。チベットもパレスチナも同じですね。それだけでなく世界中で紛争が生まれるところにはすべて資源、お金の問題があると著述家田中 優さんはいいます。力のある国が力づくでお金になる資源を奪い、国を奪い ひとびとの暮らしを奪う.....

    そして悲しいことに、はるか彼方のわたしたちもその無体な仕打ちに加担しています。日本政府が中国やイスラエルの所業を黙認することで、イスラエル支援企業のものやサービスにお金を払うことで......微力でもなにかやれることはないか......わたしはもう、スタバでコーヒーを飲みません、マクドナルドにも行かない。爽健美茶やコーラも飲まない、中国製の食べ物も衣料品も買わない、ユニクロやしまむらにも行かないことにしました。チベットやイスラエルのひとたちがあたりまえの権利を行使できるようになるまでは。

    チベットでは青い青い空に風が吹きわたっていました。パレスチナの花咲き乱れる庭にも風は吹きわたっていました。希望があるからこそ人は生きられる。チベットやパレスチナのひとびとに希望を.....そしてわたしたちにも世界がいつか、必ずよくなるという希望を......


イスラエル支援企業一覧














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